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異世界に来たら召 喚スキルがありました  作者: ふぅみ


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99/99

99話

 村長1人を呼び出して、マジックバッグから12羽の鳥と2匹の野ウサギ、1匹のタヌキを出して並べた。

 感激すると思っていた村長は驚き、息を飲んだ後でそのマジックバックは他の村人には見せないようにしてくれと頼んできた。

 一見するとどこにでもありそうな背負いリュックだが、冒険者たち憧れの120サイズ。村長にはこのバッグの性能が分かるようだ。


「分かってる。だから村長1人を呼び出してもらった」

 村長は首を振った。

「わしら家族で隠していても、狭い村の中だ。何れバレる。この村に時々来る商人が容量の大きいマジックバッグに麦味噌を入れて買っていくのをこの村の者は知っている。商人だから特別なバックを持っているのだと思っているのに、旅人さんまでが容量の大きな特別なバッグを持っていると知ったら、若い子らが冒険者に憧れて出ていってしまうかもしれない」


 なるほど、そういう可能性もあるか。泥棒の危険だけじゃないんだな。

 しかも俺は村長が警戒している若い村人と変わらないような年齢だ。自分も村から出ていけばすぐに稼げる、とでも勘違いされたら困るということだ。


「用心のために、その腰に着けたポーチが不思議なバックだと説明しておく。それくらいの大きさだと見た目から容量が大きいとは想像しにくいはずだ」

「分かった」

 つまりは、ボアをいきなり持ち帰っていたらヤバかったということだ。


「それにしても、凄腕だ。わずか数時間でこんなに獲って戻って来れるとは…」

 鳥や野ウサギを狩っている時間よりも採集していた時間の方が長いです、とは言えないな。

「頼んでおいて済まんが、これほどの量を買い取るのにいくら払えばいいのか…」

「それは全部、麦味噌でいい」

「麦味噌で?」

「足りなくなると悪いから、余った野菜でもいい」

「本当に、金ではなく麦味噌や野菜でいいのか?」

「むしろ、その方が嬉しい。旅をするのに調味料も野菜も、俺には必要だから」

「それは…ありがたいが…」

 言いにくそうに村長は続けた。

「毎年決まった量を商人に売る約束をしているから、今年の分はあまりないんじゃ。あとは古い味噌ならばあるんだが…」


 古い味噌! むしろそれがいい。

「その古い味噌を見せて」

「分かった。持ってくる」

 村長が持ってきてくれたのは色が赤っぽく変色している味噌だった。

 今年の味噌は白みそに近かったから、これはこれで嬉しい。


「もっと古いのもある?」

「あるけど、黒くなっておる。わしら村人が今も食べているから問題はないが…色が好まれない」

 だから毎年作った新しい味噌だけが取引されているのか。


「少し味見していいか?」

 先に断ってから、ほんのちょっぴりを指先でつまんで食べる。

 黒い方は赤だし味噌に近い。赤い方は合わせ味噌っぽい味に変化している。

「黒い方の味噌も赤い方の味噌も交換して欲しい。新しいのはいらない」

「それで…本当にいいんか?」

「黒も赤も風味が違う。俺は料理が趣味だから、どちらにも興味がある」

 気遣って遠慮したわけでないと分かって、村長はホッとしたようだ。


「それならいくらでもある。村では消費しきれないほどある」

「それなら、ここにいる間は毎日鳥、鳥が獲れなくても別の肉を獲ってくる」

「野ウサギがいたら野ウサギもお願いしたい。あれも増えすぎると畑を荒らしに来る。減らしてもらえたら助かる」

「分かった。ウサギと鳥を持ってくる」

「味噌蔵へ案内しよう」


 後払いでもよいのだが、交換レートがハッキリしないのは村にとっても不安でしかないだろう。

 案内されて見に行くと、大きな樽にいっぱい入った麦味噌があった。

「わしらの非常食にもなるから、昔から蓄えておるんじゃ」

 冬の間に野菜が少なくなっても、湯に溶いて飲むだけでも栄養価は取れる。


「一番奥の古そうなのは?」

「あそこのは8年ほど経っておるかもしれん」

 8年物! 興味はあるが味見したいとは言えないか。大きな樽の蓋を開けてもらうのは…と遠慮していると村長がばかリと蓋を開けた。


「わしらがいま食べておるよ」

 あ、そうでしたか。

 欠片をもらって味見させてもらうと、さすがに風味が飛んでしまっている。

 俺の反応を見たのか、村長は別の樽の蓋を開けた。


「このへんのが5年前の物だ。旨味もしっかり残っておる」

 ススメられ、欠片を食べてみると…旨い。風味も良く、熟成されたことでまろやかだ。

「気に入ってもらえたようだの」

「はい。ここのと、もう少し若い3年ぐらいのを貰いたいです」


「この大樽1つだと初めに渡した小樽の50個ぶんだ」

 初めのレートだと鳥50羽で大樽1つ、50キロか。

「鳥50羽持ってきてくれたら5年の大樽を1つ。もう倍持ってきてくれたら3年の大樽1つ。それでええじゃろうか?」

「俺は構いません」

 全く損のない取引だ。というか、こちらが色を付けないと申し訳ないぐらいだ。

 ま、それは50羽獲れた後の話になるが。


「鳥以外の野ウサギなどは鳥よりも多くの肉がとれるから1つで小樽3、もしくは小樽4でもええかの?」

 確かに、肉の量を比べたら同じ1つの計算では合わないか。ウサギは毛皮も利用できるだろうし。

「では、それで」

 交換レートがまとまったことで村長はほっとしたような息を吐いた。


「ところで、空き家の方はどうじゃ? 何か必要なものがあれば融通するが…」

 水汲み用の桶や洗濯用タライなどの日用品などが何もないことを気にしているのか?

「野宿慣れしてますし、必要なものはすべて持っています」

「おお、そうであったな。だが、困ったことがあったら言っとくれ。村の者にはあんたに迷惑をかけないよう言っておくが…」

「何かあったら相談させてもらいます」

 では、と味噌蔵から出て帰る。


 そろそろ夕暮れ時だ。帰って夕飯にしよう。

 森の中をただ歩いたわけじゃないから、お腹が空いた。


  *


 村の家の窓は木の扉付きだったので全て閉めた。

 真っ暗になっても夜目スキルがあるが、わざわざ暗闇の中で過ごす趣味もないからライトの魔道具を使う。


 作り置きの料理はいっぱいあるから、今日は取り出すだけですぐ食事が出来る。

 それに念願の麦味噌を手に入れたわけだから、これまでマニムニ食堂でこっそり持ち帰っていた味噌汁がなくなってもこれで安心。


 おにぎりとみそ汁、焼肉にしようっと。肉はなにがいいかな。バッファローがいっぱいあるからこれでいいか。マジックバックから好きなものを好きなだけ取り出して、合掌。お腹いっぱい食べて、食後はコーヒーでまったりした。

 お婆ちゃんとの旅ではアイテムボックスに保存してあるおにぎりや白米、レア肉を使った料理など1週間ほど食べられず我慢したことになる。今は人目も気にせずにひとりごはんが楽しめるので好きな時に、好きなものを食べよう。


「この村でしばらくのんびりするのはいいかも」

 セルセラに行ってからの日々はどこか忙しかった。やることがいっぱいで、スケジュールを立ててあれこれしなければならなくて、どんどん心の余裕がなくなっていった気がする。


 紫ランクまで上げるつもりはなかったけど、あれが…虹の花をうっかり持ち帰ってしまったことがホント、まずかった。

 ここにはギルドはないし、納品のことを考えずに自分の気の向くままに採集を楽しもう。

「採集といえば…」

  木の実を持ち帰ったことを思いだした。高い木の上に生っていた木の実だから普通は落ちてくるのを待って拾い集めるのだろうが…トルネードで枝葉からもぎ取るようにして一度に大量採集してきたのだ。


 この村にいる間に木の実の天日干しは…多分目立つだろうからしないでおこう。だけど準備くらいはしておいてもいいかも。

 ということで久しぶりに木工作業をしよう。

 木でスノコを作り、簡単に組み立てられる木の台も作ろう。木の実だけでなく今後海へ行ったときにワカメなどをとってきてこの上で乾かすのでもいいかも。


 って、待てよ。錬金術やドライの技を使えば…もしかして天日干しは必要ないんじゃ…?

 スノコを1枚作ったところでそれに気がついた。

「………」

 せっかくだし、このスノコは衝立代わりに足をつけてこの家に入ってきたときの目隠しにしよう。このままだと中に入った途端に丸見えだものな。

「うん、そうしよう」

 スノコの隙間は5ミリほどだから、近くでなら隙間から向こうが見えるけど離れたところからその向こうは見えにくいものな。目隠しとしての衝立になる。うんうん。


 せっかく作る気満々で木を1本用意したんだし、何か木工品でも作ろう。何がいいかなー。

 食器類はいっぱいあるし…あ、まな板はどうかな。野菜専用も肉専用は作ったけど、まだ魚専用を作ってない。…って、クリーンを使えば使いまわしできるじゃないか。

「スキルが便利過ぎる…」

 まな板、しゃもじ、木で作ったお弁当箱タイプの蓋つきの容器は大、中、小。タッパーがないから、木で作るしかなかった。森で隠れ住んでいてまだ人里へ行く決心がつかないときに簡単なものは自分で作った。すぐに錬金術さんの家を手に入れて、それからも次々と空き家を手に入れてそこに残されていたあれやこれやを手に入れたから自分で作ったり買ったりする必要はなくなった。


 銅で作ったバットはアイスクリームを作るときのため。…って、今は木製品のことを考えていたんだった。

「アイス食べよ」

 アイスで気分をリセット。生活道具で欲しいものがなかったため、小物づくりをすることにした。


 椿の木を薄くカットしてから均等に溝を入れて櫛を作る。ニス代わりに何か縫って艶が出るものがないかな。それと庶民向けとはいえどこかに細工彫りした方がおしゃれだけど、あまり手を掛けると値段が高くなるかも。そう思うとあれこれ手を加えない方がいいのだろうかと…悩む。

「焼き印でも作って自分のマークを入れておいた方がいいかも」

 自分のマーク。ブランドのロゴマークってことだ。マシロのマ、マシロのМ。ヒロトのヒ、ヒロトの大。真白大翔の痕跡を残す方がいいのか残さない方がいいのか。


 この世界に俺以外の日本人がいて、いい人ならもちろん会いたいと思う。でも、ノベルズなどでもいい人ばかりではなくて…むしろ悪役として登場するパターンもあった。それを考えると積極的に探したいと思わないし、自分が日本から来たということは隠しておきたいと思う。

「ロゴマークひとつで、悩むなあ」

 うちの家紋が桔梗紋だったっけ。桔梗の花は5枚の花弁で表されている。大翔の大の字も見ようによっては5つの棒がくっついている。

 桔梗の花をベースにしてみるか。女性向け商品を作って片隅にマークが入っていても違和感がないものにしておきたい。                                       


 木製品は焼き印でもいいけど、布製品はインクでスタンプだな。スタンプというと付与では慣れているけど…魔力を乗せないようにしないとまずい。意図しない付与になってしまったら慌ててしまう。布用のスタンプとセットのインクも作らないと。

 洗ってもすぐに落ちないようなスタンプか。これ、意外とハードル高いぞ。


 とりあえず焼き印の方を試してみようと焼き印に熱を加えて…切り出しただけの木片でお試しすることにした。

「印を押し付ける長さで色が変わるな」

 ロゴマークをいくつか押してみた結果、こげ茶色もいいけど薄茶色もいいし…どうしようかと迷った。

「うーん、色の違いはワザとだということにしてもう少し囲みの○の線が細い方がいいかも」

 すぐに焼き印を作り直せるところが錬金術のいいところ。

 ○の中に桔梗の花。その花は桔梗と知らなくても5枚の花だということはこの世界の人にも分かる。そして俺にだけは名前の一文字入りと密かな主張も出来る。…さらに丸の囲みの中にМを上下左右四カ所に飾りのように入れておく。


「うん、いいかな」

 木製品の大きさの違いによって押す焼き印の大きさも変えたいので直径1センチから3センチまで3種類作っておく。これで木製品はいいかな。

 布用の印の方は熱を加えないので焼き印より短いハンコタイプでいい。こちらも直径1センチから3センチまで3種類用意した。問題は…インクの方か。布に使われている染料で洗っても落ちないもの、か。

…世界基本知識さん、何かないかな?


 と、聞いてみたところいくつもの素材をお知らせいただいた。


 すぐに手に入りそうなものから、それ難しそうというものまで。中でも気になったのは、やはり青のインク。日本でも藍染めってあったけど、すごく濃いいのに紺ではなく青になる花があるらしい。それに色落ちを防ぐのに海塩水に一晩着けておくといいって…そんなお手軽なので本当かな? 染料になる素材が手に入ったらやってみよう。

 と、思ったら何やら追加のお知らせが。


 あ、以前に採取した花が染料になる? えーと…それどこで採取したっけ? というほど覚えていない。

 取り出して鑑定すると、見覚えのある名前が出てきた。ああ、転移門を超えてこの大陸に来た時の、一番初めに訪れた森で採取していたっけ。


 試しにこのハギレで作った袋で…って、袋の表にある柄と被ってこれじゃあ全く目立ちそうにない。

「ああ、そうか、タグを縫い付ければいいのか」

 洋服の首の裏とか、脇とかにサイズやブランドロゴ、洗濯方法などを記したタグが付いているのを参考にしよう。

「タグだけ先にいっぱい作っておけば製品ごとに縫い付ける場所は変えられるな」

 裏側の目立たないところにつけてもいいし、わざと見えるところにつけてもいい。

 タグの布を白にして青インクもいいけど、青い布に白インクというのもいいかも。シリーズ化して女性向けは白に青。男性向けは青に白。ユニセックスには黄色に青というように分けても面白い。

 タグひとつでワクワクしてきた。


「あ、そういえば」

 何の脈絡もないのに不意に思い出したのは、旅の間のトイレとして作った穴の開いた箱のこと。あれを改良したいと思ったんだった。いつもはあんなもの使わないがお婆ちゃんのためには必要だろうと、思いついてすぐにパッと作ったものだったから、いまひとつだったんだよな。


「あれはマジックバック持ちにはいいけど…いや、普通にマジックバック持ちでもかさばるよな」

 座った時の安定感を優先してしまったのでやや大きい。背凭れを失くしてコンパクトしたつもりだが、それでも大きすぎた。

 持ち運びしやすいことを考えて…まずは、丸い穴の開いた板を用意。これに、ここに木の厚みと同じ溝を掘って…板の高さはしゃがんだ時のことを考えるとあまりにも低いのは嫌だし…と考えながら作ってみたそれは、同じサイズの四角い板が4枚と違うサイズで真ん中に丸い穴の開いた板が1枚の合計5枚。


「ああ、そうだった。座って真ん中というのも都合が悪いんだった」

 座ったときのお尻の状態から…この辺りかな?

 穴の位置を変えたものに作り直す。

「よし、これを組み立てて、座ると…」

 グラグラしない。でも、問題は地面に置いたとはだよな。平地ばかりとは限らない。

「うーん…」

 そこを言い始めたらキリがないか。出来るだけ平らなところで使ってくれ、以上! という強気商品にしよう。


 そもそも、中腰でしたくない人向けだ。庶民向けではないよな。

 割と屋外でのトイレにみんな抵抗がないというか、慣れているというか…

「これ、作ってみたけどあまり需要はない?」

 しばらく考えて、裕福な商人や貴族向けなら需要があるかも…と思い直す。ああいう人達だって、箱馬車で旅してても、途中のトイレは困るだろうし…

 いやいや、貴族向け商品なんか作ったら、どこで誰と縁が出来るか分からないから却下だな。却下。

 これは試作品として、とりあえず残しておくだけにしよう。うん、売り物にはしない。


「大人しく、木彫りでもするか」

 この世界でもネコはいる。けれどそれは家で飼われているわけではなく街ネコという感じで野良猫が街の中をうろうろしている感じだ。野生のタヌキやハクビシンが街の中で生息している感じ?犬は見かけなかった。森には狼や野犬がいて、犬系はまとめて怖い存在になっているみたいだ。小さな犬がいたら多分ネコと同じ扱いになったと思うが、トイプードルやチワワのような小型犬がこの世界にはいないのだろう。


 何を言いたいのかというと、マスコットキャラ的な犬、猫、クマが存在していないから、小物として作れないということだ。

 犬、猫、クマのデフォルメされたものがウケるかどうか分からないから、無難な花や小鳥、蝶や羊などを彫るしかない。

 地域によっては羊の代わりに牛やヤギも人気かもしれない。ハイセイでは羊の形のクッションなどが売っていたから、家畜は人気があるのかも。


 バッグや買い物籠につけることを想定しているので紐の長さは5センチ程度。木製チャームは3センチほどにしてみるか。

 向日葵のような木製チャームをちまちまと5つ作ったところで気が付いた。


 木彫りだと一つ一つ手で彫ることになって時間がかかる。けど金属製で作るなら鋳型を作ってしまえば簡単に量産できる。

「錬金術のおかげで金属の加工の方がお手軽でやりやすいんだよな」

 まずはデザインから考えよう。花の種類をバラ、向日葵、椿、マーガレット、ホタルブクロの5種類にした。アサガオもチューリップもまだこの世界では見ていない。

 椿とホタルブクロを選んだのは、森ではよく見かける形だから。花屋がないのだから、花屋で花を知る人はいない。森に咲く花なら馴染があるかなぁと思ったのだ。

 バラについてはこの世界でも貴族に好まれる花だ。向日葵とマーガレットもそう。男爵様の庭では見かけなかったが、伯爵さまの屋敷の壁紙や絵画にはバラ、向日葵、マーガレットに似た花が描かれていた。


 小鳥というか、鳥は3種類。家紋からヒントをもらったチドリ。可愛いを意識したヒヨコ。カッコいい鳥代表としてワシ。この3種類だ。

 蝶はアゲハチョウの綺麗タイプとモンシロチョウの可愛いタイプの2種類。羊はデフォルメタイプ。リアル系は怖いのでパスして、もうひとつウサギのデフォルメタイプ。元の世界ではよく見かけるキャラデザを参考にさせてもらおう。


 バラ、向日葵、椿、マーガレット、ホタルブクロ、チドリ、ヒヨコ、ワシ、アゲハチョウ、モンシロチョウ、羊、ウサギで12種類か。

「増やし過ぎか?」

 これを1種類10個ずつ作るとしたら…120個か。寝るまでの時間つぶしにするにはなんだか…大変になってきたぞ。思い付きで始めるものじゃないな。

 蝶のモンシロチョウと羊はお蔵入り。鳥のワシも作るのに時間がかかるから止めておこう。花も…椿はナシでいいか。これだと8タイプ。

「まずは元になる型から…」

 鋳造で鋳型を作ってしえば簡単に同じものが作れる。これが木彫りだと一つ一つ手作りすることになるからめんどくさい。

 

 ひとつの鋳型が出来たらあとは10個ずつ作って、次の鋳型へ取り掛かる。鋳型さえあれば後から追加を20個だろうが30個だろうが増やすのは大変じゃない。

「出来たー!」

 まだ紐をつけてないから完成してないけどチャーム部分だけを作るだけでも楽しかった。8種類10個ずつなので80個が完成した。

「いや、ロゴマークを忘れてた」

 でも大丈夫。錬金術を使えば金属が粘土のように柔らかく加工できる。裏面に…スタンプをするかの如くロゴマークを加える。

「後から加工が出来るんだから、ほんとありえないよな」

 紐については既製品が売っていないかを確認して、あればそれを利用することにしよう。紐を2色違いに出来れば16種類になる。


「あ、もうこんな時間か」

 モノ作りに夢中になっていると、あっという間に時間が過ぎるな。

 初期制作の向日葵の木製チャームは売り物ではなくプレゼント用にするか。誰にプレゼントするか、それともしないのか分からないけど。


 奥の部屋は寝室だ。ここにアイテムボックスに入れてあるベッドや布団一式を出そう。シェルターの家で寝る方が安全なのだろうが、せっかく変わった体験が出来るんだ。古民家で宿泊する旅に来たと思えばいい。

「明日は4時起きするかな」

 朝、早い方が狩りしやすい。鳥は沼を中心にして森と行ったり来たりでそこそこの数を揃えることが出来るだろうが…野ウサギは日中巣穴から出ていって散ってしまうから、朝早くか夕方になってからの方が効率がいい。

 トイレと歯磨きも済ませ…あとは寝るだけ。目覚ましのアラームを頼み、ベッドに横になる。


 なんだかんだで疲れていたらしく、安眠スキルを使わなくてもすぐに眠りについていた。



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