暴露
どうも、緋絽と申します!
最近、お天気悪いですね。みなさん気を付けてくださいね。
さらりと銀の髪が揺れる。
────あぁ、少し私の髪に似てる。
ノラクルはその人の髪と自分の髪を見比べ、そっと気付かれないように溜め息を吐いた。
あの人のように、綺麗な髪色だったら。さらさらしていたら。お父さんもお母さんも、私を抱き締めてくれたかな。
…………ただの白は、いらない白。
「なんでかな? 自分で紐を切ったの? うわ、見張り倒れてる……まさか君が?」
なんでお前がここにいるーーー!
私は内心冷や汗をだらだらかきながら、背中でノラクルちゃんをかばった。
あの、銀髪変態野郎が扉の前を塞いでいるのである。
いや、そりゃこいつに関係ありそうなところに潜り込んだんだから、いたっておかしくはない。問題は、なぜわざわざ捕虜を見に来たのかってことだ。
「あれ? なんか君、見たことある」
ぎくっと体が跳ねる。
ぎゃああああ! ばれたらヤバイ! 潜入捜査なのだから、こいつにばれたらもう元も子もない!
「き、気のせいでしょ!」
「うーん、そうかなぁ」
「そうよ!」
さ、さっきはノラクルちゃんにすぐばれたけど、こいつならばれない気がする。ていうかばれるな。
ほ、ほら、かなり前だし、大丈夫な気はしてる。た、多分。
首を傾げていた銀髪野郎が噴き出した。
「あはっあははははっ!」
えっ、な、なんだろう、唐突に笑いだして。
こ、こいつ実はやばいやつなのかもしれない。
「な、何笑って……」
「いやーもう、すごいよ。君、嘘つくの下手すぎる」
びくっと私は体を跳ねさせた。
と、ということは。つまり?
はっと気づいた時には、腰をさらわれていた。
優しく引き寄せられ、頬をするりと撫で上げた指が私の顔にかかった髪をすきやる。
把握するまで時間がかかった。こいつは、そういえば気がつけば近くにいるやつだった。
「久しぶりだね、ハルキ。会いたかったよ」
蕩けるような甘い笑みを向けられた。
ぐあっと顔が赤くなる。
うわぁああああ! 忘れてた! こいつ、イケメンだった!
「なっ、なっ、なんのことかっ」
「ぷはっ、未だに誤魔化せると思ってるの? やっぱりいいなぁ」
わかりません、貴方の感性!
私は片足を軸に横腹に蹴りを入れた。
くぐもった声を出して男が屈む。
「い、いた……なんで蹴るの!?」
「気安く近付くからだわ! あんた、敵でしょうが!」
指を突きつけて怒鳴り返すと、私の顔をキョトンと見返した後に、男はまた笑い返してきた。
「何でも意外性のあることをしでかす君がすごく気に入ってるよ」
「だから何ってね!」
クスクスと喉を鳴らす銀髪野郎になんとも言えない苛立ちが募る。
何笑ってんだよ! こちとら必死だわ!
「なんでそんな格好してるのかわからないけど、こっちのがずっといいよ。可愛い」
「ありがとね!」
ぐああああ、褒められ慣れてないから顔が熱い!
なんで敵のが上手に誉めるのよ!
レオン! 私は、下手したらあんたよかこいつの評価が高くなりそうだわ!
するりと指を絡められて肩が跳ねた。
「女の子二人捕まえたって聞いて、今回はどんな子かなって見に来たんだけど、君でよかった。ボクが君を買うね?」
そういえば私、今人狩りにあってここにいるんだった!
「いっ、いい! 名前も知らないあんたなんかに買われるくらいならっ、レオンに買われた方が数百万倍マシ!」
そう言った瞬間に銀髪野郎の目が細まる。
チリッとしたものを感じ取った途端に、銀髪野郎は強く私の手を引っ張った。屈んでいる銀髪野郎に倒れ込んだ私は、次の瞬間固まった。
ヒヤッとした感触を、首に感じる。小さなリップ音が、鳴り響く。
うなじを噛まれた。
「っうわぁあああ、どこでどこを触ってんだ変態いいいい!」
「他の男の名前なんて出すからだよ、ハルキ。でも、そうだね、確かに君はボクの名前を知らないんだった」
至近距離で合った目から逃れようと肩に手をおいて力を込めたが、腰を強く引き寄せられ逃げられない。
「ボクの名はギルシュ。ギルシュ・ヴァーリア。ギルって呼んでほしいな」
そして、銀髪野郎もといギルは、私の頬に、口づけをした。
「────横恋慕してる誰かさんに、ちょっとしたお仕置きをしないとね」
バチッと の体に、痛みが走った。




