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シングル・ライフ-VR世界に舞い降りた名探偵-  作者: いまだめい


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放課後は別世界!

ご拝読ありがとうございます!初めての作品投稿ですので、至らない点もあるかと思いますが、是非とも感想などコメントいただけると幸いです!

麻川まとんは、高校の制服のスカートを翻し、校門を出るなり猛ダッシュした。


原因は一つ。今日、新作フルダイブVR MMO RPG『Single Life Online』がリリースされたからだ。


「やばい、急がないと!」


先行攻略情報を少しでも早く掴みたい。周りのゲーマーたちに遅れを取りたくない。それが、生粋のゲーム好きであるまとんの性分だった。


自宅に飛び込むと、まとんは服も着替えず、リビングの片隅に置かれたVRデバイス『ネクスグリッド』に手を伸ばした。頭部装着型のそのヘルメット端末を被り、流れるようにベッドへ横になりながら、慣れた手つきで電源を入れる。


――意識が一瞬遠のき、すぐに切り替わる。


目を開けると、そこは『Single Life Online』のログインゲート。ゲーム開始前に訪れる電脳空間で、まとんは躊躇なくゲートをくぐり、キャラメイク画面へと進んだ。


「キャラネームは……いつも通り「まあとん」でいいでしょ。」


髪型はショートボブ、髪と瞳の色はピンク、体型は現実に合わせて・・・いや、胸は大きめに調整。「バーチャル空間でのいつもの自分」を手早く作り上げた。


「職業は・・・マジシャンでいいかな。リリース直後ならプレイヤーも多いし、タンクさんとかすぐ見つかるでしょ!」


職業メニューに映るマジシャンの能力グラフから察するに、このゲームにおけるマジシャンは攻撃力特化、いわゆる火力職だった。火力職は総じて防御力に課題があり、ソロでプレイするにはバランスが悪いというのが定説だが、パーティを組みやすい環境であれば問題を解消できるという算段だ。


本人が自覚しているかは定かでないが、誰とでも友達になれる性格も相まって、まとんはこれまでパーティメンバーに困ったことがない。そんな経緯もあってか、まとんは職業選択メニューで迷わずマジシャンを選択した。


キャラクターの作成が完了すると、続けざまにワールドへのアクセスが開始された。

辺りを光が包み、そっと目を閉じる。しばらくして目を開くと、静かな森に立ち尽くしていた。まあとんは慣れたように両手を動かし、バーチャル世界の感覚を確かめる。


(久々にネクスグリッドを使ったけど、やっぱり体の動きの再現度が高いな。これなら戦闘もスムーズにできる)


全身の感覚をゲーム内のアバターと一致させる調整を終えると、彼女は目の前に展開されたチュートリアル画面を指でタップした。

チュートリアルは、まるで実際の学校の訓練のように、基本的な移動や戦闘、アイテムの操作方法をプレイヤーに教え込む。


「ふむふむ、最近のゲームにしては、丁寧すぎるくらいのチュートリアルですな。前評価がかなり高かったから、新規参入プレイヤーが多いことを見越しての設計ですかな。」


思わずオタクっぽい独り言が出る。

懇切丁寧なチュートリアルを抜ける程度、いくら初めてプレイするゲームといえど、普段からVRゲームをプレイしているまあとんにとっては、もはや呼吸をするのと同じくらい自然なものだ。


チュートリアルをテキパキとクリアし、報酬で手に入れた最低限の装備を身に着けると、まあとんは最初の目的である最寄り拠点「町 タルフェ」へと向かうべく、眼前に表示されるナビに従って歩みを進めた。






適当にモンスターを狩りながら進んでいく道中、森の入口付近で、まあとんは異様な光景に出くわした。


「お、おい、いくら殴っても倒せないぞ、この緑のブヨブヨは!」


声の主は、初期装備の布服を着た中年男性。背中には真新しい剣と盾を背負っているが、なぜか彼は手ぶらのまま、体長30センチほどのグリーンスライムと殴り合いどつき合いを繰り広げている。


が、素手では当然ダメージを与えられておらず、男のHPだけが見る見るうちに減っていく。


「あのっ! 何やってるんですか!」


まあとんは慌てて駆け寄った。


「お嬢ちゃん、来るな! 危ない!」


男は、まるで現実の危険から守るかのように、まあとんを遠ざけようとする。その仕草は、ゲーム慣れしたプレイヤーにはありえない、妙な現実味を帯びていた。


しかし、一向に状況は進展しない。暖簾に腕押し、スライムに拳骨。

見かねたまあとんは、いよいよ初級火炎魔法ファイア・ボルトを即座に放ち、グリーンスライムを蒸発させた。


戦闘が終わると、これまでの苦労を無に帰すような一撃に唖然としたが、しばらくしてまあとんに向かい深々と頭を下げた。


「すまない、助かった。礼を言う」


「いいですよ。それより、なんで武器を使わなかったんですか? 背中に剣を装備してるでしょ?」まとんは尋ねた。


男はバツが悪そうに言った。


「いや、どうやって使うのか、わからなくてな。チュートリアル、だっけ?それで一応説明はあったんだが、どうにも頭に入らなくてな」


「……VRゲームどころか、ゲーム自体に慣れてないんですね」


「まあ、そうだ。私はダイゴという。君は?」


「まあとんです」


ダイゴと名乗った男は、VRの操作にも、ゲームのルールにも、絶望的なほど不慣れなようだ。剣と盾も党ともせず、素手でモンスターと渡り合おうとする姿は、まさにゲームの世界に舞い降りたよそ者のようだった。


『Single Life Online』は、死んだらキャラロスト。何年とかけて育てたキャラクターも一瞬で消える。この緊張感、リアリズムが本作のウリなのだが、このままではダイゴは町にたどり着く前に、ロストしてしまうかもしれない。


「ダイゴさん、ちょっと待ってください」まあとんは言った。


「なんだ?」


「ほら、インベントリって言って、持ち物が入っているウィンドウがありますよね? そこを開いて、剣を指で掴んで、自分の手元まで持ってきてください。これで装備できます」


まあとんは身振り手振りで、ダイゴに基本操作を教え込んだ。ダイゴは言われた通りに操作し、ようやく初期の剣を手にすることができた。


「おお……なるほど。これでやっとまともに戦えるのか・・・」


チュートリアルで見ているであろう装備をまじまじと眺めるその反応は、あまりにもゲーム初心者のものだった。


「ねえ、ダイゴさん。私、今から最初の町タルフェに向かうんですけど、町に着くまででいいから、私と一緒にパーティを組みませんか? その間に、基本を教えてあげます」


ダイゴは少し考えた後、力強く頷いた。


「助かる。遠慮なく、頼ませてもらう」


ダイゴの返事を受けて、まあとんはさっそくパーティへの招待を送信する。もちろん、招待の承諾を受けるのも手取り足取り教えてやる。

こうして、ゲームに不慣れな中年男性と、ゲームに慣れた女子高生の異色のコンビが誕生した。

書き始めると、いろいろ付け加えたくなってしまいますね。これが果たして皆さんの目に合うかどうか・・・

次回からいよいよ推理小説っぽくなる・・・はず!

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