表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もう一度妻をおとすレシピ 第6冊  作者: 奄美剣星
読書
52/100

読書/カフカ「変身」 ノート 20161027

【概要】

 本作は、著者カフカが『息子たち』という題でまとめようとしていた短編3篇、「判決」「火夫」「変身」の1つで、1912年に発表されたものだ。高校時代・現代国語教科書に、中島敦『山月記』があり、教師が本編を取り上げ、中国古典に取材しつつも、影響されているようだといっていたのが印象に残った。その後、村上春樹が著した『海辺のカフカ』を閲読。カフカに興味をもった。物語は、400字詰原稿用紙160枚前後、全3章で構成されている。1章につき約50枚相当というところだ。

.

【プロット】

 好青年グレーゴル・ザムザは従軍経験があり将校だった。病身の父親に莫大な負債があり、戦後はセールスマンとなり、父母と妹を養っていた。仕事では好成績をあげていた。真面目で時間厳守。しかし出張旅行直前の朝、巨大な虫に変身してしまった。上司が様子を身に来るとなんと、巨大な虫に変身していた。それが息子だと信じない父親によって、大怪我を負わされる(Ⅰ)。

 グレゴリーの引き籠り生活が始まる。食物は腐敗したものしかうけつけなくなっていた。妹のグレーテが世話をしていた。醜態をなるべく家族にはみせまいと、寝椅子の下に潜んでいた。一家は働き手を失ったのだが、それでも数年は貯蓄だけで暮らしてゆける。健康を回復した父親が再就職。グレゴリーは母親にコンタクトをとろうとする。やがて好機が訪れ、母親が部屋にやってくるのだが、息子の変わり果てた姿をみて卒倒。父親が乗りこんできて、グレゴリーに林檎を投げつけ致命傷を与えた(Ⅱ)。

 父親の投げた林檎の傷みで一か月苦しむ。グレゴリーの部屋は物置部屋になった。一家は生活を切り詰め総出で働く。その間に、それまでいた女中を解雇して新しい女中を雇う。新しい女中は粗暴、グレゴリーを粗暴に扱ったのだが、理性をみいだした唯一の人物だ。さらに下宿人三人を間借りさせた。しかし妹が下手なヴァイオリン演奏をしたとき、下宿人たちが気まぐれで居間に呼んでお世辞をいった。下宿人たちはすぐに飽きたのだが、グレゴリーは感動してついつい部屋からでてきてしまった。それをみせまいと父親が慌てて、下宿人を部屋に押し戻すが、怒った三人は家賃も払わずその日のうちに部屋を引き払った。家族三人は失望。三人は妹がグレゴリーを始末すべきだといいだす。父親はその言葉を待っていた様子。曖昧な立場だった母親も首肯。だが、救いというところか、同日・夜のうちに衰弱したグレゴリーは、楽しかった家族との思い出に浸りつつ亡くなる。遺体は処分され、家族は引っ越すことになる。その前に列車で楽しい家族旅行にでかける。まるでグレゴリーは過去存在せず何事もなかったかのようだ(Ⅲ)。

.

【所見】

 物語のなかで、人間性を保ったのは唯一、虫に変身した主人公青年だけだった。逆に言うと、醜く内面変身したのは彼の家族すべてで、一読者としては、戦争か何かで一家が爆弾で消し飛び煉獄を彷徨い、別世界で主人公だけが生き残っているかのようにさえ感じる。

.

*引用文献

フランツ・カフカ『カフカ小説全集4 変身ほか』白水社2001

~「判決」「火夫」「変身」3編も収録されている。「変身」は94-155頁、全62頁。47×19字≒800字。原稿用紙160~200枚相当。


     ノート 20161027

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ