準備期間
秋季休暇は思った以上に忙しかった。
提出された企画書のチェック、出店の配置リスト制作、予算の管理、パンフレットの制作etcetc……。
こういうのって魔法で出来ないのかしら。自動化魔法、みたいな……。
「今がんばれば、」
「当日は多少は遊べるから。」
兄様たちに励まされ、朝から晩まで秋季休暇の一週間、動いて回った。
ウィリアム様とも少しは会えたけど、本当に挨拶とちょっとした雑談くらいだった。
明日からは秋季休暇が終わり、通常授業が始まる。放課後しか、学園祭の準備はできない。
だから今日中に大体のことは終わらせたい。
皆必死で作業に取り組む。
「ブルーノ様、こちらの書類を見て頂きたいです。」
「……。」
「ブルーノ様?」
「え?ああ、すまない。確認しよう。」
「お疲れですか?無理はあまり……。」
「少し考え事をしていただけだから、大丈夫だ。」
「ならいいんですが……。」
上の空のブルーノ様。
顔色は確かに悪くないんだけれど、反応が遅くて心配になる。
正直、ブルーノ様とは少し気まずい。
ミライ様に、競技祭の日、抱き合っていたのか……嫌だったけれど確認をすると、そんな記憶はないとのこと。
腕にしがみついた記憶はあるけど、抱き着こうとすれば思いっきり拒絶をされていたらしい。
結のリボンは好感度ありきのものだから……と説明をされた。
ブルーノ様がそんな嘘をついて何の得があるのか分からないけれど、私は正直、嫌われているような気がする。
ウィリアム様に対して疑心暗鬼になったのも、思えばブルーノ様の話だったし。
ひょっとして、ウィリアム様とミライ様がくっついたほうが国的に良いことがあるとか……?
考えてもよく分からない。
クラスも違うし、生徒会で一緒に仕事をするくらいしか話す機会はないから、嫌われているのならそれはそれで仕方がない。
割り切って仕事をするだけだ。
パチ、とリタ様と目が合うと、にっこり笑って「もう一息ですよ。」と声をかけてくれる。
本当に癒される。
リタ様は一年生の中でも一番仕事ができる。
成績だって良いし、運動神経も良い。
今は性格もかなり明るくなって、最近は男子生徒からの人気も高いらしい。
恋する乙女は魅力的になると聞くけど、そのお陰もあるのだろうか。
ダビとくっついてくれれば、将来的にも割と近しい関係になれるし、個人的にはとても応援したい。
勿論、ダビの気持ちもあるから、それを無視するわけにはいかないけど。
でも今のリタ様なら行けると思うんだけどなあ。
告白したり、しないのかしら。
そんなことを思いながら秋季休暇の最終日は過ぎていった。




