テンセイシャ
「……今まで、大変申し訳ありませんでした!!」
「っあの……ミライ様……?」
「ウィリアム様への非礼と、アラベラ様を大変ご不安にさせたこと、このミライ、大変不覚に思っております……!」
「い、いえ、あの、ミライ様、私に叩かれて何処か打ちました……?」
「大丈夫です!この通りピンピンしております!失っていた記憶もだいぶ戻ってきています!」
さっきと性格が全然違う、あの見事に私をイラっとさせていた言葉遣いもどこかに消えていて、今はリタ様に少し似ている気がする。
それと、「ウィリアラ尊い」みたいなこと言ってなかった……?
もしかして……。
「あの、ミライ様ってもしかして、転生者ですか……?」
「えっ。その言い方ってもしかして、アラベラ様も……。」
「ベラ、テンセイシャって何?」
後ろからそっと抱きしめてくるウィリアム様に、思わず「わっ。」と声が出た。
「あの、ウィリアム様?私ミライ様とお話ししているんですけど……。」
「そうなんだけど……最近全然、ベラと話も何も出来なかったから……。」
少し拗ねたような声で言うけど、私は恥ずかしくてしょうがない。
「はあああ尊い……、いやすみません、私が結のリボンをしていたから、ウィリアム様も私を無理に解けなかったんですよね……。」
手を合わせながらこっちを拝んでくるミライ様。
完全に前世の"こちら側"の人間よね……、こちら、がどちら側というのはあえてコメントは差し控えさせていただきます……。
「そうだったんですね。」
「いやはや、まさかアラベラ様もだったなんて……。」
「ははは……記憶はゲームのことくらいしかないんですけどね……。」
「そうなんですね、私は過労死だったのを覚えてますよ!」
にっこり笑うミライ様、言ってることはブラックだった……。
おいてけぼりのウィリアム様が少しむくれていたのだけど、転生者って伝えてもね……頭のおかしな女二人だと思われるわよね。
「えと、ウィリアム様、テンセイシャというのはですね……少しだけ未来視ができる魔法を持つ者のことです。」
「そんなものが……?」
「で、ですよね、ミライ様?!」
「はい。テンセイシャ同士、なんとなく分かることがあるんですけど、まさかアラベラ様もなんて思いませんでした。」
「私は、本当役に立たない部分しか分からないのですけど……。」
「そう、なんだ……?」
「これも確実なものではないので、使える人はあまり表に公表したがらないのですよね。」
「ずっとベラと一緒にいるのに、そんなの知らなかった……。」
「ああ、私がテンセイシャだと知ったのは、最近のことですから……。」
あながち間違いではない、わよね?
多少の未来は知ってるわけだし……。
「私、ミライ様と色々お話ししたいです。聞きたいこととか、色々あります。」
「……そうですよね、分かりました。幸い明日が休みですし、明日お話しをしませんか?」
「はい、お願いします。」
「ではお邪魔虫はこの辺で失礼します!ご馳走様です!」
「ええ?」
敬礼のようなポーズをすると、ミライ様はタタタタッと裏庭を後にした。
「ミライ嬢、なんか人間が変わったような感じだったね。」
「はい……。」
本当に、変わったんだと思う……。ある意味。




