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海辺
君は遠く、足跡はどこまでも延びる。
風が攫う髪。僕は幻を見るかの様に、上の空な瞳で見守る。
「どこにいくの?」
砂浜は溶けだしてしまいそうなクリーム色。感覚を失くした下肢で、感覚を確かめながら歩を進める。
空は相も変わらず悲しそうな薄い、薄い水色で何も見えない。
「ずっと先」
感情のこもらない言葉を受け取り、僕は瞳を閉じる。
全て流されてしまえばいい。何度目かの質問、選択肢を知らない僕、砂塵。
確かに、そう思った。
音はずっと止まなかった。君と僕の残す足跡のように波も永続し、海もまた、遠く広がる。
余韻は舞い上がる。君との縮められない距離を持て余すほど、僕は空気に溺れていく。
「どうしてこんなことに」
独り言の答えは見つかり得ない。探すつもりさえ、ないのだから。
ただ、彼女の探す答えを、僕は知っていた。