第67話 闇の世界
書くの忘れていました。第8章では視点がかなりコロコロ変わります。
「っ、なんだここは……」
クロードは辺りを見て思わず呟く。
ここは別世界、いや、どこかの空間?
青い空はなく、見渡す限り紫色の景色が一面に広がっている。建物や人の姿もなく、あるのは真っ直ぐ続く青白い一本の道である。
そこでふと、後ろに気配を感じた。思わず振り向くとそこには遅れてやってきたンドネアがいた。
「ンドネア……」
「隊長、一人で行くのは危険だ。吾輩も着いていくである」
「っ……分かった。他の鎧騎士達にはツィーの通信魔石で通達しておいた。あの穴がまだあればじきにここへ来るだろう」
「合流しなくて良いのであるか?」
「いや、時間が惜しい。それにあの穴が必ずここに繋がるとも言えん。とりあえず先に進むぞ」
「了解である」
2人はあたりを警戒しながら青白い道を歩いていく。
しばらく進むと分かれ道が現れた。
「む……」
「っ……」
クロードもンドネアも立ち止まって考える。
この二つの分かれ道には何かがあるはずだ。
片方は正規の道でもう一つは罠か。
だが、それを見極めようにもその方法が分からない。
仮にここを奴らのいる世界だと考えるならこの先なにかが待ち構えているはずだ。
「隊長、どうするであるか?」
「……とりあえず左に進もう」
考えた末にクロードは左の道を選択する。特に考えはない。ただ、左の道は奥まで道が見え、右の道は曲がり角があり見えない。厄介そうな道こそ正規のルートだとクロードは考えた。無論、それが罠の可能性もあるが。
一歩一歩、不意打ちされないようにゆっくりと前へ進む。
すると、いくつか歩いた先に、広い部屋へと辿り着いた。
「とりあえず、ハズレではないようだな」
行き止まりがないことからひとまずそう判断する。だが、まだ油断は出来ない。目の前には広い空間があるからだ。そこに、強力な敵か大量の敵が待ち受けている可能性が高い。
「……待っていても仕方ない。行くぞ、ンドネア」
「了解である!」
二人の鎧騎士は広い部屋へと飛び出した。
すると次の瞬間、目の前に描かれた白い円が怪しく光り出す。
そしてその円の中から二人の人形が現れる。片方は剣を握っており、もう片方はガントレットを手に装備している。まるでクロードとンドネアが装備している武器に対するかのように。
「っ、やはり出てきたであるな!」
ンドネアは一気に走り出し、ガントレットを付けた人形を力任せに殴り飛ばす。
「っ……」
その直前、人形は両腕をクロスし、後ろに吹っ飛ばされるだけで済んだ。
「……」
殴り飛ばしたンドネアをもう一人の人形が横から剣を振り下ろす。
ガキンッ。
「お前の相手は俺だ」
人形の剣をクロードが剣で受け止める。そして一気に力を込め、人形を剣ごと突き飛ばす。
突き飛ばされた人形の身体がよろめく。その隙をクロードは見逃さず、その心臓を突き刺した。
「っ……」
人形は呻き声を漏らし、その場に倒れた。途端、人形の身体は黒い霧へと変化し、辺りに巻き散って消えてしまった。
「爆裂拳!」
クロードがンドネアの方を見ると、ンドネアが人形へと強烈な拳を何度も胴体へ命中させていたところだった。
「ふんっ!」
とどめにンドネアが人形の頭を蹴り飛ばす。人形は横へ吹っ飛ばされ、そのまま動かなくなった。そして先程の人形と同じく黒い霧へと変化し、どこかへ消えてしまった。
「こんなものか、そこまで大した奴ではないな」
「油断は禁物である」
「分かっている。行くぞ」
更に先を進む。
その後、同じような人形 (武器は持っていない)や目ん玉の魔物などと何度か戦闘をしたが、大した強さはなく、クロードとンドネアは一瞬で倒して先へ進む。
「……なんか霧が出てきたな」
「もしかしたら罠かもしれないである」
しばらく進むと最初らへんの道とは違い、景色より濃い紫色の霧が出てきた。更に二人はなんとなく重苦しい雰囲気を感じた。
やがて、再び広い部屋へと辿り着く。しかし、先ほどより更に広い。どうやら大広間のようだ。
「ん? 何かいるぞ……」
クロードが呟く。大広間の中央に腕を組み、仁王立ちする人の影があった。
「よくぞここへ来た。鎧騎士達よ」
喋る人の影はそう言いクロード達に近づく。近くまでくると濃い霧があってもその姿は何とか見えた。その姿は赤黒いコートを被っており、顔は見えない。
だがーー、
「……隊長、気をつけるである」
「あぁ。こいつだな。重苦しい雰囲気の正体は」
そう言い、二人はそれぞれ武器を構える。
「……ここは我ら闇の領域。ここを通りたくば俺と戦え」
そう言うと男は沈黙した。
「「っ……」」
二人も沈黙する。ここからの戦いは激戦になる。そう感じたからだ。
☆☆☆
一方、クロード達の他にもこの世界に来ている者がいた。
それも一人ではなく、複数。
「いてて……ここは?」
見上げると辺りには紫色の景色が一面に広がっている。
「大丈夫かシロ、オルフェ」
「はい……なんとか。ですが、魔力が切れて元の姿に戻ってしまいました」
そう言い、てへっと笑うシロと
「ん、大丈夫」
冷静に答えるオルフェ。お尻が痛いのか擦っている。俺みたいにお尻地面に打ったな。
確か俺達は突然現れた穴に落ち、ここに来た。
この世界はなんだ? 先ほどいた世界とは違うのか?
「主、このすぐ近くから変な気配を感じます」
シロが真剣な表情で言う。辺りを見渡すと正面に一つ、後ろに二つ道がある。そのうち一つは行き止まりだから実質二つか。
「どっちに変な気配がある?」
「主が今向いている方向です」
てことは正面か。どうする、行くか?それとも避けて後ろの道を……
「和樹、後ろから何かが来る」
「っ!?」
オルフェの言う通り確かに後ろからも変な気配を感じた。しかもこっちに少しずつ近づいている。
「シロ、オルフェ、正面の方に行くぞ!」
俺の出した答えに二人とも頷き、前へ走り出す。
そしてすぐに広い部屋へと飛び出した。
次の瞬間、広い部屋に描かれていた白い円が突如光だし、二つの人影が現れる。それは見覚えのある魔物だった。以前、宿屋で見た人形と全く同じ。相変わらず不気味だ。
一人は盾、もう一人は何やら紙のような者を所持している。
『いくぞ、アーリー!』
『了解です!』
「オルフェは後ろにいてくれ。シロ、オルフェを頼む!」
「はい!」
俺は剣を持ち、人形達と対峙する。
そこで一つあることを思いつく。まてよ? こいつら見る限り明らかに闇属性だよな? なら……
俺は一枚のカードを取り出しーー、
「ランチェルを召喚!」
ランチェルを召喚する。
「ランチェル、あの人形達にフラッシュだ」
「チェル!」
ランチェルが前に出る。
「みんな、目を閉じろ!」
次の瞬間、ランチェルの身体がピカッと光り出す。目を閉じてても明るいのが分かる。それくらいランチェルの光は強力だ。
「「っ……!」」
光が収まり、目を開けると、そこには目を抑え、跪く人形達がいた。やがて苦しみに耐えきれなかったのか、その場で力尽きた。
その直後、人形達は黒い霧へと変化し、辺りに巻き散っていった。
「ほんと不気味だな……」
「すごい……」
「すごいです主」
二人が目をキラキラさせる。
「いや、これあいつらの弱点を着いただけだから凄くもなんともないぞ」
「っ、なるほど……」
オルフェは理解したのか、頬を赤くする。
だが、そんな様子はすぐに戻る。
「っ……また後ろから来てる」
「みたいだな。とりあえず前に進もう」
俺達は先へと進んだ。
☆☆☆
「おいっ、ネルイ!」
テルンはネルイの後を追いかけていた。
途中で何度呼びかけても彼女は止まらない。何が彼女をそうさせるのか。考えられるとすればネルイの中にある戦闘狂という素質。
「あははっ! どこに行ったのかしら? 早く姿を見せなさい。こんなのが相手ではぬるいわ」
そう言い、魔物達を次々と倒していく。その中には巨大な鳥の魔物や魔法陣から現れた人形など手強そうな魔物もいた。だがネルイは手こずることなく彼らを薙ぎ払っていく。
「……はぁ」
もはやあの騎士を倒すまで彼女は止まらないだろう。そう考えたテルンはひたすら彼女の後を追うことにした。
だが、一つ気がかりがある。
闇の王の配下である彼らの目的は何なのか。一見、ナインド王国を襲うのが目的のように思えるがそれだけではない気がする。
「これは罠か……?」
何はともあれまずは隊長と合流しよう。ツィーの通信魔石で隊長達がここに来ているのは分かっている。ネルイに着いていけばいずれ会えるはずだ。
☆☆☆
「はあぁっーー!」
大剣を振り回し、次々と魔物を薙ぎ払うツィー。
対してトルメはすることがなく、着いていくのみだ。
「ツィー強すぎ。僕の出番全くないや」
「トルメもやる?」
「いや、いいよ」
そんな会話をしていると行き止まりに辿り着いた。
「むぅ……また行き止まり」
「なんか僕達遠回りさせられてる気がするよね」
「それは思った」
するとツィーは少し考える。そしてーー、
「……武器変化。ギガンティックソード」
自身が持つ大剣をサメ型の魔物を相手にした時と同じように巨大化させた。
「へ?」




