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それは某光の巨人だった。  作者: 小野文蔵


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プロローグ

人を救うとは

必ずしも心まで救われる事が確約されない


タバコ吸えて、酒かっくらえて、女も行き放題で初めてヒーローってのは割に合うものです。



世界は大きい。

大き過ぎてちっぽけなものは見落としがちだ。

些細な幸せや夢、単純に人そのものだって宇宙規模で見れば蟻みたいなもので。


ところで、あなたは蟻がどのように生活をしているのか考えたり興味を持ったことがあるだろうか?

アリの巣は中心軸を地中に伸ばし多方面に枝分かれし、それぞれ蟻達にしか意味がわからない個別の部屋があり、女王蟻の部屋があり、ありアリ蟻。

なんだかわけわからなくなってきたな。

ゲシュタルト崩壊?

そんなことはいいんだ。


聞きたいのは、蟻の生態ではなく蟻の人生?蟻生?と呼んだ方がいいのか?

これに興味を持ったことがあるかという事だ。

少なくとも私や、私が知っている人達もしくは知り合いではないが目にした人あたりくらいはきっと、『考えたこともない』と答えるだろう。

蟻の感情なんて読めないし、何をやって生きているのかなんて全くわからない。

家族とかそういう意識も個別にあるのかもしれないがないのかもしれない。

しかしその興味はサイズ故に、ちっぽけであるが故に誰にも湧き出ない。

一部の研究者さん達は興味があるのかもしれないと想像は出来るがが、その興味は研究過程の記録であり、感情的に知的好奇心が湧く訳ではないはずだ。

共存とか考えちゃうレベルだねこれは。




だからきっと今俺を見下ろしている40メーター超えの怪獣は、俺を蟻だと思って今まさに駆除でもしようとドデカい爪を俺に振り下ろそうとしているのだろう。



人間死ぬ時、これくらい脳内でナレーションするくらいには時間があるものなんだな と。


死の覚悟を俺は決めて目を閉じた。



…………


2月というまだ寒い季節にしては陽だまりが降ったような暖かさが俺に降りかかった。

死に痛みはないのか?あっという間に魂抜けた?

いや違った。


暖かさと同時に強い浮遊感が俺を襲い、二日酔い確定度合いに飲んでた俺はすぐさまゲロを吐き散らし転げた。


ゆっくり目を開けると、俺のここ最近1番の劣等感を植え付けてくるライバルが、それはそれは大きな手のひらで俺を包んで、怪獣から離れた安全な平地に俺を運んでくれた。


命は助かったが、思わず舌打ちをしてしまった。


屈んでた体勢から俺の安全を確認するとゆっくり立ち上がり怪獣の方を向き直ったそれは、

いわゆる『某光の巨人』だった。




「俺は蟻…。」

そう呟いて俺は第二派の嘔吐をかました。

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