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お嫁さん&魔物さんといっしょに、ムテキな異世界生活  作者: 法蓮奏
帝国魔法学院(スフレ帝国)編
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第83話 ふたたび、縦ロール美少女に戻って

すこし短いです。



 金髪縦ロール美少女が、値踏みするような目で、尋ねてきた。

 

 「貴方…、シャルロット殿下とは、どのようなご関係かしら?」

 

 なるほど…、オレは、感心した。

 後ろに、控えている『とりまき』のちびっ子も、なかなかの美少女だった。


 しかも、ほんとうに、日本の某私立学校とそっくりの制服を着ている。

 チェックのミニスカートも、よく似合っていた。シャルママの言うとおりだ。


 

 「キミは…誰?」

 小首をかしげて、問いかけた。


 すると、


 縦ロールチームが、いっせいにひるんだ。

 名乗りもせずに、問い詰めたのだ。

 貴族の令嬢らしからぬ蛮行(ばんこう)と、気づいたのだろう。


 「わ、わたくしは、ローズ・オールド。侯爵家次女ですのよ」

 縦ロールを筆頭に、丁寧な挨拶を始めた。

 いつもクセなのか、ミニスカートの端をつまんでお辞儀をするので、ぜんいん、ちらっと見えてしまった。


 ふっ…、


 じつに、さい先のよいスタートを切ったものだ…。

 オレは、これから始まる学院生活に、希望の光をみた。


 丁重な挨拶の上に、そろって『開帳?』してくれたのだ。

 これで答えぬなら、人道にもとるだろう。


 しかし、オレは、はたと困った。

 いったい、何て言えばいいだろう。


 たとえば、

 

 『いやあ…、ちょっと、街道を埋め尽くしてた魔物を追い払って、シャルを助けただけだよ…』

 …などと、説明したら、『頭のおかしい嘘つき』と断定されるだろう。


 そもそも、アレは、『旅客機ペット』の犯行の、責任をとったのだ。『助けた』などと、言えるものではない。


 かといって、『まっち・ぽんぷ』関連まで説明すると、ドラゴンに言及せねばなるまい。

 『いやあ…、ちょっと、人跡未踏のダンジョンで、荷電粒子砲を、『バビルの塔』で防いで、倒したんだよ』

 …などと、話しても、意味不明と思われるだけだ。


 なんだか、正直に話せば話すほど、墓穴を掘る気がする。

 

 好奇の目で、オレの回答を待っている、ちびっ子たちの前で、呻吟しんぎんしていたとき、

 シャルが、学院長のところから、戻ってきた。


 「どうしたのじゃ?」 


 「こ、これは、シャルロット殿下!」

 縦ロールチームがそろって、ひざまづいた。


 「お久しぶりでございます」

 また、縦ローズちゃんが、代表して挨拶した。

 

 ちびっ子同士で、かしこまっているようすは、異世界から来たオレの目には、『学芸会』だった。

 でも、これは、ごっご遊びではない。

 シャルの顔が、だんだん暗くなっていく気がした。


 

 ひとは、いくつもの『役割(じぶん)』を演じている。

 

 ひとりの男は、妻の前では『夫』を演じ、子供の前では『父』を演じる。

 自分の親の前では『子』を演じ、上司の前では『部下』を演じるだろう。

 

 これは、意識しなくても、『自動的』に行われることが多い。


 そして、誰にも、『演じたくない役割(じぶん)』というのがあっても、おかしくはない。



 級友にひざまづかれている時、シャルは、『演じたくない役割(じぶん)』を、押しつけられているのだと、オレは思った。

 要するに、シャルは、やさしい子であり、傲慢からほど遠い豊かな人間性を持つ子なのだろう。


 なるほどな。

 シャルが、学院を嫌う理由が、ひとつ見つかった気がした。


 さて、どうしたものだろう…


 困ったようなシャルの顔を見ながら、思案していると、周りの学生たちが、ざわざわしだした。



 「『四賢者』さまが、こちらに、みえたぞ!」

 「なんだって!」

 「なぜ、こんなところに…」

 「四人、揃われるなんて、いつ以来かしら…」

 口々に驚いているようすが、伝わってくる。


 

 学生たちが、道を開けるように、左右に分かれていく。

 

 その真ん中を、(ひげ)の学院長が、歩いてきた。

 高齢者数人が、同行している。


 なるほど、


 髭の学院長+爺さん二名+婆さん一名=四賢者…という計算らしい。


 「おお!ジュン殿、ここにおられたか!」

 「ちょうど、よい時に、来てくださった!」


 なにやら、ずいぶんと喜んでいるようだった。

 



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