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メッセージの謎4

よろしければ、お読み下さい。

 それきり涼太君は何も言わなくなったが、私は違和感を覚えていた。三島さんは何故お孫さんのアカウントでメッセージを送る事が出来たのか。直接お孫さんのスマホを触る機会があったのではないか。

 そして、私の脳裏に午前中に見た光景が浮かぶ。お孫さんは、廊下に落ちていたハンカチをすぐに三島さんの物だと気付いた。落とす瞬間を見ていたわけでは無いし、廊下には他にも何人かいたのに。

 「MIKA」という刺繡で気付いたのか?自分の祖母がいる施設のスタッフの苗字を覚える事はあっても、下の名前まで覚えているものだろうか。あまり施設に来れていないと言う話だったのに。

 もし、三島さんとお孫さんが隠れて親密な関係になっていたとしたら。三島さんが退職するのも、二人の関係を清算する為だとしたら。

 涼太君が、ハンカチを渡すところをじっと見ていたのも、そう思ったからではないのか。

 

 いや、考えるのは止めよう。仮に三島さんとお孫さんがそういう関係だったとしても、三島さんが綾美さんの事を思ってメッセージを送っていた事には変わりないのだから。


「それにしても、三島さん、私が息子夫婦に絶縁されてるっていう事まであなた達に話していたのね」

 綾美さんが、苦笑する。

「まあ、自業自得ね。私がお嫁さんに辛い思いをさせたのは確かだし。……本当に、私は成長していないわ。昔だって……私、乃利子に、意地悪したのよ」

「え?」


 綾美さんは、気まずそうにしながらも話してくれた。

 六十六年前、祖母は、しばしば故郷にいる婚約者――私の祖父――について惚気ていたらしい。それは、不毛な恋をしている綾美さんを苛つかせるものだった。

なんと、綾美さんは、経営者である上坂雄三氏と不倫関係にあったというのだ。綾美さんは、妻の未可子さんと別れて自分と結婚してくれるよう再三頼んだようだが、雄三氏に離婚する意思は無かった。それで不貞腐れて、店を無断欠勤した事もあった。

 上坂周平さんからもらった店の写真に綾美さんが写っていなかったのも、そういった事があったからだろう。


「それで、あんまり乃利子の惚気に苛ついたものだから、つい意地悪をしてしまったの」

「意地悪?」

 私はつい聞き返してしまった。

「ええ。乃利子が使っていたプラスチック製の踏み台に……ヒビを入れて、乗った途端に壊れるように細工したの。例の事件の前日の事よ」

「え、それで、祖母は怪我をしなかったんですか?」

「多分、踏み台が原因での怪我はしていないはずよ。事件現場にお酒の瓶が散乱していたのは知ってる?乃利子、遺体発見時に転んで、床に落ちていたガラスの欠片で右手を怪我したの。私が事件を知って店に駆け付けた時には、もう右手に包帯を巻いていたわ。久住とかいう男の子が手当てしたのね。……でも、踏み台は壊れてなかったし動かした形跡も無かった。踏み台のせいで転んだんじゃないはずよ」

 その後現場にあった物のほとんどが警察に押収され、踏み台もその中に入っていた為、綾美さんの意地悪は店のスタッフ達に露見する事は無かった。


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