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先生とあたしの恋愛化学方程式  作者: 角 秋也


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20/20

Pt-2

 どうも、角 秋也です。ここまで読んでくださりありがとうございます。この作品は私が初めて完結までかけた作品です。故に思い入れも強く投稿するかも迷っていました。しかし読んでもらってこその小説。そんな気持ちで投稿することに決めました。

 他の作品も書いている途中なのでそのうち投稿します。読んでいただけると幸いです。

 朝。トントントンとリズムよく野菜を刻む。そのままの流れで油を敷いたフライパンに野菜を送り、お肉の準備を始めた。習慣になったお弁当作りだ。用意するのは二人分。ああ、そろそろ相馬さんを起こす時間だ。

「相馬さーん。起きてー」

 フライパンを持ったまま寝室の方へ声をかけた。

「んん……もう朝か」

 眠たげに目を擦ってゆっくりと起き上がる相馬さん。

 相変わらず朝には弱い人だ。

「朝ごはん、目玉焼きとウィンナーどっちがいい?」

 炒めた具材をお皿にあけて聞いた。

「……目玉焼き」

 朝の相馬さんはなんだか子供っぽくて可愛い。

「はーい。お箸出してくれる?」

「あいあい」

 そう言うと、相馬さんはお箸の引き出しを開ける前にコーヒーメーカーを操作してからお箸を取り出した。

「ちょっと、アルカロイドを摂取してくる」

 のろのろとベランダへ向かう相馬さん。

「やめてよもー。切り取ったら完全に犯罪だよー?」

 お互い化学オタクなのは変わらず。むしろ大学で勉強した分度合いは増している。

「誰も聞いちゃいねえさ。んじゃ」

「待って待って。いつも通り、あたしも行く!」

 お弁当の具材の粗熱をとるようにしてからあたしもベランダに急いだ。

「ったく、副流煙だって体に悪いんだぞ?」

 もう既に煙草に火を点けた相馬さんは少し叱るような口調で言った。

「じゃあ相馬さんもやめないと」

「俺ァもうよっぽどのことがなきゃやめられんよ」

 軽く笑って相馬さんは言った。

「じゃあそれまであたしもやめない」

 あたしが軽口を叩くと、

「ったく、昔は素直だったのになあ」

 相馬さんは苦笑してため息をついた。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆


「それじゃあ相馬さん、先行くね」

 鏡の前でここしばらく伸ばしている髪をまとめてまだ眠そうな相馬さんに告げた。

「おう。初出勤、頑張れよ」

 あたしの肩をポンと叩いて相馬さんはあたしに言った。

「うん! はい、今日のお弁当」

 先に出るのはあたしだけど、お弁当を手渡した。これは二人の間の朝の儀式のようなものになっている。

「おう。いつも助かる。今日はなんだ?」

 微笑んで相馬は言った。

「生姜焼き。好きでしょ?」

「ああ。時間、大丈夫か?」

 言われて腕時計を確認すると、遅刻ギリギリの時間の一時間前だった。

「そうだね、そろそろ行くことにする。新人は早く行かなきゃね」

「ああ、そうだな」

「それじゃあ、行ってきます」

「ああ、行ってらっしゃい」


 ◇◆◇◆◇◆◇◆


「もう禁煙三ヶ月かー。ありがとね、相馬さん」

 お買い物の後、喫煙所を見かけて口を開いた。

「お前たちのためだからなあ」

 新婚旅行の後しばらくして発覚した妊娠を機に、相馬さんは禁煙を決意した。禁煙外来にも通っているらしく、長いこと吸っていた煙草を一切吸わない生活をここしばらく続けている。

「やっぱり、辛い?」

 今は自分だけの体ではないので辛くても禁煙はしてもらうつもりではあるが、あたしとしてはあたしのいないところで吸うのであれば構わないというスタンスだ。

「そらなあ。それなりにはしんどいさ。だがま、子供と女房のためならこれくらい屁でもない」

 以前なら喫煙所とみればすぐさま吸いに行く相馬さんだったが、そんな気配は微塵も感じさせず、素通りした。

「どんな子に育つだろうなあ」

 相馬さんはあたしのお腹を撫でて言った。

「化学オタクになるだろうね」

 あたしが答えると、

「違えねえや」 

 はははと大きく笑い相馬さん。

 二人で笑って歩く時間は、何事にも代えられないものだった。

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