第23話 暗部の再就職(2)
名前とかを考えるのが、難しいです。
小説を、たくさん、平行して読んでいると、誰が誰なのかわからなくなったりしますが、でも、それだけたくさんの登場人物に、さくっと名前をわりふったりするのは、すごいなと思います。
そこには、頬を朱に染めて目を潤ませた、聖女セシリアの姿があった。
「ジ、ジュンさま…」
しっかり、話を聞いていたのか。すでに、感極まった感じに仕上がっている。
「ジュンさまあああああああああ……っ!」
また、オレの胸に、全力で、激突するつもりなのだろうか。
彼女の右足は、すでに地を激しく蹴っていた。
「ま、まずいですニャ!」
このまま、また、あの発展途上の胸が、ジュンしゃまに接触してしまったら、
「セ○ンドイン○クトが起きてしまいますニャあああ!」
ホントは、こいつ、茶化してるんじゃないだろうか。
とはいえ、聖女のセシリアの身体能力の高さは、すでに学習済みだ。
いっしゅん、昨日の、冒険者ギルドでの悪夢がよみがえった。
だが…、
「だめだよ!聖女セシリア!」
愛らしい声が、草原に響きわたった。
いつ現れたのか…、まさに『神速』!
新コスチュームである青いセーラー襟のついたミニの純白ワンピースの裾をなびかせて、女神セーラが、聖女セシリアを後ろから羽交い絞めにしていた。
「ヒロインの座は、譲れないよ!」
痴話げんかだった。
「ふふふ…、これは、まいったでゴザルよ」
暗部の頭は、あきれたようにつぶやいた。
何に、まいったのだろう。
まあ、オレもまいっているけど。
「そこまでの、お覚悟をおもちでゴザったとは…」
女神と聖女のことは、見なかったことにしてくれたらしい。
オトナの対応に、ひそかに、感謝した。
「むしろ、勝手に召還されそうになった、被害者でゴザろうに…」
頭は、きゅうに晴れ晴れとした顔をして、仲間たちを見渡した。
十人衆の男たちも、みな毒気のぬけたような顔をしてうなずきあっている。
「おぬしほどの強者に、引導を渡されるならば、我らも悔いはゴザらん」
「こうして、いいわけがましいことを聞いていただけだけでも、ありがたきことでゴザった」
暗部の十人は、みな、オレに、まっすぐに視線を向けると、
「我らは、みな家族をも捨てた身、こころおきなく成敗されよ」
ゴサル抜きで、居住まいを正した。
「そうか、お前らに、死ぬほどの覚悟があるなら、話は早いぜ」
じっと、なりゆきを見守っていたケンイチさんが、タイミングを見計らったように、口をはさんだ。
「お前ら…、ジュンに、雇われねえか?」
意外にも、彼らの再就職への誘いだった。
それも、雇用主は、オレらしい。
あっけにとられて、言葉を失ったオレたちのうしろでは、いまだに女神と聖女がきゃあきゃあともめていた。




