酒池肉林
──夢を見ていた。
布団で寝ていると、突然頬を叩かれ無理やり起こされた。
目覚めると、体重3桁アイドルが目前で微笑んでいて、
《ふふふ、捕まえてごらん》
と言って、走り去っていった。
……よし。
憧れのアイドルの挑発を受けて本気で追いかけたが、距離がなかなか縮まらなかった。
…こうなったら
服を最後の一枚まで脱ぎ捨て、体を軽くした。
そして、¨まり男さん¨直伝のBダッシュで加速し距離を詰めていく。
暫く追いかけて、もう少しで手が届く、という距離まで縮めた時、思い切りアイドルへ向けて飛びついた。
──ぐしゃっ
……え?
体の下には、アイドルではなく潰れた人のような生き物が倒れていた。
その生き物に顔を殴られ、目の前が暗転した。
──やがて夢から覚めると、朝になっていた。
目が覚めると、美味しそうな匂いが辺りに漂っていた。
…何処からだろう?
体中の骨をミシミシと音を立てさせながら、ゆっくりと起き上がる。
……?
──後ろに何か落ちた。
…え…コンビニ弁当?
気付くと、体重3桁の体中に、弁当のモノと思われる食材が潰れて付いていた。全身から漂う匂いは、元々の体臭と絡んで酢豚のようだった。
……?
足元にある、潰れた弁当の蓋を拾い上げた。
弁当の包装が、自然に開くことはない。誰かの悪意を感じて、体が震えた。
……。
隣に置いていた荷物を見ながら、身に起こった事を整理する為に暫く考えた。
荷物は、多少潰れたり壊れたりしているが、開けられた形跡はない。
…誤解されたのかな?
周りに弁当地雷を設置する位だから、たぶん寝ている間に友人を怒らせたのだろう。
…そういえば、体重3桁アイドルに¨飛びつきハグ¨をした夢を見ていたような…
……でも、夢が友人に影響する訳はないし…
寝起きの頭であれこれ推測していたが、¨腹の虫¨の低い呻き声が部屋に響くのを聞いて、思考を中断させた。
……朝ご飯、朝ご飯と
ボタボタと体に付いた食材を落としながら台所まで来ると、テーブルの上に、無傷の弁当がひとつ置かれていた。
弁当には、メモが貼られていて、
《オモチャ代をチャラにするなら食べていいよ》
と、書いてあった。
…ええと、ハンバーグ、ウインナー、パスタ、白飯大盛カレー付に唐揚げとポテトフライの弁当だな…
指差し確認でおかずを把握し、¨腹の虫¨にお伺いを立てると、
《目玉焼きが無いのが残念だが、良かろう。》
と、お許しが出た。
──チャラにします宣言をした後、弁当のふたを開け2分でたいらげた。
少し足りない気がしたが、これから朝食をする為のいい準備運動にはなっただろう。
……さて、朝ご飯の前に
コンビニへ出掛ける前に、トイレへ行こうとして、そのドアを開けた。
あの女性が、此方へ倒れてきた。
予想以上に女性は重くて、体重3桁の体でも支えきれず、そのまま後ろへ倒れた。
その2人が重なっている所を、再び訪ねてきた友人が見ていた。




