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『最強暗殺公爵の異世界定食屋〜『ネット通販』と現代兵器でスローライフを満喫してたら伝説の種族が常連客になった件〜 』  作者: 月神世一


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EP 9

「終わらない夜と、コスパ最悪の女子会」

「みんなぁー! 今日は私の初任給(※パチンコ屋で拾った玉を換金した小銭)のお祝いに集まってくれて、ありがとうございまぁーす! ポポロ屋貸し切り、朝まで12時間耐久女子会、スタートよぉぉ!!」

深夜のポポロ屋。

「貸し切り」という名の強制居座りによって、店内には五人の女たちが陣取っていた。

極貧地下アイドルのリーザ、ポポロ村村長のキャルル、天然エルフのルナ。そして、酒の匂いを嗅ぎつけて乱入してきた創造神ルチアナと、彼女を連れ戻しに来たはずがミイラ取りになった風紀委員長ヴァルキュリアである。

テーブルの上には、リアンが渋々用意した山盛りのフライドポテトと、ドリンクバー(アルコール含む)のピッチャーが並んでいる。

「でねー! 最近、帝国のテント村の炊き出しも、ちょっと味が落ちてる気がするのよねー。やっぱりリアンさんのご飯が一番だわ!」

「わかるー。村長の仕事もさ、書類仕事ばっかりで最近マジで肩が凝っちゃって……」

キャルルがオレンジジュースをストローで啜りながら愚痴をこぼす。

「肩凝りなら私にお任せですよぉ☆ この『マンドラゴラのすり下ろし(猛毒)』を肩に塗布すれば、一瞬で痛みが(神経ごと)消え去りますっ!」

「ルナ、それ絶対塗っちゃダメなやつだから! ……あーあ、誰かイケメンで優しくて、一生養ってくれる石油王みたいな人いないかなぁ」

キャルルの言葉に、芋焼酎をジョッキであおっていたルチアナが大きく頷いた。

「わかるわー! 私も、天界の面倒な仕事全部やってくれて、毎日パチンコ代くれるイケメン神族探してるのよねー!」

「貴女はまず自分で働きなさいよぉぉぉ!! 毎日毎日、私ばっかり尻拭いして……ひぐっ……!」

ヴァルキュリアが赤ワインのボトルをラッパ飲みしながら、ルチアナの胸ぐらを掴んで泣き上戸を発動させている。

「そうそう! 仕事といえばさー、やっぱり肩が凝るのよねー!」

「わかるー!!」

厨房の奥で、その会話を聞かされていたイグニスの竜の尻尾が、ピクッと痙攣した。

「……おい、リアン」

イグニスは、無表情でグラスを磨き続けている元・暗殺者の料理人に囁いた。

「あいつら、さっきから『肩凝り』『美味しいもの』『イケメン(養ってくれる男)』『仕事の愚痴』……この四つの話題を、永遠にループしてねぇか? もう三周目だぞ……」

「…………」

「結論も解決策も一切出ねぇのに、なんであんなに盛り上がれるんだ? ルチアナなんて、ヴァルキュリアに胸ぐら掴まれながら爆笑してやがるし……」

理解不能な生態を見せつけられ、竜人の戦士は顔を引きつらせた。

しかし、リアンはグラスをキュッキュと磨きながら、冷徹な目で言い放った。

「言うな、イグニス。……考えるだけ、コスパが悪い」

「コ、コスパ……!」

「あいつらの会話に『意味』を求めちゃいけねぇ。あれはただの音声データ(BGM)だと思え。相槌を間違えれば火の粉が飛んでくる。ひたすらポテトと酒を補給し続けるマシーンになるのが、一番生存率が高いんだ」

裏社会を生き抜いてきた男の、あまりにも真理を突いたサバイバル術だった。

そして、時刻は深夜三時を回った。

「12時間耐久」は伊達ではなかった。女たちのテンションは、ここからが本番だった。

「さぁさぁみんな! 夜も更けてきたところで、私の特別ライブをお届けするわぁ!!」

すっかり出来上がったリーザが、いつもの『みかん箱』の上に立ち、鼻の穴に五円玉を突っ込んだ。

♪た、た、たぬきのお腹は ポンポコポンポン!!

♪月よ~月で~頭は ハーゲハゲでピーカピカ~!!

「アハハハハハ!! 最高!! リーザ、もっとやれー!!」

ルチアナがテーブルをバンバン叩いて爆笑し、キャルルも手を叩いて大喜びしている。

「フフッ、私も伴奏しますねぇ☆」

ルナが世界樹の杖を振ると、店内になぜか重低音のクラブミュージック(EDM)のようなビートが鳴り響き始めた。

♪お尻はツールツル~! ターマターマはマ~ルマル~!!

(ソレ! ヨイヨイ!!)

「ヨイヨイじゃありませんよぉぉぉ!! なんて下品な歌ですかぁぁ!!(※合いの手を入れながら)」

完全に酔い潰れたヴァルキュリアも、涙目でタンバリンをシャンシャンと叩きながらポンポコ節に参加している。

神とエルフと人魚姫が織りなす、この世の終わりみたいな狂宴。

ポポロ屋の店内は、完全に無法地帯カオスと化していた。

「……リアン。俺、もう帰っていいか?」

「ダメだ。誰かがゲロを吐いた時の処理班がお前だ」

「マジかよ……」

結局、彼女たちの恐るべき女子会は、朝日が昇って完全に全員が「電池切れ」で床に突っ伏すまで続いた。

「……ふふっ、サバ缶、美味しい……むにゃむにゃ……」

床でよだれを垂らしながら幸せそうに眠るリーザに、リアンはそっとタオルケットを投げてやった。

圧倒的な図太さとサバイバル能力を持つポンコツ人魚姫は、こうして見事にポポロ村の「濃すぎる面々」の中に溶け込み、新たな日常(騒動)の中心となっていくのだった。

ポポロ村の平和は、今日も男たちの「圧倒的な忍耐」によって守られているのである。

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