籠城戦
武将は籠城戦になったことを考え、二年は戦えるように兵糧を確保していたのだった。籠城戦で一番重要なのは兵糧、漫画を熟読している武将にとっては何をする上でも必要なことだと思っていた。
「まずは、慶次と半兵衛に書状を書き、敵の兵糧庫を襲わせる。兵糧を絶ってしまえば、敵の士気は大幅に低下する。城へ合流して、慶次に西門を守ってもらい、半兵衛と小六で西門を守る。俺は中央で指揮をとる」
武将はこの三日で勝負がつくと思っていた。織田の援軍が到着するまでは持ちこたえる自信があったのだ。
ここに前田家の生き残りをかけた大戦が始まる。
一番最初に到着したのは、松永久秀だった。久秀はすぐに城の包囲にかかった。久秀の兵力だけでは城を完全に包囲することは不可能だと武将は知っていた。
「松永一人で攻撃することはできない。今川・北条が到着してからが勝負になる。油断するな」
だが、ここで予想外のことが起きる。松永久秀の軍に『風林火山』の旗印が見えたのだった。
「武田信玄……」
武将は息をのんだ。間違いないあの赤髪、他に見たことがなかった。
「信玄…… 小六は万全ではないというのに凄い回復力だ… 確か小六は片足をしばらく使えなくしたはず」
そう思っていると信玄は大声で叫ぶ。
「蜂須賀小六出てこい!私はお前を殺すために地獄から戻ってきた。早くしないと門をぶち破り、お前を探しに行くぞ!」
すぐに危険なことを確信した武将は、利家の所に走った。
「利家、頼みがある……」
「何じゃそんなに慌てて」
武将は決心した表情で利家に伝えるのだった。
「今、小六は信玄と戦える状態ではない。今信玄を相手に戦えるのは、利家一人だ。頼む信玄を止めてくれ。今小六が戦えば絶対に死ぬ」
「儂で良いのか?当主はじっとしていなければいけないのだろ?」
「しかし、今小六が戦ったら、西門に敵がなだれこんでくる。どうしても信玄を止めないといけないんだ。頼む力を貸してくれ」
その言葉は、信玄を奮い立たせるものだった。
「わかった……この一戦に勝てば失敗を帳消しにすると約束しろ」
「まだ気にしていたのか……失敗は誰にでもある。この一戦に勝てば士気は上がり、前田は息を吹き返す。そして慶次と半兵衛を迎え入れるぞ」
そして武将と利家はそれぞれの持ち場に戻るのであった。そこには軍を進める武田信玄の姿があった。前線の兵を次々と薙ぎ払い、雷のように現れる。
「蜂須賀小六は猛将だ、総大将を除けば、一番強い。正面を守らせるはず」
信玄は、正面の門に向かい、進撃を続ける。だがそこは前田利家が守る門であった。
「フン…移動する手間が省けたわい」
そうつぶやくと信玄に殴りかかろうとしたが避けられてしまう。
「貴様!小六ではないな!小六を出せ!」
「儂を誰だと思っているのじゃ?前田利家だぞ。この城の総大将が直々に戦ってやるというのじゃぞ。まあ今の一撃を受けると動けなくなっていたかもしれないがな」
「面白い総大将が自分から出てくるとはな!聞いた話によれば松永の策にかかり、大敗したとか。そんな奴に私が負けるはずがないわ!」
それを聞いて利家は笑った。
「小六は儂よりも弱いぞ。その小六と相打ちだったお前に儂も負ける気はしないがな」
ここに前田利家と武田信玄の両雄が相対し、壮絶な戦いの幕が上がるのであった。




