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プロローグと回想

「ここは…」


俺は今、宇宙空間のような場所にいた、そして、俺の目の前には、山と見間違えるほど大きな男が胡座をかいて座っていた。


「よろしいですか?」

「あ、あぁ、すいません、まだ状況が理解出来ていなくて、」


見た目と違って言葉使いが丁寧で面食らってしまった。


「あの、ここはどこでしょうか?」

「…覚えていらっしゃらないのですか?」

「はい、すいません…」

「そうですか…無理もありませんね」


なんのことを言っているのだろう、そう言えば俺は何をしていんだっけ。


記憶を探ろうと意識を集中させようとして…


ーガツン!


イッ…てぇ…。なんだ?急に頭に痛みが走った、それが顔に出ていたのだろう、男が声をかけてきた。


「大丈夫ですか?あまり無理をなさらない方がよろしいかと、あんなことがあったばかりなのですから。」

「…あんなこと?」


さっきからこの男はハッキリとしたことを言ってくれない、イライラする「あんなこと?俺に何があったんだ?」


思わず声に出してしまった。


「…そうですね、何も知らないままというのも寝覚めが悪いでしょう、少し痛いですが我慢してください。」


ーパチン


そう言って男はおもむろに指を鳴らした。


なんだ?そう思った次の瞬間


ーグワァン


「ああああああああああああああ!」


とてつもない痛みが頭の中を掻き混ぜてくる。俺は思わず地面に蹲った、痛みを耐えること数秒、やがて痛みが治まり、思考が鮮明になってくる。


「はぁ…はぁ…はぁ…」


あの野郎…何が少しだ頭が割れるかと思ったぞ。男のことを恨めしく思っていると男が口を開いた。


「思い出しましたか?」


思い出した?何を…?そう思いまた、記憶を探ろうと意識を集中させた、今度は先程のように痛みが来ることも無く何があったのかを鮮明に思い出すことが出来た。


「そっか俺は…」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

俺は職人だった、仕事の依頼で車で遠くの方まで足を運んでは仕事をこなし、家に帰る、そんな日々だった、そんな日々が唐突に終わりを告げた。


ープルルルルル


電話だ、今日は日曜日、仕事は休みで昼頃まで寝ている予定だったのに、と、多少不機嫌になりながらも電話にでた。


「はい」

「あの、松浦 釦 (まつうら ぼんた)さんでよろしいでしょうか?」


松浦 釦、俺の名前だ、なぜ名前を知っているのだろう?疑問に思いながらも答えを返していく。


「はい、えー、どちら様ですか?」

「すいません、私は警察の者なのですが、いまお時間よろしいでしょうか?」


警察?自分が何かしたのかと思い少し慌てるが、仕事が忙しく、外出する暇もない俺に何かをやった記憶はない、酒も飲まないから尚更だ。そんな俺に警察が電話?掛け間違いじゃないのだろうか?


「大丈夫ですよ、それで、どう言ったご要件ですか?」

「はい、落ち着いて聞いてください、松浦さんのご家族が交通事故に逢い意識不明の重体です。」

「…は?」


俺は結婚していない、なので親か兄弟だろう、だが、ご家族?変な言い方だ、普通は父親とか兄弟とかじゃないのだろうか?抽象的な言い方だ。


「…大丈夫ですか?」

「……はい…大丈夫です、それより、家族って言うのは、誰でしょうか?」


心を落ち着かせ、声を絞り出す。


「…ご家族の予定はご存知ないですか?」


なぜ、そんなことを聞く?最悪の予感を無理矢理振り払い警察の質問に答える。


「…兄が親を誘ってバーベキューに行くと聞いていますが、もしかして…。」

「…はい、ご両親と兄そしてそのご子息、全員が意識不明の重体です。」


考えられる中で1番最悪だった。


「はぁ…はぁ…」


胸が締め付けられる感覚だ、でも、大丈夫、まだ死んでない。


「どこの病院ですか?」

「はい…」


警察から教えて貰った病院に向かう、ここでスピードを出しすぎて俺まで事故ったらお終いだ、直ぐに向かったって何かをしてやれる訳でもない、焦る気持ちを押さえつけ病院に向かった。


自動ドアが開く速度がとてつもなく遅く感じる、少し空いた隙間に体を滑り込ませ少しでも早く中に入り受付へ向かう。


「あの!松浦って名前の人の部屋はどこですか!」

「松浦 釦さんでしょうか?」


冷静な対応に少し落ち着いた。


「…はい」

「こちらです、ついてきてください。」


案内された部屋に入る。


「残念ながら、お母様と甥っ子は既に亡くなられています。お二人もそう、ながくはないかと。」

「…」


何も言えなかった、事実上の死亡宣告だ、医師たちが部屋から出ていく音が聞こえた、気を使ってくれたのだろう。俺は声を押し殺し泣いた。親が死んでも泣かないと思っていたのに思った以上に精神的ショックがでかかったようだ。どれくらいたっただろうか、医師たちが戻ってきた。


「落ち着きましたか?」

「…ありがとうこざいます。もう大丈夫です。」

「これからのことなのですが…」


大丈夫とは言ったもののまだ気持ちの整理がつかない、医師が何かを話していたようだが上の空だ何も覚えていない。


気づいたら家のベッドで寝ていた。


「…今何時だ?」


時計をみれば深夜の1時頃だ、夢だったのかと思うが、電話の履歴から違うとわかる。少し呆然とした後、彼女からたくさんのメールが届いてることに気づいた、心配かけたと思い、返信をする、すぐに帰ってきた、案の定心配したとメールがきた、無事でよかった、もう寝るね、と、少しむっとしたが相手は何も知らないんだ、仕方がないと思い、これからの事を考える。


「まずは弁護士…か?」


何もわからなかった俺は、ネットでいろいろ調べることにした、医師たちが話していたと思うが全て聞き流していたのだ、調べるしかない。


そこからはあっという間だった、弁護士を雇い、相手から慰謝料を約8000万請求し、環境的にも、身体的にも落ち着いてきた頃、そろそろ仕事を再開しようとした頃だ。


「…もう仕事に行くの?」


そう言ったのは彼女だ、交際期間2年、そろそろ結婚も考えていた頃にあの事故だ、彼女にはいろいろ助けてもらった、彼女には感謝してもしきれない。


「あぁ、そろそろ仕事しないと、なにかしてないと思い出してまた落ち込んじゃいそうだからさ。」

「そっか、無理しないでよ?何かあったら言ってね?」

「ありがと、そうするよ」


俺には勿体ないくらいよく出来た彼女だ、今度の休みにデートに誘ってプロポーズしようかな?事故のあとだからやめといた方がいいかな?そんなことを考えながら仕事へ向かった。


「ただいまー」

「おかえりー」


一人暮らしだったのだが、彼女がまだ心配だからと同棲をはじめた、俺だけ幸せでいいのだろうか?家族に申し訳なく感じているが、みんなの分まで幸せになろう、そう思った。


その日の夜、物音で目が覚めた。


「…ん…なんだ?」

「…あれ、どうして?」


彼女がなにかしていたようだ、よかった、泥棒じゃなくて。


「物音でね、なにしてるの?」

「…いや」


どうしたのだろう、歯切れがわるい、なにか問題でもあるのだろうか?体を起こそうとするが体に力がはいらない。


「あ…れ…?」

「…」


彼女は何も言わない、少し不安になってきた、彼女には感謝している、疑いたくはない、まだ体が不調なだけだ、そう言い聞かせる。


そう思っていると突然、部屋のドアが開いた、知らない男だ、今度こそ泥棒だと思ったが、もう口も動かせなくなっている、彼女が危ない、そう思って彼女に目を向ける。


「…あ…ぶ……」


ードクン


何かの間違いだと思いたい、彼女が男の方に寄っていき腕を絡めた、偽物だと思いたかった、彼女があんなに冷たい目でこっちを見下ろしていた。


「…う…あ…」


あぁ、そっか、俺は…裏切られたのか…そして、徐々に意識が遠のき俺の目の前は真っ暗になった。







はじめまして!ろーるふと申します!右も左もわからない処女作となっております!誤字や脱字そして、あるかと思いますが、あたたかい目で見ていただけると幸いです!コメントやアドバイスなどいただけるとこれからの励みになりますのでドンドンして頂けると嬉しいです!

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