第31話:苦戦
3人と別れて数分後、俺は港まで来ていた。
「たしか、4番倉庫だったな」
俺が捕まっていたのは4番だった。辺りを見回し倉庫を探す。
「これより先はいかせん!」
いつの間にか目の前には外見20代の男が立っていた。
「……誰?」
「名乗る意味はないな。これから死に逝く者にはな!!」
そう言うと男は持っていた大鎌を横に薙ぎ、炎球を放ってきた。
「な……」
炎をなんとか避け体勢を整える。
「よくかわしたな…。だが、これならどうだ!!」
男は体ごと鎌を回転させ炎球をいくつも放ってくる。
「器物破損の何者でもないな……」
避けれるものは避け、無理なものは衝撃を当て相殺した。間合いを詰めようとするがいくつもの炎が行く手を塞ぐ。
「くそ……。(ん?気配が増えた?)」
明らかに増えた気配は俺に殺気を向けている。
「ようやく来たか。遅かったな」
「悪かったわね」
男の隣には男よりは少し若い女性が立っていた。片手には弓を携えて。
「あんなのを殺せないなんてね。腕、落ちたんじゃない?……ふっ!!」
そう言うと女はどこから出したのか矢を引き絞り、射ってきた。
「のわっ!!」
なんとか後ろへ跳び、避けるが矢は地面に当たるなり弾け風に変わった。
予想もしない突風が俺を襲い更に後ろへ吹き飛ばす。
吹き飛ばされながらも地面に掌を当て衝撃を撃ち、その反動で体を戻す。
「【炎の大鎌】と【風の弓】か……」
なんとか打開策を考えるが……。
「そらそらそらぁーー!!」
「まだまだー!」
炎球と矢が絶え間なく俺を襲うため思考が鈍る。
「ふぅー……」
静かにしかし大きく息を吐き戦闘の型を変える。持っていた曲刀を消し体に身体強化をかける。
「なにかするつもりだ」
「そうね。なら、一気に決めるわ!」
男が正面から炎球を放ち、女は男のすぐ上から同時に矢を射る。矢は炎球に飲まれ風になった。それにより炎は巨大化し目の前の俺を飲み込もうとする。
「ふっ!」
俺は躊躇することなく目の前の炎に飛び込む。そして炎に飲み込まれる。
「呆気無いわねぇ…」
「確かに……」
二人は武器を下ろし炎から背を向けた。
「アッツ〜……」
俺は真正面から炎を突き抜け二人の後ろに着地。そして首に手刀を当て容赦無く首の骨を折った。
「悪いな…。死ぬわけにはいかねんだよ」
二人の屍を背に4番倉庫を目指す。
倉庫にたどり着き扉を開けるといきなり電気を浴びた。
「ほぉ……。気絶しなかったか」
「なかなかに丈夫だね♪」
「電力不足」
地面を強く踏み電気を逃がし前を見ると真ん中には斧を持った30代の男。右には鈎爪を付けたガイルぐらいの子供。よく見ると鈎爪には電気が流れている。そして、左には感情がない20代の男が立っている。奇妙なのは両足にホルスターが付いている。
「誰さん?」
三人に問いかける。
「僕はカヤリ」
「俺はユログ」
「ノーラ」
「そ。俺はレンホ
自己紹介をしようとしたがノーラが何かを投げてきた。後ろへ跳び避けようと思ったが、後ろは壁。そのため上に跳び、避ける。が、地面から氷が飛び出してきた。
氷をなんとか避け着地する。
「攻撃失敗。次行動に移行」
ノーラの足のホルスターからは棒手裏剣が見えた。
「次は俺だ。オラァァ!!!」
ユログは斧を地面に叩きつけ、直線上に衝撃を放ってきた。
「(大地脈動に似てるな)」
そう思い横に跳び避ける。そして衝撃を放つ。
「僕もいるよー!はっ!!」
カヤリが鈎爪を前に出し電気を放ってきた。
「ぐっ!」
衝撃はカヤリの爪で消されそれから放たれた電気は俺に直撃。
「攻撃」
「おらよっ!!!」
ノーラは棒手裏剣を投げ、ユログは上に跳び斧を振り降ろしてくる。
俺は合剣を出し二人の攻撃を防いだ。しかし棒手裏剣は空気中の水分を凝固させ氷の弾丸を撃ちだしてきた。
「カヤリ。稲妻」
「オッケー!」
ノーラが作り出した氷の弾丸はカヤリの稲妻の触媒に使われた。そして巨大な稲妻を俺に落とした。
すさまじい轟音が鳴り響いた。
「殺ったか!?」
「さぁ……。でも殺したら【造れない】よ?」
「生命反応数3。……不覚」
あたりに静寂が訪れる。
「この野郎……」
瓦礫の中からはいでた俺は体勢を戻す。が、かなりのダメージが体に蓄積されていて立つことが出来ない。
「まだ生きてるじゃねぇか」
「そうだね。丁度よく弱ってるし連れていこう」
「同感」
ノーラは俺を引きずりあの人体実験場へと入っていく。
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