黒
「それより、これからどうするの?」
「…危険が無いなら、このまま同棲とか。」
「…本当に?」
「…目が恐いです。」
「どうなの?」
「……冗談です。」
「……。」
「……。」
「私に、いい考えがあるのだけれど…」
「待って。…その前に」
体重3桁が、部屋の奥に向かって指笛を短く吹いた。
すると、部屋のあちらこちらから、黒い小さな物が¨もぞもぞ¨と這い出てきて体重3桁の前へ乱れなく5列に並んだ。
友人は、その光景を気味悪がって少し離れた所から様子を伺っていた。
「な、なな…何を…」
「…よし。片付けを始めろ!」
その命令に全匹が、触角を一斉に振るわせて応えると部屋に散らばり、床に落ちている食材を食い尽くしにかかった。
それを友人が、唖然と見ていた。
「ゴミを食べてる…」
「共存共栄です。」
「……今度、バル○○買ってこようか?」
「ふっふっふ。あらゆる薬剤が効かないエリート達です。」
「………。」
「そろそろかな。集合!」
部屋を綺麗にしたエリート達が、再び体重3桁の所へ集まり始めた。
だが、その中の1匹が列を離れトイレへ向かって行き、僅かにドアの開いていたトイレの中へ入っていった。
──ぶしゅっ
何かが潰れる小さい音が聞こえた。
エリート達は、その音を仲間の断末魔と捉え、体重3桁の命令を無視しトイレの中へ全匹突入していった。
「トイレへ入っていったけど…」
「仲間意識が強いから…」
2人は、トイレの中の喧騒に不安を感じた。
──そして、5分が過ぎ
トイレの中でのエリート達の争う音が聞こえなくなった。
「静かになったよ?」
「…うん、そうだね。」
「中の女性、どうなったのかな?」
「………。」
「ちょっと、見てきて。」
「…嫌です。」
2人が、
¨どちらが様子を見に行くか¨
で、お互いに譲り合いをしていた時、トイレのドアがゆっくりと開いていった。
「何か、嫌な感じしない?」
「ヤバいかな…」
2人は、急いで押し入れの中に逃げ込み、少し開けた押し入れの戸の隙間から、トイレの様子を伺っていた。
トイレの戸が、ゆっくりと開いていく。
「……?」
「……?」
──急に部屋の中が暗くなった。
「……あれ?」
「雨が降ってきたみたいだね。」
雨の音が大きくなると共に、風が窓ガラスを激しく揺らす。
部屋が暗く、押し入れからトイレを見る事は出来なかった。




