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346. 最凶の機体、その名は、ガランゲール

 その、威圧的な黒い機体は、ふわりと地上に降り立った。

 魔導王の搭乗機、ガランゲール。

 十一機のゲールを、一機で全て倒したという最凶の機体。


 そうか、全てのゲールを倒したという事は、ガランゲールだけは無傷で生き残ったという事か。


 では、魔導王とその妹はバスターランチャーで塵になった訳じゃ無いのか?

 いったい、あのあと何が……。


 え?


 なんだ、この知識は?

 なんで、僕はこんな事を知っているんだ。

 初めて見る機体のはずだぞ。


 ズキンと頭が痛んだ。


「ガランゲールに、他のゲールでは攻撃できないんじゃ無いの? え、うんうん、そうなのっ? げんき君、ガランゲールには攻撃行動が出来ないって」

『……、なぜそんな事を知っているんだ? 勇者アヤメ。極秘事項だぞ?』

「ん? なんだか解らないけど、知ってるんだよ」


 僕はキルコゲールをすり足で走らせ、ガランゲールの近くまでいく。

 拳を固めて、パンチを……。

 その、動作は、ガランゲールの近くで、止まった。


『そうだ、このように、全てのゲールは、ガランゲールに攻撃出来ない。だが、ガランゲールは』


 ガランゲールは、背に背負った大きな剣を抜き打ちで振った。

 剣速は、遅い。

 軌跡が、ぶれている。

 僕は、足捌きで、するりとよけた。


『む、よけられはするのか』

「攻撃扱いにはならないみたいだね」


 ガランゲールは、ひゅんひゅんと剣を振る。

 僕は、するすると最小限の動きでよけた。


「その腕では当たらないよ」

『ちっ、誤算だった。よける事は出来るのか』

『ジャン! 二対一で掛かれば当てられるっ! 行くぜっ! 飛高ひだか!!』

「いや、川島くんの動きもどっこいどっこいだし。それに……」


 ミルコゲールには攻撃できるんだ。

 ソードを振り上げて掛かってきたミルコゲールに、カウンター気味にフリッカージャブを打ち込んだ。


 バキューーン!!


 会心音とともにフリッカージャブがミルコゲールの顔面に当たった。

 ミルコゲールはもんどりをうって、草原の向こう転がっていった。


 ディスプレイに映るジャンさんの顔に脂汗がうかんでいた。


『くそっ、こんなに腕が違うのか……』

「魔導王の搭乗機だったら、ジャンさんの魔力と合わないんじゃないか? 魔力変換効率も悪いはずだし。避けてたら、そのうちガス欠になるのかな?」


 向こうはシステム的に攻撃を無効化しているようだが、こっちは腕の差で攻撃を無効化できている。

 千日手というかんじだな。


 ガランゲールは必死になって剣を振る。

 振るのだが、あまりに単純な動きだから、下に振られるまでに五回ほど避けられた。


『く、くそっ!! 避けるなっ』


 攻撃と回避の境目はどこだろう。

 相手の機体を壊さないような動きは止まるかな。


 ふらふらと振られる、ガランゲールの剣を、白刃取りをしてみた。

 !

 止まらないっ!

 がっちりと、キルコゲールはガランゲールの剣を手の平ではさみ取った。


『なっ! それは攻撃じゃ無いのかっ!!』

「盾で受ける、に準じているのかな? ここから投げにつなげたいのだけど、そっちの動きは阻害されるようだよ」


 最凶の機体かもしれないけど、乗ってるのがジャンさんだと、ちっとも怖くないなあ。


 僕は、手の平を離して、剣をはずした。

 ガランゲールはバランスを崩して、たたらをふんだ。


 この剣も、当たればキルコゲールを切り裂く事ができるのだろうなあ。

 当たればだけどね。


 ガランゲールのふらふらした剣の動きを誘導していく。

 うん、思ったとおりに、動かす事が出来る。

 というか、人に切りつけて良い腕じゃ無いぞ、ジャンさん。

 誘導して、どうするかというと、ミルコゲールに斬撃をなすり付ける。

 ミルコゲールの前で、ひらりと剣をかわすと、軌跡は丁度ミルコゲールの肩に切り込まれていった。


『うわっ! どけばかっ!!』

『ぐわああっ!! なんで俺に切りかかってくるっ!!』


 ガランゲールは慌てて剣を引き、バランスを崩して、ミルコゲールの上に転んだ。

 ぐたぐただなあ。


「ジャンさん、前にオッドちゃんと闘った時に、ぐだぐだだなあって思って、あれは偽装だと思ってたんだけど……。あなたの地だね……」

「だめだめなんだよ。ガランゲールが出て来た時の、わたしの恐怖心を返せだよ」


 諜報の時の何段にも重ねる陰謀とか、計画立案は凄い人なんだろう。

 だが、現場で闘う技能が低すぎるし、腕が立たないから武道がなんたるか、とか想像できなかったんだろう。

 攻撃が阻害されるなら、自分の腕でもキルコゲールを倒せると踏んで、ミルコゲールと一緒に来たのだろう。


 武道レベルの差がありすぎで、戦闘にならないんだ。

 僕も強くなったものだなあ。


『当初の計画どおり、コルキスさんを呼ぶべきだったんだよ!』

『うるさい、ガランゲールは、諜報部が魔王様から借りた物だ、軍部の手柄にしてたまるかっ!』


 あんまり現場にでない人なのかな。

 というか、正体が鳥だからかもしれないね。


 まあ、敵がグダグダだからと言っても、別に僕らが勝っているわけでもない。

 お互い、攻撃が出来ないのだから、なにも状況が変化しない。


『くそ、自分の力だけで、なんとかしたかったが』


 ジャンさんが謎の呪文を唱え始めた。

 ガランゲールの近くの空間が歪み始めた。


 ゲールシリーズぐらいの大きさの、昆虫、みたいな魔物が現れた。

 昆虫怪獣アントラーみたいなー。

 頭に大きなはさみを付けた怪獣が三匹現れる。


『ははは、こいつは一万年前に棲息していた、重魔獣だっ! ゲールシリーズと匹敵するだけの力があるっ! いけ、魔獣どもっ!!』


 ゲールシリーズが、対重魔獣用最終決戦搭乗型ゴーレムという看板を背負っているということは、こいつらと闘うために作られたんだろうね。


 一気に五対一になった。

 はさみの重魔獣はすばやく動き、酸を吐き、はさみでキルコゲールを突いてくる。

 ぬぬ、ジャンさんの操るガランゲールよりも、ずっとヤバイ感じだ。


 足裁きで、後退、横移動、半円を描いて前進し、一度に二体以上と向き合わないように動く。

 重魔獣は二本の足で立ち、太い腕を持つ。

 基本的にしがみつき、はさみでくわえ込む感じの攻撃を狙っているっぽい。


「五時の方向、はさみ君一号が飛び込んできますっ! 囲まれないでっ!」


 はさみ君とか、緊張感の欠けるあだ名をつけないでください、あやめちゃん。


 左から、ミルコゲールが切り込んで来たので、アッパーで迎撃して、足をとめさせて、足を取り、百足落としを仕掛ける。

 ジャンプの代わりに、ジェットジャンプで高々と飛び上がる。

 そのまま、はさみ君二号の上に、逆さまに叩きつける。


 ゴワッシャーン!!


『グワーッ!!!』


 ロボに首の骨は無いので、必殺技ではないけど、自重で首が歪み、ミルコゲールの頭が斜めにかしいだ。

 下敷きになった、はさみ君二号は、何も無かったように立ち上がり、はさみを前に突進してくる。

 くそ、はさみ君はタフだな。


 切り込んで来た、ガランゲールの斬撃を、はさみ君三号に誘導。


 スパリ。


 はさみ君三号の硬そうなはさみが片方、切れて飛んだ。

 やばい切れ味だなっ。


 とにかく、数を減らさないと。

 すり足で高速移動して、はさみ君三号に狙いを付ける。

 投げ技系は、乱戦に不利だ。

 投げる瞬間、動きが止まるから、そこを突かれてしまう。


 だから。

 まずは打撃技だ。

 マイカル流の鞭がしなるような、バックハンド撃ち。

 ぐらついた所へ、正拳、中段突き。

 独特の半円を描く足裁きで、はさみ君三号の背後を取る。

 足を刈り、重心を崩して、後ろに放り投げるように投げ飛ばす。

 さらに、空中の三号を追って、首を膝で固めて、地面に激突させる。


 ぐばっと、三号の口から緑色の血が吹き出してきて、体が痙攣した。


 すかさず、三号から離れて、距離を取る。

 一号、二号が連携して、キルコゲールを包囲しようとしている。

 野生動物の冴えた動きに比べて、ガランゲールと、ミルコゲールの動きは鈍い。

 はさみ君達の邪魔をする場面も多々あった。


 はさみ君三号は、動かなくなった。

 死んだっぽい。


 まずは一体。


【次回予告】

なんとか三体の重魔獣をたおしたげんき、しかし、それは、戦いの終わりを意味してはいなかった。

無数の重魔獣を召喚する、諜報王。

鬼神のように闘うげんきだったが、しだいに疲労が蓄積されて……。


なろう連載:オッドちゃん(略

次回 第347話

いつまでも続く死闘

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