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252. ダンジョンアタックの計画を始める

 目が覚めたのである。

 ……。

 また蜘蛛の夢をみたなあ。

 そろそろメイリンに来る模様だね。

 あと、キルコの中の人と何か喋った気がするんだけど、思い出せない。

 なんだったかなあ……。


 まあいいや。

 僕はベットの上で伸びをして、起き上がった。

 寝間着を脱いで、体操着に着替える。


「おはようございます、我が君」

「おはよう、パット」

「おはようなんだよ」


 パットも、あやめちゃんも準備万端のようだ。

 電車の寝台車みたいな二段ベットの中で着替えるのは大変なんだろうなあ。

 まあ、そんな事はどうでも良いので、ランニングに出発だ。


 さて、ギルドを出て、朝靄の塔路を走り始める。

 今日も連邦口主道アベニューを下りる所から始めよう。

 わっせわっせ。


 坂を下りるのは楽なんだけど、速度を落としながら走るので、意外に足の筋肉を使うね。

 ほっほっほっ。

 眼下に遠く、共和国の樹海が見える。

 その手前の草原に、ベルナデットは潜んでいるのだろうね。

 本日中の襲撃も考えておかないといけないな。

 とりあえず、キルコの中の人がマークしてるから、近づいてきたら、あやめちゃんのヘッドセットを通じて教えてくれるだろう。

 奇襲が無い分、暗殺者としては怖くないね。

 まあ、殺人鬼みたいに、一般市民を巻き込んで暴れられると困るんだけどさ。

 わっせわっせ。


 上廻り横路ストリートの交差点を通過、さらに下りる。

 黄金の飼い葉の前を通過して、ライサンダーさんに手をふる。

 たまたま、柵の近くにいたのだな。

 僕らをみて、ライサンダーさんはヒヒンと鳴いた。

 わっせわっせ。


 連合口近くの下町に近づいてきた。

 朝のざわざわした街の雰囲気は好きだな。

 牛乳を運ぶ荷馬車、香ばしい匂いでパンを焼き始めるパン屋さん。

 走る僕らを見つけて、街の人が、おはようと挨拶をくれる。

 僕らも挨拶をしかえして、走る。

 わっせわっせ。


 連合口広場につく。

 入管はまだなので、広場は静かに商売の準備をしているかんじだね。

 そろそろモヤが晴れてきて、日がさしてきた。

 太陽があたると、ちょっと暑い。

 わっせわっせ。


 広場から下周り横路ストリートを北上する。

 ちょっと行くと、キャバレー快楽亭があって、目がとろんとした眠そうなバニーさんたちが、僕らを見つけて手をふる。

 ああ、バニーさんの中に、一人だけ本物のウサギの獣人の人もいるね。

 生バニーさんである。

 他の人は、人族で、バニースーツを着ている人だな。

 水商売の人は、朝まで騒いで、これから寝るのかな。

 ただれた生活であるよ。

 わっせわっせ。


 北に北に、距離を稼いで、孤児院前だ。

 今日もませ子が門にへばりついて、僕らを見て手をふってくる。


「おはよう」

「おはようっ! 今日も孤児院に来るの?」

「今日は用があるから駄目だね」

「なによう、毎日来なさいよね」

「うん、なるべく行くよ」


 笑って、僕らはませ子に手をふって、孤児院の前を通過する。

 今日の午後は、セシリアちゃんの作ったパンを食べに治療院にいかないと。

 なかなか、マイカルさまの講座は受けられないなあ。

 実践的で勉強になりそうなんだが。

 わっせわっせ。


 北の端で、口なし主道アベニューに入って、坂を上り始める。

 ここら辺の下町はゴミゴミしてるけど、庶民的なお店があって、結構好きだな。

 昨日の古着屋さんは、まだ開いていないようだね。

 あ。

 リターナーさんに寝間着を渡すのをすっかり忘れていた。

 いかんいかん。

 後で渡そう。

 わっせわっせ。


 どんどん坂を上がって、上廻り横路ストリートの交差点を通過する。

 ふう、汗がでてきたよ。

 オッドちゃん御用達のお菓子屋さんの前を通りすぎる。

 途中、牛乳屋さんを見つけたので、立ち止まり、箱買い。

 物陰で魔法袋へ入れる。

 昨日一昨日と牛乳を買い忘れていたんだよね。

 パンゲリアの牛乳は工場で作ってるわけじゃないので、一軒一軒結構味がちがうんだ。

 ここの牛乳はどうかな。


 さて、塔路を目指して、また走り出す。

 わっせわっせ。

 一気に塔路に到着して、ちょっとクールダウン。

 なかなか良いペースだね。


「大分タイムも良くなってきましたね」

「毎日走ってるからね」

「げんきくんはやれば出来る子なんだよ」


 さて、褒め言葉を貰ったので、張り切ってランニング再開である。

 ホテルカルビン前で右折して、共和口主道アベニューに入り、下りはじめる。

 わっせわっせ。


 メイリンの主要道路は、綺麗に石畳で舗装されていて、ちょっと硬いんだけど、走りやすい。

 間道とかには砂利道とかも多いね。

 メインの主道アベニュー横路ストリートは、日本で言うと二車線道路ぐらいの広さがある。馬が通る道だから、それぐらいないと走りにくいっぽいね。

 カイルベルの山塊を、遠くに見ながら、坂を下りる。

 わっせわっせ。


 すぐに上廻り横路ストリートに到達し通過する。

 八百屋さんに挨拶をして、ドンドン下りていく。

 共和口に近づくほどに、エルフさんや、ハーフリングさん、ドワーフさんの姿が増えていく。

 おはようおはよう。

 わっせわっせ。


 どんどん下りて、共和口広場に到着。

 魔法袋から水筒を出して、カプカプ飲む。

 あやめちゃんが手を出してきたので、あやめちゃん水筒を渡すと、彼女もカプカプ飲んだ。

 パットに目で、飲むと聞くと、笑って手を出してきたので、皮コップに水をいれて渡す。

 パットもカプカプ飲んだ。

 ふう。


 煙草屋のおやっさん八号さんが手を振ってオハヨウと挨拶をくれたので、おはようございますと返して、走り始める。

 下周り横路ストリートを南下していく。

 下周りの道は、繁華街なので、賑やかで猥雑なお店も多い、まあ、朝は静かな物ですけどね。

 わっせわっせ。


 濃密なエスニックスパイスの匂いの中を走る。

 なんだか東南アジアな街を走っている感じになるね。

 さっくりと、連合口広場に到着。

 まだ、だいぶ足は残ってる感じだな。

 わっせわっせ。


 さてさて、最後の坂上り。

 連合口主道アベニューを上がり始める。

 ふうふうっ。

 だんだん身体が熱くなってきたよ。

 ウオームアップという感じね。

 わっせわっせ。


 みちみちの獣人さんたちが手を振ってくれる。

 手を振りかえして、走る。

 わっせわっせ。


 あやめちゃんも、パットも、つらい感じはしなくて、二人とも体力がすごいなあ。

 ようやく彼女たちぐらいの水準に僕の身体がなってきたって事かな。

 耐久的な体力は上げるのに時間が掛かるので大変であるよ。

 わっせわっせ。


 体力って、どれくらいまで上がるんだろうね。

 毎日、一年もやっていれば、マッチョになれるのだろうか。

 ライオン大統領みたいな身体になれたら良いなあ。

 でも無理だろうなあ。

 わっせわっせ。


 四たび、上廻り横路ストリートの交差点を通過する。

 さあ、ラストスパートである。

 わっせわっせわっせ。


 ああ、なんだか、走ると気分が爽快になるね。

 身体を動かすのは、なんだか楽しい。

 スポーツマンの気持ちが、少しわかった気がするよ。

 良い空気の中で、美味しい物を食べて、運動をする。

 ある意味、この世の極楽と言えよう。

 わっせわっせ。


 どんどん上がって、市立図書館の前を通りすぎ、塔路に到着。

 ふう、やれやれ。


 歩きながらクールダウンする。

 はあ、すごい汗だ。


「だんだん修練の結果が出て来てるんだよ」

「うむ、我が君はどんどん強くなられる」

「まあ、だんだんね、命掛かってるとしょうが無いね」

「日本に帰っても、ランニングをするんだよ」

「うーん、それはだるい」

「我が君……」


 ギルドの馬車溜まりに入って、馬車に戻る。

 戸を開けると、ふわっとパンの焼ける良い匂いがしてきた。


「おかえり、朝ご飯を作ったわよ」


 オッドちゃんがキッチンでエプロンをつけて、浮いておられた。

 ソファーでは、エルザさんと、リターナーさんがパンをかじっていた。

 お、意外に良い焼き具合だね。


 テーブルに並べられたメニューは、ハムと目玉焼き、なんかのスープ、それからミニサラダ、パンはパリムだね。

 ふむふむ、スープを一口飲む。

 お、ちゃんと普通のオニオンスープだな。


「おいしいよ、オッドちゃん」

「ほほほ、いつまでも飯マズの汚名は着ていないのよっ」


 えっへんと、オッドちゃんはドヤ顔をした。

 ありがたやありがたや、日々成長しているのは、僕だけでは無かったようだ。


「いただきまーす」


 オッドちゃんもテーブルに付いて、みんなで楽しく朝ご飯である。

 あ、パンもちゃんと焼けているね。

 パリパリ。


「おいしいよ、オッドちゃん」

「ふふふ、たいしたことじゃあないわ」

「うむむ、私も負けてはいられないな、うん、美味しくなっている」


「そろそろダンジョンアタックの日時を決めようか」

「いつでも良いわよ」

「今日は、治療院でセシリアちゃんのパンをごちそうになるから、明日、明後日にするかな?」

「装備類はそろってるのか?」

「だいたいは買って、オッドちゃんの空間か、僕の魔法袋に入ってるよ」

「今晩、装備をチェックしやしょう」

「あ、忘れてた、はい、これリターナーさん」

「なんでやすか、あっ、これはわざわざありがとうございやす」


 僕は、リターナーさんに寝間着を渡した。


「へへ、いいなあ、リターナー」

「似合いそうでやすね、おそれいります」

「晩に、装備一式を出して、リターナーさんとエルザさんにチェックしてもらおうか」

「わかった、あと食料は?」

「五十三階だと、一泊、二泊かな?」

「大目に、三泊で計画して持って行きやしょう。物資の量の上限が無い分、かなり楽ですよ」

「オッドちゃんの空間魔法と、げんきくんの魔法袋さまさまなんだよ」

「あ、ジーナの所に行って、薬品を積んでいかないと、契約もまだだわ。クルツのもね」


 食料、六人が三泊分、三食だから、五十四食分か、結構な量だね。

 四日間だから、あまり腐りやすい物は持っていけないけど、野菜なんかは持ちそうだね。

 ハムソーセージの類を大目にして、生肉類は、一日目、二日目で消費するようにしないと。


 なんか、山登りとか、キャンプの計画っぽいね。

 ケービングの一種のような物だから、似たようなものか。


「三十階まではピットで直降下できるんじゃない?」

「あれは使っていいのかな」

「メイリンにもピットあるんでやすね、キルークは十階までのピットと、二十五階から三十五階までのピットがありやすね。もっと深いピットもあるらしいんでやすけど、発見したパーティは黙ってやすので、噂しかありやせん」

「ピットがあると無いでは、掛かる時間が違うからねえ。秘密にしちゃうのか」

「ピットを探しに、落下して、死ぬ事もよくありやすよ」

「それは嫌だね」


 生きているピットを見つけられるのは行幸なんだなあ。

 メイリンでは一応、三十階までのピットは知られているけど、そこから下のピットは知られてなさそうだなあ。


 キルークのような死にかけの迷宮なら、下りるのも楽なんだけど、メイリンは生きてるからね。


「とりあえず、今日からダンジョンアタックの準備にかかりましょう」

「了解でやす」

「おうよ」

「わかったわ」

「了解です、我が君」

「たのしみなんだよ」


 さあ、純晶水を探して、転移の球を直しましょう。

【次回予告】

これまでの魔物の懸賞金の書類仕事で、げんきの朝は、なかなか忙しい。

そして、マイカル様目当てにやってくる、獣人の武道家ウマル!

神さまの身柄を掛けての勝負にげんきは勝利できるのかっ!

そして、ウマルが手にする四大聖護拳ノトスとは!


なろう連載:オッドちゃん(略

次回 第253話

道場破りと、神さまを掛けての大勝負

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