幕間 Ⅳ:新世界平和構想会議への世界の反応
国際会議が告知された時の各国の様子を幕間でいれました。
視点が変わる場面がありますが、緊迫した様子をご覧ください。
新世界平和構想会議の開催告知は、世界の通信網を瞬く間に駆け巡り、全世界でトップニュースとして報じられた。
告知直後、アメリカ大統領報道官が緊急声明を発表した。その口調は、屈辱と怒りに満ちていた。 「これは、我々が築き上げてきた自由で開かれた国際秩序への宣戦布告だ! 真波悠人という一個人が、世界の歴史を独裁的に書き換えようとする傲慢な行為を断じて許さない!」
中国の外務報道官は、「我々の主権と安全保障を脅かすいかなる技術も認めない。これは、新たな技術覇権主義であり、国連憲章の根本原則を踏みにじる愚挙である!」と非難。
ロシアの安全保障会議幹部も、「一連の行動は、国際テロリストによる威嚇と何ら変わらない」と応じた。
しかし、この激しい非難声明の裏で、旧秩序は深刻な亀裂に直面していた。
欧米諸国の外交官の間では、「日本は、我々の安全保障体制を崩壊させた。彼らの行動はアジアにおける同盟の終焉を意味する」と、日本の協調的な参加表明に対する失望と怒りが広がる。日本の動きにより、旧秩序内での対連邦統一戦線の形成は、告知直後に崩壊した。
さらに、各国軍事情報機関の分析官がまとめた極秘報告書は、事態の深刻さを裏付けていた。告知と同時に発生した広範囲の通信・情報システムの「一時的な乱れ」について、マナ技術の関与は確実視されていた。報告書は、「核兵器の指揮統制システムへの介入可能性を否定できない。武力による阻止は不可能であり、会議への不参加は、逆に真波悠人に敵対の口実を与え、新秩序から完全に排除されることを意味する」と結論付けていた。
旧秩序側の混乱とは対照的に、発展途上国では真波悠人への熱狂的な支持が沸き起こっていた。会議参加への雪崩現象が起こり、各国の指導者は歓喜の声明を発した。
アフリカ某国代表は、「我々は、旧宗主国への重い債務や、エネルギー不足の連鎖から、ついに解放される! この会議は真の独立を勝ち取る機会だ!」と叫んだ。東南アジア某国代表は、「核保有国間の代理戦争の脅威が消滅する。マナ技術は、我々が初めて中立と平和を享受するための保証である」と述べた。
国連事務総長は、常任理事国からの圧力に屈せず、会議への冷静な参加を呼びかける声明を出した。 「この会議は、人類存続のための緊急措置である。数十年にわたる核の脅威の時代を終わらせる歴史的な責務を、平和と技術の完全な統一によって果たす時が来た。」
旧秩序側は、参加を表明した発展途上国に対し、援助停止や貿易停止などの経済的圧力をかけ始めたが、この圧力は全く機能しなかった。多くの発展途上国は、悠人からの技術協力のメリットが圧倒的であると判断し、「もうあなた方の援助や脅しは必要ない」と公に拒否。旧秩序側の国際的な圧力は、会議開催前に無効化された。
国際情報機関の分析室。壁一面に並べられた複数のニュース画面が、世界の分裂した世論を映し出していた。
分析官は上層部に報告する。「保守派メディアは『マナの独裁者によるクーデター!』と報じていますが、発展途上国のメディアは『人類、核の脅威からの解放か』と熱狂しています。世論は分裂していますが、会議への注目度は過去最大です」
旧秩序側は、もはや国際的な圧力をかける手段を完全に失った。彼らは、「参加を拒否し新秩序から排除される破滅の道」か、「屈服し、核廃絶を受け入れる苦渋の決断」かの究極の選択を迫られた。最終的に、核保有国の一部は、自国の生存と孤立の回避を優先し、会議への参加を苦渋の決断として表明した。
────東京・内閣官房副長官室。
副長官は、最終的な参加国のリストを凝視していた。屈服して参加を決めた旧秩序国の名を確認するたび、彼は安堵と同時に、冷たい確信を深めた。「日本の決断は正しかった。我々は、世界を救うための、新秩序への橋渡し役となったのだ」
会議の開始まで、残された時間は数時間。世界中の指導者たちが息を潜める中、副長官は使命の重さに身を引き締め、新世界平和構想会議の開幕を待った。




