開幕話
短いです。
は、尊厳を守るために自決した。
も、苦しみながら息絶えた。
が、神を呪って死んだ。
饐えた匂いと死臭が充満したこの中で、生き残っているのはもう私だけ。
だけど、私にもその時がきた。
辛うじて繋ぎとめている意識で、死後の姿を想像してしまう。
私はもうすぐ、皆と同じように腐って膨れ上がる。そして、肉体が限界に達した時、醜い音を鳴らして破裂するのだ。
(…………い……や……)
生命の尊厳を踏みにじるような死にざまに、心が叫ぶ。
しかし、口は動かせず、空気すらも吐き出せない。
「……ッ!?」
霞む視界の中、眼前に立っている者たちに気付いた。
金色に輝く数多の首飾りを身に着け、純白の衣服を着た者たちは、地に伏す私を黙って見下ろしていた。
(…………なん、で……?)
まただ。
何度も見た。
どうして?
どうして、この者たちは、私たちを見つめて笑ってるの?
意味の分からぬ言葉を発しながら浮かべる、朗らかな笑み。
潜在的な恐怖を感じながら、次第に意識が薄れゆく。
私という存在が消える直前、一つの真理にたどり着いた。
数百年間、神に祈りを捧げてきた。
理性と尊厳を失った私に残ったのは、教えではなく本性。
神に助けを、求めた。
救ってくれない神に、失望した。
だが、何も変わらなかった。
信仰とは、神を敬うことではない。神に、対価を、報酬を求めることなのだ。
(許せ……ない…………)
無関心な神が。
無作法な人族が。
無知な自分が。
無力な自分が。
渦巻く黒い感情を抱いたまま、業火を思い浮かべて切望する。
(力が、欲しい……)
そして私は、息を引き取った。




