第87話:航空自衛隊あるいはあおりのバロ
戦闘機の後ろについて飛ぶこと数分…
自衛隊の基地っぽいところまで誘導された。
視界の向こうに飛行場らしいものが見えるけど
あの基地は何処の基地だろう?
って言うか、この基地、私の家から割と近くない?
空を飛んで移動しているせいか距離感が
ものすごく分かりづらい…
「バロ?ここってどこの自衛隊基地?
うちの近くにこんな基地あったっけ?」
「レイ様、ここは茨城空港に併設されています
航空自衛隊 百里基地でございます。
家の近くと言っても80kmほど離れておりますが」
航空自衛隊?茨城空港?
茨城に空港なんてあったの?
併設?ってか、なんで茨城の自衛隊基地なの?
「おそらく、都内近辺の基地では
民家の上空をロボットが通過することを
看過できなかったと思われます」
なるほど、確かに住宅街の上とかをガソタムが飛んだら
ものすごく不安になるだろうけど…
って、全然うちの近所じゃないのに近くって
言っちゃったよ…
やっぱり空を高速で飛んでるから分かりづらいんだ。うん、
そうだ、そういうことにしておこう。
『……パイロットに告ぐ、
間もなく百里基地の滑走路に到着する。このまま
高度を落として着陸準備をせよ、繰り返す…』
自衛隊からの…たぶん前のパイロットからの通信だろうか
そうか、そろそろ着陸…
やっと安心な地面に降りられるのがうれしいのか
これから逮捕されることが悲しいのか
自分でもいまいち今の気分がよくわからない…
「バロ、指示が来たから返事をおねがい、
もう相手をあおるのはやめてよね」
「ふむ、レイ様は心配性ですな…では
ガソタムから通信、
当機は着陸に滑空は必要ありません。
VTOLで着陸しますので、戦闘機はそのまま
着陸させてください。
停止した戦闘機の後ろに下りますので」
そうそう、そんな感じで丁寧に答えてくれればいいのよ
丁寧に対応すれば私の対応も甘くなるかもしれないし。
『垂直着陸だと!?
人型の物体が空を飛んでいる事実もまだ受け止め
きれていないのに、
そのロボットどんな性能しているんだ!!』
「当機体ならばVTOLぐらい朝飯前ですがなにか?
ああ、自衛隊にはそんなことできるのはプロペラで飛ぶ
ヘリコプターだけですものね。
旧時代の技術しか持ち合わせていない自衛隊を
考慮することを忘れておりました。
戦闘機の後ろを飛行機のごとく滑空して着陸の
まねごとをして差し上げますので、
どこの滑走路を使うのか指示をしてください」
「ちょっとバロ!なんであおってるの!?
あおらないでって言ったじゃん!」
バロは何処まで自衛隊が嫌いなのか?
それとも別の理由で不機嫌なのか?
『…了解、では格納庫前のヘリポート…
Hと書かれている場所へ着陸しろ。
着陸後は機体を停止しそのまま待機
おかしなことはしないように…以上』
「ほら!!!やっぱムッとしてるよ!!
あおらないでって言ったのに!!
どうなるのよ私~!!!」
バロのせいで私、撃ち殺されないよね…
死なないよね?大丈夫だよね?
私の中の不安な気持ちがもっと大きくなる。
が、その気持ちを抱えたまま、着陸の操作を行う
誰か…本当に助けてよ~




