中目黒爆破
元卓球バーがあったのは25年前の列車事故の場所だ。
そして、今日も。
「よし!やっとパーキングに到着だ!行くぞ!」鬼丸と潤はモニターで隣のリオン電機の駐車場の入り口に現れた一行の小さな姿を見てマンションを飛び出した。走れば2分で着く。恵比寿からの幹線道路の赤信号がやけに長い。
「今から中に侵入しガス漏れ起こし引火物を設置して自分達が逃げる時間も要る。かなり時間食うはずだ。」
鬼丸と潤は現場に急ぐ。
ママと要はホテルの宴会場で新地主の登壇を待つ。
「なんか仰々しいわよね〜
まあ飲食店経営者もウチみたいに多いからライバル視されたくないのかもね。」ママはまだワールドダイニングの社長が白蘭だと知らないのだ。
「まあ、新社長はまだ若いしママから見たら子供みたいなもんだよ。」要が苦し紛れに話す。
ステージ司会者が紹介する。
「こちらが中目黒駅前の地主様、お父様の角田清嗣様から会社及び駅前の土地を引き継がれた角田文康様です。どうか皆様、拍手でお迎え下さい。」白蘭がスポットライトを浴びて出てきた。
「白蘭!」和やかな拍手の中、ママだけが呆然と叫ぶ。拍手の波に声はかき消された。
遠くで花火の音がする。
「なんで?どういう事?」鬼丸と潤は燃え盛る現場で立ち尽くす。道の向こう側で赤信号を待ってた時に突然閃光と爆風にのみ込まれた。
鬼丸が潤を抱いて閃光から守る。
熱い爆風で髪がチリチリ焼ける匂いがした。
まだ店がオープンする前で離れたプレスジュース屋以外人は居なかったようだ。爆発したマンションも上の階も燃え盛ってるがこの時間誰も居なかったようだ。
そんな中、消防隊が消火しながら担架が次々と運ばれてきた。パーキングから真っ黒な人間らしき物が3体運ばれてきた。
確かモニターには5人映ってた。
「他の人は?確か5人入って行きましたが!」鬼丸が消防隊に声掛ける。
「そうなんですか?現場にはこの人達しか居ませんでしたが…」と頭を下げて行った。
「多分爆発で身体がバラバラになったんだな…2人は。」鬼丸が冷静に話す。潤もうなづく。
救急車はサイレンを鳴らしながら現場を離れた。
「どういう事?逃げる時間を計算してなかったの?
まさかそこまで…素人でも…」潤が呟く。
「結果そう報道されるだろうね。この火じゃ、現場検証もロクに出来ないよ。」まだ燃え盛る炎が辺り一帯3番地を燃やし尽くしている。
道路で囲まれたこの地域の建物は溶けた鉄柱だけを残して全て消えた。
道路を挟んだビルも窓ガラスは砕け飛んでいる。
2人はただ呆然と見守ることしか出来なかった。




