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切れ者
「うぃー」
人懐っこい笑顔で中年男が体をぶつけてきた。
「待ってたぞー」
別の男が肩を組んできた。
「よぅ、久しぶり、こっち来いよ」
「変わらないわね」
「面影残ってるー」
皆、笑顔だった。
新規訪問先の会社で、私は初対面の人達に取り囲まれ、そして馴れ馴れしく話し掛けられた。
しかし不思議と嫌な感じもしない。
さすが株式会社同窓会だ。社員教育が徹底している。
「覚えてるか、文房具屋の親父」
意を決して、私がそう投げ掛けると、小柄な男が即答した。
「そりゃあ、学校中で知らない奴はいないぜ。あれ覚えてるか?三角定規事件」
笑いが起こった。
この切れ者が、ここの責任者に違いなかった。
「…あぁ、勿論」
そう言って笑った。
今回の商談は厳しくなりそうだと私は思った。




