第二章 再会
都内某所
連なる一般車を避けるようにして走る3台の黒い高級セダン。
3台はある場所を目指して走っていた。
数時間後3台が到着した場所は
他県某所にある拘置所。
先頭で止まった車の後部座席からスーツ姿の男性が険しい顔つきで降りてきた。
直ぐに前席左右から2人と残り2台の車両からも同じくスーツ姿の者達が降りた。
そのまま先頭車両後部座席から降りた男が他数名を引き連れて入口へと向かう。
先頭を歩く男の名は「辻浦 真」
元検察庁公安部第3捜査課長。現在は検察庁公安部対テロ事案特殊制圧部第1課長。
彼は事前に検察庁長官より「ある特定の人物が何者からか暗殺の依頼を受け、その脅威が刻一刻と迫っている」と伝えられていた。
「いいか辻浦、これは任務ではない…国家からの言わば“厳令“だ…
3日後に開かれるワールドカップ開幕セレモニーに参加する日米両要人の警護に着き、暗殺計画を阻止しろ」
「なお…特定された奴の名は……wolf…わかるな…」
「どんな方法でも構わん…」
「生きていたのなら8年前の報いを受けさせろ…」
長官からその名を聞いた辻浦は息を呑む、と同時に事の重大さを瞬時に理解した。
辻浦は呟いた「生きていたのか…」
「…wolf…」
過去wolfが関与したと思われる事件はいくつかあり、『世界的大企業トップ暗殺事件』『某軍事施設爆破事件』『某国士官学生拉致監禁殺害事件』死傷者、重症者多数のものばかりだ。
どの事件も実行犯数名は確保できたが皆口々に言っていた、wolfの本当の名前や素顔は誰も一切知らないらしい。
だがwolfという人物から皆、計画の流れなどの事前に指示されていたそうだ。
捕まった実行犯の言葉では。
「俺は…指示された…人の皮を被った狼に…忘れたことは無い…あの瞳を…」
拘置所地下の薄暗い廊下。
辻浦は捕まった実行犯の言葉を思い出しながら、過去に自身がwolfと遭遇した8年前の出来事、
そしてその時の悲劇を自身の瞳の裏で視聴していた…。
険しい表情から一変
額には汗をかき、放心したような顔つき
案内していた刑務官が一つの独房の前で立ち止まる
「こちらになります」
鍵を解除し厳重な扉が開く、少しばかりの外の光が廊下へ差し込む
他の捜査官を薄暗い廊下で待つよう手で知らせ
体で光を塞ぐように辻浦が独房の中に入った




