第63話:おじいちゃんの男気その2あるいは電子メール
男性のアパートに女性と赤ん坊が住み始めて
何日かたった様子が映像に映し出されている。
男性は甲斐甲斐しく真面目に働き
女性に生活費を渡す様子が細かく表現されていた。
女性の方も最初は申し訳なさそうに生活をしていたが
いつしか男性が帰ってくると笑顔で迎えるようになり
幸せそうに生活をしているみたいだ。
しかしその幸せも長くは続かなかった。
ある日の事、買い物に出かけた女性は
最悪なことに出先で、夫に見つかってしまったのだ。
女性はそれに気が付かず、アパートまで尾行されてしまい
部屋に入ったところでその細い腕をつかまれてしまった。
「どこをほっつき歩いてやがった!」
罵声をあげる夫にやめてと懇願する女性
さらには泣き叫ぶ赤ん坊の声
完全に地獄絵図だ。
このまま女性は夫に連れ去られてしまうのか?
と思ったその時タイミングよく
男性が部屋に帰ってきた。
「やめな。自分の嫁に乱暴するなんて、
とんだクズ男だな。……てめえに
嫁いでくれた女なんだ。一生大事に
するもんじゃないのかい?」
「なんだてめぇ!関係ないやつは 引っ込んでろ!」
夫はつかんでいた女性の腕を放すと
男性の顔に向かってその拳をぶちかますため
殴りかかってきた。しかし
その拳は顔面に届くことはなかった。
男性は向かってきた拳を最小限の動きで避け
直後鋭いカウンターを夫の顔面にたたきつけた。
いうなればクロスカウンターみたいになってた。
その一撃で夫は床に沈み、悶絶することなく
気絶したみたいだ。
「どうしたい。一度は愛した男だろ。
許すのか、それとも許さないのか」
男性は女性に向かってどうしたいのかを聞く
女性はまだ夫が恐ろしいのかなかなか返答を返さない。
それを察したのか男性は…
「怖がることは何もない…
何があっても俺が守ってやる。
あんたはどうしたいのかだけ…今この一瞬だけ
勇気を出してくれればいい。
後は俺が全て何とかしてやる」
男性のその言葉に勇気をもらえたからなのか女性は
はっきりと拒絶を口に出した。
「もう、その人は信用できません、愛することも…
別れたいです…」
「…任せろ」
女性の絞りだしたその勇気に応えるように
男性は力強く頷く。
夫の襟首をつかみ引きずって玄関に向かう。
「安心しな、
もうあんたが怖がることはこの先無くなる。
この男も今後、お前の前に現われないように
してやるから」
男性はそういうと夫を外に連れ出し
アパートの玄関をそっと閉じた
「さすが源造さま、大切な女性を守る姿
かっこいいですな!
男の中の男という感じでしょうか」
バロがなんか言っているが、完全に無反応…
それよりも…
自分のスマホの画面の指を軽快に滑らせ、
文章を打っている。
サキ達に今何してるって感じのメッセージだ
「よし、これで、送信!」
「レイ様!?真剣に見てくれないのですか?
ご自身で聞きたいとおっしゃいました事ですよ?」
「はいはい、聞いてる聞いてる
ちゃんと聞いてるわよ~」
バロの抗議を生返事で対応している。
だいたい、これっておばあちゃんの事じゃなく
おじいちゃんの事をかっこよく見せたいだけじゃない…
ピコン!
スマホからメッセージ着信音が鳴った。
多分サキかチカが返信をくれたのだろう。
まだまだ続いているバロの抗議をスルーして
再びスマホ画面に目を落とした。




