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347. いつまでも続く死闘1

 はさみ君三号を倒した。

 残る敵は四体。

 攻撃できるのは、ガランゲール以外の敵。


 ガランゲールに攻撃をすると、嫌な感じに途中で動作が停止する。

 キルコゲールのシステムの方で、攻撃の途中でストップがかけられている感じだ。

 モーションが途切れる、ような。


 攻撃であるか、無いかは、どこで判断しているのかな。

 精神か、魔導的な気のようなものか?

 はさみ君を投げて、ガランゲールの方に投げるのは出来る。

 たまたま、それが当たるのは有りのようだ。


 はさみ君をガランゲールに狙って投げるのは、無し。

 途中で動作が止まる。


 脳内のターゲティングを読んでいるのか?


 防御動作については無制限だ。

 受ける事も、避ける事も可能だ。


 はさみ君二号の肩を取って、ガランゲールの斬撃を受ける。

 すぱり。

 と、はさみ君二号の右腕が、ガランゲールの剣で切り落とされた。


 ガランゲールの動きはガクガクしている。


 腕が立たない、と、思っていたのだけど、なにより、魔力が足りないのかもしれない。

 魔導機に初めて乗ったアリアさん見たいな動きだった。

 べらぼうな魔力を持つ魔導王にカスタマイズされた機体だからなあ。

 ジャンさんは無理をして乗っているのだろう。


 腕が無くなった、はさみ君二号の首に腕を絡ませてねじる。


 ボキン。


 ブシャーっと、緑色の血が噴き出し、はさみ君二号は地面に崩れ落ちた。


 二体目。


『くそっ! なんて強さだっ!! コルキスに勝ったというのも嘘ではないらしいなっ』

『な、なにっ! あのコルキスさんに勝った? 飛高ひだかが? 生身で?』

『ああ、本人がそう言ってた』

『ゲ、ゲールで闘って勝ったんじゃなくてかっ?』

「生身の人と、ゲールで戦えるわけ無いだろう!」

『だ、だって、おまえ、飛高ひだか、コルキスさんって言ったら、魔王軍で一二を争う強い武人だぞ、あんな化け物相手に、生身で?』

「そうだよ、だから、あきらめて、魔王城に帰りなよっ!」


 はさみ君三号の腕をとらえた。

 そのまま、腕を引き、肘を打ち込む。


 ガジャリッ!


 嫌な音がして、はさみ君三号の頭部にひびが入った。

 外骨格な魔獣さんなのね。

 はさみ君三号の体勢を崩して、肩に担ぐようにマイカル流のやぐら投げをしかける。

 頭のはさみを前にして、ミルコゲールの方へ投げ飛ばす。


 ガシャーーン!


『ぎゃーーっ!!』


 はさみ君三号のはさみが、ミルコゲールの右腕に刺さった。


『くそ、腕が、右腕がっ!!』

『くそう、ここまでの腕とは、想定外だった』


 ドギャアアアアン!!


 会心音と共にキルコゲールの中段突きが、はさみ君三号の胴体にめり込んだ。

 内臓をつかみ出す。

 ボリボリボリッ!

 外骨格が割れる嫌な音と共に、ドデカイ魔石をキルコゲールは掴み取っていた。


「高く売れそうなんだよ」


 魔力生物は、魔石が無いと体を維持する事ができない。

 はさみ君三号は、地面に崩れ落ち、グズグズと体を溶かして消えていく。


 三体!


「僕の勝ちだ、さっさと魔王城に帰れっ!」


 ジャンさんはコクピットで、額に手をあて肩をふるわせていた。


『まだだ、勇者ゲンキ……』

『ジャン、帰った方が良くないか?』

『だまれっ!! カワシマッ!! 俺はここで、勇者をしとめるっ! もう、出し惜しみは無しだ!! いでよ、重魔獣!!』


 ジャンさんは呪文を唱え始める。

 それを止めたいのだが、攻撃する方法が無い。

 ああ、こんな時にオッドちゃんがいればなあ。


 ……。


 うん、ちょっと期待したけど、帰ってこないね。


 地面からにょきにょきと重魔獣たちが生えてくる。

 トカゲに似た奴、特大のワイバーンのような奴、はさみ君、針まみれなハリネズミのような奴。


「トカゲ君一号、二号、三号、ワイバーン君一号、二号、はさみ君四号、五号、ハリネズミちゃん一号、二号!」

「なぜ、ハリネズミだけ、ちゃん付け?」

「ちょっと可愛いからだよ」

『これが、旧世界の悪魔たちだっ! 貴様ら、キルコゲールを倒せっ!!』


 ジャンさんの号令一発、八匹の重魔獣がキルコゲールに向けて突進してきた。

 くそっ!

 一匹一匹が、ミルコゲールよりも、ずっと強いぞ、こいつら。


「ワイバーン君二号、来ますっ!!」


 空中ユニットである、ワイバーン君をまず潰そう。

 陸軍は後だ。


「ジェットパック、出力全開っ!!」


 轟音を立てて、キルコゲールは上昇する。

 ギャワギャワワー!! と耳障りな叫び声をあげて、ワイバーン君二号はキルコゲールに後足のかぎ爪でキックをしてくる。


 ギャリギャリッ!!


 つっ!! キルコの魔導合金装甲が火花を散らして削れるのが見えた。

 まじかっ!!


 だが、接近戦はこっちの物だ!

 かぎ爪の付け根を掴み、引き寄せて、鞭のようにしなるマイカル流の突きをワイバーン君の頭に叩き込む。

 ギャーーーーッ!! と悲鳴を上げて暴れるワイバーン君二号。

 とどめっ! と、拳を振り上げた所へ、ミルコファイターが飛び込んできた。

 激突を避けるために、僕はワイバーン君二号の足をはなす。


『空中戦ならば、このミルコゲールの縄張りだっ!!』

「くそっ!!」


 ミルコジェットの空中機動は、変態的とも言える動きだ。

 慣性の法則を無視して、ギュンギュン曲がり、縦に円を描いて、キルコゲールに肉薄する。

 バシバシと音がして、ミルコファイターの両翼に刃物が飛びだした。


『くらえっ!! 飛高ひだか!!』


 僕はジェットを吹かしながら、ミルコファイターに真っ向から突っ込んでいった。

 早い、が、コルキスさんの爆裂剣ほどじゃあない。

 ミスリルナックルをはめた、キルコゲールの拳を真っ直ぐミルコファイターの翼の刃に打ち当てる。


 ガッキーン!


『ぐあっ!! くそ、器用な事をしやがってっ!!』


「十二時の方向、上方から、ワイバーン君一号!」


 知ってる。

 というか、感じている。

 もはや、僕の柔道アイは、全方位に広がり、柔道レーダーのような物に進化している。


 狙うは、接触の瞬間、刹那の時間。


 ギャワアアアッ!!


 ワイバーン二号は、三時の方向、下から上昇中。

 ミルコゲールは気持ちの悪い動きで旋回中。

 そして、ワイバーン一号のかぎ爪が、キルコゲールの後頭部に接触した。


 その瞬間僕は、振り向きもせずに、かぎ爪の根元をつかんだ。

 どうして位置が解ったかって? それは、なんか、気のような感じだ。

 平たく言うと、感だね。


 かぎ爪の根元、左足首の部分を持った僕は、ジェットパックを全開で吹かし、空中で反転、ワイバーン一号の上に覆い被さり、羽を固めた。


 ギャオギャオギャオオオオッ!


 つんざくような叫び声を上げるワイバーン一号だが、もう、お前の体は横四方固めの要領で、がっちりと固められ、地上に自由落下中だ。


 その時、思いもしなかった光景が、下を見た、僕の前に広がっていた。


 重魔獣の群れが、メイリン市の方へ駆け出している。


『ははは、良いのか勇者ゲンキ、このままでは、メイリンの街が、重魔獣に蹂躙されるぞっ! 村食いから助けた娘も、孤児院の子ども達も、全滅だ!!』

「諜報王っ!! きさまあっ!!」

「げんき君っ!! 急ぐんだよっ!!」

「おうっ!!」


 僕はジェットパックの噴射を最大にして、ワイバーン君一号を地面に激突させた。


 ドガガーーン!!


 ワイバーン君一号は地面にめり込み、血反吐を吐き出して動かなくなった。

 体をくねらせるようにして、ジェットの方向を下向きにし、地面を蹴って、僕は再び空中に飛びだした。

 目標は、七体の重魔獣の先頭! スラム街の手前だ!!


 天頂から、急降下でミルコファイターが襲ってきた。


飛高ひだかーっ!!』


 ボレアスさんっ!!


<応! 感覚球に我を!!>


 ボレアスさんを、感覚球に押し当てる。

 一瞬で、キルコゲールは緑のオーラをまとって、キルコボレアスゲールとなった。


『そ、その機体は、その色はっ!!』

「そうだ、君を一度負かしたモードだっ!!」


 飛び込んで来たミルコファイターの横合いから、風の手で伸ばしたフックをぶちこんだ。


 ドキュウウウウン!!


 拳銃の発射音のような音がして、ミルコファイターのコクピットの横が、拳型にベコリと凹み、左側に吹き飛んでいく。


 上空から、スラム街に踏み入れそうになっていた、ハリネズミちゃん二号を風の手で引っつかんで後方に投げ捨てる。

 そのまま、スラム街の前に着地、ふり返る。


 空には、ワイバーン二号。

 地上には、六体の重魔獣と、ガランゲール。

 後ろにはスラム街、その後ろはメイリン市だ。


<主よ、キルコボレアスゲールのモードは魔力の消耗が著しい、セーブせよ>


 解った、ボレアスさんっ!


 重魔獣の群れと、僕の戦いが始まった。

【次回予告】

街を守りながら、重魔獣と闘うげんき。

だが、キルコボレアスモードの魔力燃費は凄まじいものだった!

魔力切れで疲弊するげんきに対して、諜報王の卑劣な攻撃が始まる。


なろう連載:オッドちゃん(略

次回 第348話

いつまでも続く死闘2

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