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この世界は好きですか?  作者: ふう♪
第8章崩れゆくもの
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第74話 テルンの本気



 トルメ達の後を追って扉の向こうへと渡ると、俺達がいる円型の広間の奥に二本の道が現れた。


 どちらも先は霧がかかっており見えにくい。


「……どっちだ?」

「待って、私が視るわ。……こっちよ」


 ルミ姉が指さしたのは右の道。


 俺達は未来神である彼女の言葉を信じ、右の道を選ぶ。


 右の道へ行こうとしたその時ーー、


 ビュオオオォッ!


「なんだ!?」


 突然吹き荒れる突風。身体が後ろに戻されそうな勢いだ。


「っ! 和樹あれ!」


 オルフェナが空を指さす。そこにはこの空間の天井を飛び回る巨大な鷲がいた。


「……ミツケタゾ! 鎧の女ァ!」

「……私?」


 鷲はツィーを見つけた途端、彼女目掛けて急降下する。


「オマエノせいでわしは負け、こんなスガタになったんジャアァッ!」

「……あーあの時の。武器変化(サイズチェンジ)


 ツィーはめんどくさそうに呟き、大剣を巨大化させる。

 そして鷲目掛けて一気に振り下ろす。


「グガアァッ!」


 鷲は真っ二つに斬られ……てはおらず、前に突きだした二本の足でなんと巨大な大剣を止めていた。


「ソノテニハ引っかからんぞ!」

「……っ!」


 鷲は掴んだ大剣をツィーごと振り回し、投げ捨てる。

 投げられたツィーは地面にぶつかる直前に体勢を立て直し、なんとか着地する。

「大丈夫!?」

「うん。それより……こいつ、前より強い」


「グガアァッ! ワシはもうこれまでのワシではない。ここで貴様らを根絶やしにしてやろう!」


 鷲の口内に緑色の光が集まる。


「させないわよ」


 ルミ姉が鷲の目の前に現れ、上からくちばしに向かって拳をぶち込む。


「グゴッ!?」


 ドッゴオォーーーーーン!


 ルミ姉が拳をぶち込み、後ろへ下がった直後、鷲の口内が爆発を起こす。


「いぃぃやあぁっ!」


 動きが鈍った鷲に向けてツィーが再び大剣を振り下ろす。


「ッ!?」


 鷲は命の危機を咄嗟に感じ、上半身を逸らす。

 ズシャアァッ!


 だが、完全に避けることは叶わず、頬に大剣の先端がかする。


「グギァァァッ!」


 鷲は前足でツィーを抑え込む。


「っ……しまっ」

「コレデオワリダ!」


 再び鷲の口内に光が集まる。

 だが、そこから何も放たれることはなく、ただ光りを放つだけだった。


「ナッ!?」


 驚く鷲の前にーー、


「いったでしょ。させないって」


「クゴッ!?」


 真正面から殴られ、後ろへ吹っ飛ぶ鷲。


「……まだ私は戦えるわね。それに、あの力も戻ってきてる」


 ルミ姉は右手を鷲に向かって構える。


「グ……おのれ……!」

「未来の裁き」


 次の瞬間、立ち上がる鷲の周囲に円のようなものが描かれる。


「ナ、ナンダ!? グギァァァッーーーーーー!」


 円の中が光を放ち、円の中から光が放たれ、鷲の身体を燃やす。


「断罪の光の未来バージョンよ。とくと味わいなさい」


 そう言い笑うルミ姉。少し……いやかなり怖かったとだけ言っておこう。


 やがて鷲は黒焦げとなり、その場に倒れた。


☆☆☆


 建物や景色も何も無い空間。


 あるとすれば長方形の地面。周囲には紫色の灯火がメラメラと燃えている。


 その近くに2人の鎧騎士が退治していた。


「ここまで来たのねテルン」


 紫色の鎧騎士……いや、紫色の鎧を来た女は妖艶な笑みを浮かべる。


「……その声はまさかネルイなのか……?」


 テルンには信じられなかった。今、目の前にいる人間の顔を持った彼女が。


 女は紫色の髪を揺らし、自身の頬に手を当てる。


「ふふっ。そうよ? といっても信じられないわよね。なんせ今の私にはあなた達クインテット騎兵と違って肉体があるのだから」


「……答えろ。お前に何があった?なぜ俺の前に立ちはだかる?」


「ふふ。別にあたしはあいつの言うことを聞いているわけではないわ。ただ……」


 そう言うと背中から細長い剣を右手に持つ。


「あいついわく、あたしは肉体を持ったことでより強くなったらしいの。あたしはそれを今すぐ試したい。そして……」


 ネルイはテルンに剣を向ける。


「今日でクインテット騎兵は解散よテルン。あなた達全員葬ってあげるわ」


 衝撃の言葉にテルンの表情が歪む。

だが、動揺している場合ではなかった。


「くっ……!」


 ガキンッ!

 一気に間合いを詰めてきたネルイの剣を咄嗟に出した槍で受け止める。


「ふんっ!」


 テルンの槍はネルイの持つ剣より重く、大きい槍。

 その重量を利用し、一気に振り払う。


「ふふっ、そうこなくちゃ!」


 楽しそうに笑うネルイ。


 ガキンッガキンッガキンッガキンッ!


「っ……なぜだ……なぜ俺達を!」


 ガキンッ!

 一旦距離をおくために後ろへ飛び下がるネルイ。


「テルン。あたしは普通の人間になりたいの」


 ネルイは剣を振り下ろす。その先端から細長い衝撃波が放たれる。


 テルンに迫る細長い衝撃波。


「ジャストガード! ……普通の人間?」


「そっ、今やっていることがいかに哀れで時間の無駄なのか分かっちゃったの」

「……お前ってやつは……!」


 一気にネルイに近づくテルン。


「ふんっ!」


 ズドォォーン!

 テルンの槍が地面に振り下ろされ、砕け散る破片。ネルイに岩の破片が襲う。


 だが、それを目にも止まらぬ速さでたたき落とす。


「確かにあの人に借りは……いいえ、ないわね。前から思っていたの。なんでこんなことをしないといけないのか。どうしてあたしはあの子と二人で一人なのか」

「イルネのことか……」


「そう! 正直最悪だったわ! 表向きはずっとあの子。あたしは戦いの時だけそれも戦いに楽しさを感じた時にあたしとして表に出れる。はっきり言って死んだままの方が良かったわ!」


 ネルイの周囲に紫色のオーラが纏う。


「もう遊びはおしまいよ。今度こそあたしは普通の人間……女として生きていくの! そのためにはあなた達は邪魔な存在よ!」


「……まずいな」


 ネルイの身体を纏う紫色のオーラ。それは彼女の覚醒状態を意味する。

 すなわち、ここからは武器や防具、防御系の魔法では防ぐことの出来ない貫通技がくる。


 勝敗は圧倒的にネルイが優位だ。


 だがーー、


「……グランドベイン。力を貸してくれ」


 途端、テルンの持つ槍が変化する。

 重さ、大きさ共に半分。しかし、数は2本。左の槍に青い水、右の槍に風が纏う。


 テルンの本気形態。ツヴァインランサー。


「……こい、ネルイ。お前を元に戻してみせる」


 テルンは2本の槍を構え、ネルイを迎え撃つ。

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