表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/16

⑭ アリガトウ



【【【…オォ…オォ…ニ…。】】】


「な、…なんだ…。どうした…?おまえ…光ってるぞ?」


【【……オォ…ヵ…サン……。】】


一緒に遊んでたコンプレックスはフラフラと立ち上がり光りだした。優しく、ゆっくり、温かさすら感じるような光だ…。何が起こるってんだ…?


…!!

体─、幽体がまるで粘土のようにグニャグニャしだした…。まさか、進化…?まるで、サナギの中身みたいだ…。ドロドロになって…る?──なにかに変身しようとしてる??“進化”の途中みたいな…そんな感じだ…!でも、敵意はさっきから全く感じない。おれはそいつの放つ光に目を奪われ続けていた。そして、そのコンプレックスの“繭”が弾けた──


【…ありがと…う…。】


“中”から出てきたのは、おれよりも、少し年下くらいの小さな《女の子》だった…!?─。

自分の目を疑う…。怪物と思っていたモノが、こんな…女の子だったのか…。これが、─こいつの正体…?見たことも、体験したこともない。とてつもない存在感だ…。おれは、儚い面影のこの子から目が離せなかった─。



【…わたし……あそべて…たのしかっ…た…。…こんぷれっくす…なんだ…、わたし…。…でも、あそんでくれた…。】

【わたしを…あらわす…“ココロ”はね……。】


「言わなくていいよ…!分かってる!」

「…でも、もうおれが居るから大丈夫!たぶん…」


この子を象ってる感情…心。“孤独(こどく)”だ。

多分間違いない…。根拠はなんもないけど、変身前のこの子の“無い親指”…。孤独の現れ─そのものなんだろうな…。さっき…おれは、その指に触れた瞬間、この子の思考だの感情がなだれ込んで来る感覚になった──。まるで…心を許してくれたような…ドアのカギを開けてくれたような…そういう感じなんだよ。そして、開けたドアの向こうは光で溢れてた。


【ありがとう……、はじめて…そん…なこといわれた……ありがとう…あ…りがと…──】

「… … おまえ…。」


【…ありがとう。ちまき…。──】




──……。





消えた…。消滅した。せっかく、せっかく…仲良くなれたと思ったのに。敵じゃ…なかったのに。守れたかもしれないのに。呆気なく、すぐに消えた。


「……気付いてたのか?茅蒔…。あのコンプレックスの正体が“孤独”ってことに…。」


風月は最初から知っていたんだろうか。おれを、ずっと見ていたのも、試していたんだろうか…。ヤバいな…軽く頭がパニクってきた…。コンプレックスとはいえ、おれは…罪のない霊を殺したのかもしれない…


「ずっと、おれの神通力は()()使()()()()()()…。敵意を感じなかったから…かも。それと…風月」

「……もしかして、おれ…あの子“殺した”…?孤独から…解放したから?」


答えを聞くのが怖い。声も、震えてしまった。


「違う、殺したんじゃない…、“浄化”だ。

コンプレックスの固定観念の消失は、無に()す事を意味する…。」


意外な答えが返ってきたぞ…あの風月から…。─固定観念の消失…。

そのコンプレックスの存在理由が無くなる…

ってことか。“浄化”ね…。…なんて都合の良い、キレイな言葉なんだろ…。さっきまで、あんなに楽しかったのに。おれは…自分が嫌にな…─


「茅蒔くんに……っっ!!自分を責める理由はないんだよ…!!!」

「………。水月ねーちゃん…。」


水月ねーちゃんは、ほんの少し泣きながら、おれを諭す様に、でも少しだけ叱る様に、優しく手をギュッと握りしめてくれた。


「単刀直入に言おう茅蒔。お前のコンプレックスへの対応…」

「──、100点満点だ。…ムカつく程にな。」

「…へっ!?」


なんか、悲しい気分とほんのり嬉しい気分が混ざってグチャグチャの気分だ…。風月に褒められるとは、思わなかったけど…。慰めてくれてんのかな…?ありがと…風月。そういう一面もあるんだ…。


「コンプレックスってのは“フツー”は浄化なんか出来ない。大したヤツだよお前は。」

「風月が褒めてくれるなんて…明日は雨かな…?」

「可愛くね〜ガキだなッ……本当に…」


相変わらず言葉は汚いけど、正直嬉しかった。なんだ、水月と似てるとこあるじゃん!ちょっとだけ、風月の笑顔見れた気がする。


「茅蒔くん…あなたは偉業を達成しました。コンプレックスの浄化です!」

「え…あ、うん?」

「お姉ちゃんのお墨付きだよ~!茅蒔くん…ホントに凄かったよ!!」


2人の巫女さんに褒められるのって…自分で言うのもなんだけど結構、徳なことだよな…。これからもし、またコンプレックスと鉢合わせても、傷付けずに…今日みたいに行動できるようにしたいな…。痛いのはお互い嫌だもんな。


「あっ…空が晴れたよ!茅蒔くんの勇気のおかげだね!!」

「ホントだ…すごい!昼に戻った!!って、え〜と…幽気は、今回あんまり使ってないんだけどね!」

「ふふっ…!茅蒔くん、そっちの幽気じゃなくて!勇ましいって意味の勇気!とっても、立派でした!」

「あ、そっちね…!なんか、心も晴れてきた…!」




孤独(こどく)”のコンプレックス

──茅蒔により浄化される。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ