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香水

「じゃあ、お先に」

 そう言うと、常務が左手首にシュッと香水を吹き掛けてから帰って行った。

 それを見ていた女性社員が私に言った。

「常務はいつも香水をふってから帰りますね。毎日、誰とデートですかね」


 常務は30年前プロ野球選手だった。

 右のアベレージヒッターと期待されていたが、怪我が原因で早々に戦力外通告を受け、この会社に拾われた。

 そしてその恩に報いるため努力を重ね、常務にまでなった人なのだ。

 しかし常務は戦力外通告を家族に伝えられずにいた。

 だから常務は30年間、毎日帰宅前になると左手にグローブの匂いを付けているのだ。

 還暦も近付いた常務は、今日もプロ野球選手として家族の元へ帰り、対戦した投手の癖や華麗なダイビングキャッチの話などをしている。


「さぁね。デートの相手は奥さんじゃないかな」

 そう言って、私は止めどなく溢れる涙を隠した。

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