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油
学生時代の仲間の葬儀に参列した。
お焼香に並んだが、進みは悪かった。
何故だろうかと前を覗いて理解した。
焼香台の隣に、コンビニのレジ横にあるショーケースが設置されていたのだ。
勿論、中ではチキンが温められている。
皆、しめやかにお焼香をしたが、ついでにチキンを買ってしまうので時間がかかるのだ。
仕方がない。あのチキンの前で人は無力なのだ。
お焼香を待つ間、私は故人を偲びつつも、チキンが売り切れやしないかと心配が募った。
唇が油でテカテカと光っている喪主は、ハンカチで涙ばかり拭って、遺影を見ていた。




