⑫ コンプレックス…!!
おれは茅蒔。緑色の変な髪になった6歳。伸び縮み可能ぽい。
なんか、え〜と変な森で寝てて。んで、目が覚めたらビックリ。なんと、そこは“あの世”でした…!…笑えない。
そこでおれがウッカリ、封印されてるとこを起こしてしまった不思議な火の玉─
名前は“世界休め”。
グ〜タラで眠そうで、何よりも「メンド〜い」が口癖。
“怠惰”の《コンプレックス》っていうやつらしい。
人間が産んだ色んな感情・怨念が集合して実体化した怪物らしい。世界休めは全然、脅威に感じないけども…。
おれは今、色々あってふたりの巫女さんと行動してる。キツネみたいな鋭い目付きの風月と、背の大きい優しい目の水月ねーちゃん。ふたりは双子らしい。ほんっとに似てないけど…。
んで、あの世界休めが、バラバラにされて無くしてしまった“超能力”…えと、《神通力》を探してる最中。
なんでも、その神通力ってやつがホントは全部で6個あって〜…手元にまた全部、戻った時に世界休めの本来の神通力…《世界休め》が使えるようになるらしい。
おれが封印を解いたからって、またそのおれに封印をさせるんだってさ…どんだけ寝たいの…??
…あとコレ。なんで自分の能力の名前と一緒の名前を自分に名付けたんだよ…アイツ…。ホントに紛らわしい……。
そこが一番メンドウくさい……。
取り敢えず、言いたいことは色々あるんだけど…でも!良かったことは、“あの世”の食べ物はちゃんと美味しい…ってことだ。おれ、結構食べちゃうほうだから助かった…!
周りの建物とか…神社も、…薄っすらなんだけど前におれがいたニッポンに物凄く似てる。ホントはおれ、死んでないんじゃないか…?ってくらいニッポン。てっきり、地獄みたいなのを勝手に想像してたんだけど…そこは良かった。なんとかおれ、ここを好きになれそうかも……。
そんなこんなで、さっきご飯屋をふたりと一緒に出た。空はお日様が温かい…。おれが死んで…森で寝てて…ホントは何日経ってたんだろう…。たまに考えるなぁ。取り敢えず、風月がなんか物凄い“占い師”のとこにおれを連れていくらしい……。おれ、ウラナイとかまじで信じてない…。でも、ここにきてから信じられないことばかり起きてきた。…う〜ん…なら、逆に信じれるのか…な?
「なぁ〜風月。その、占い師ってホントに当たるの?というか、おれの何を占うのさ…?」
「お前のこれからの行き先を視てもらう。“神通力探し”のな。何もアテがないからな、ま…あの方ならなんとかなるだろ…。」
…なるほど、風月って意外とおれのこと考えてくれてる…?確かにおれ、世界休めに封印してやる!って約束しちゃったけど、全く後のこと考えてなかった。確かにどこに能力があるかとか…そもそも、能力って“ある”もんなのか?とか…。疑問が山のようにあるよなぁ。敵が持ってたりとか、どっかに置いてあったりとか。もっとアイツに色々聞いときゃ良かった…。ミスった〜…。
「幽眉笛さんっていってね〜茅蒔くん。お姉ちゃんが《守護霊》に成れたのもその人のおかげなの。」
「守護霊…?“守護霊”ってあの背後に居る守護霊?」
「…フン、ちゃんと後ろから監視してるぞ。それと、お前より身分はクソ上だ。嘗めやがって…。」
「守護霊か…そんな存在も居んのか。このダブルヘイムには…──」
──!!
「─…、お姉ちゃん…何処か、コンプレックスの存在力を感じる…。」
そん時、ちょっとだけ気持ち程度に…空が暗くなった気がした。それと、水月ねーちゃんの顔つきが変わった…。まるでハンターの目だ。さっきまでの優しい顔の巫女さんはもう居ない…。水月ねーちゃんは、おれを守るようにしゃがんでる…。おれの目の前が、大きな背中でいっぱいだ…。そんなに、やべーのかな?世界休め以外のコンプレックスってのは…。
「茅蒔くん、離れないでね?」
「う、うん。」
…情けないなあ、おれ。もっと強くなりたい…。もっと勉強しなくちゃ…。もっと大人の考えをマネしなくちゃ…!…ビビったまんまでいられない……!よし…!ちょっとだけ覗いて…──
───ゾゾゾ…バっリィイイインン……。
「出たな。」
「…うん。」
「……!!!!??……。
そ、空が…!!ガラスみたいに……
割れた………?!!!!???」
ありえないありえないありえないありえない。
なんだアレ…あの…あの空の中に…ナニか居る……!!!!な、なんなんだ“アレ”…!
これが……これがコンプレックス…??
世界休めとは全然違う…思ってたのと違う……。
まだ“ソイツ”は陰で見えない…のに、わかる……。
──ぜったいに、ヤバい…。…ど、…
どんなヤツなんだ…!?気になる…。
あの…あの世界休めと、同じ種族の…生物…!
………なんだろ……怖いけど……。
…ワクワクしてきた…
……………………!!!!………………
「オイ!バカ茅蒔!!ウロチョロするな!!…!」
【【【ボク‥ヒトリ‥ナノ?????】】】
……!!!
───ズリュウウウーーーッッツ!!!!
────ズバッッッ…!!!……。
「茅蒔くんッッッ!!!!!!」




