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お嫁さん&魔物さんといっしょに、ムテキな異世界生活  作者: 法蓮奏
ミルフィーユ(シャーベット王国)編
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第21話 暗部の奥義を破る

順番を間違って投稿予約したら、表示上も、順序が逆になっていたので、いったん削除しました。

なんとなく、心配なので、こちらも、さっさと予約してしまいます。



 闘いに至るまでには色々とあったが、オレたちと暗部との戦闘が、いま、幕を切って落とされた。



 「暗部十人衆、奥義!大車輪!」



 いろいろと長くなったので、いきなりの奥義となった。

 暗部十人衆が、オレとライムのまわりを囲んで、高速で回りはじめた。


 もちろん、フィギュアスケートのスピンにように、個々で回っているわけではない。

 メリーゴーランド状に皆で走りながら、オレたちを取り囲んでいるのだ。

 それは、残像ができるほどの高速だった。



 「おお、なかなかやるのニャ!」


 「うん、これはすごいな」



 ただ、残像を作るだけでは、『ぱらぱらアニメ』と大差はない。


 高速回転の中から、ナイフが、いっせいに撃ち出された。

 周囲から隙間すきまなく飛来するナイフで、オレたちは、またたく間に逃げ場を失った。


 まあ、しゃがんだらOKのような気がしないでもないが…。


 そもそも、しゃがむ以前に、オレたちは、強固な結界に守られている。

 ナイフごときは、軽くはじき返してしまうから、じっとしていても問題ないのだ。



 …だが、



 ぽん、ぽん、ぽんっ!

 ライムが、肉球でオレの頭をたたいた。 


 「戦闘訓練開始ですニャ!」


 いや、コレ、実際の戦闘なんだけど…

 

 しかたがないので、オレは、魔法を発動しはじめた。


 「効果範囲設定」


 地面が、ボウっと光った。

 光は広がり、オレたちの周囲をドーナツ状に囲んだ。


 「可視化、赤」


 補助魔法をかけると、地面の光が薄い赤みを帯びて上空までぐんぐん伸びていく。


 またたく間に、オレたちは赤い光の筒にいた。


 「ぴったりですニャ」


 飛来するナイフも、赤い筒の範囲内に収まっている。


 「重力魔法、加重展開…」

 

 赤みを帯びた空間全体が、ブンっとゆがんだ。

 ナイフは、たちまち地面に吸い寄せられた。



 【ナイフが撃ち出されてから、ずいぶんのんびり魔法を発動していたのに、なんで余裕で間に合っているのかと、いぶかしむ向きもあるかもしれません。

 ぼくも、正直そう思いましたが、ファンタジーなので、解説優先ということにしました】






 「こ、これは…」


 「…な、なんと」


 「われらの、飛び道具をたたき落としたというのでゴザルか!」


 「…くっ、な、ならばっ!でゴザル」


 さらに回転が加速され、ふたたびナイフが撃ち出される。

 たしかに、さっきより威力を増したようだ。


 しかし、赤い空間に入るなり、急角度に弧を描いて地面に突き刺さった。



 「「「「「「「…っ!」」」」」」」


 「…な、なんということで、ゴザル」


 「われらが、無敵の奥義が…」


 「かくも、たやすく…」


 「破られるとは…でゴザル」



 暗部たち残像が、驚嘆きょうたんの声をあげた。

 

 それでも、高速回転は止まない。

 体力が有り余ってるのか。

 『奥義その二』とか考案しているのか。



 先に、ライムがしびれをきらした。



 「なんか、ぐるぐる、うっとうしいのニャ!…ジュンしゃま、黙らせるのニャ!」


 また、ぽんぽんぽんっとオレの頭を叩いて、注文してきた。

 いつのまにか、ぽんぽんが合図として固定したらしい。



 「しかたがない…」



 オレは、再び魔法を発動した。 


 「効果範囲設定、可視化_青」


 高速で回っている暗部十人衆を、青い光の帯が囲む。

 回転する十人衆が、ぴたりと、光りのドーナツの中に収まった。


 これには、退屈ぎみだったライムも感嘆した。 


 「おおっ!ま、まさか、正円で回転していたとは、ち、緻密ニャ!」


 「い、いや、ちがうニャ!高速回転を実現する途上で、必然的に正円と化したと考えるべきであろうニャ…」


 なんだかんだ、楽しんでいるらしい。

 オレは、魔法を続けた。


 「重力魔法、加重_展開」


 空間が、ぐにゃりとゆがむ。

 同時に、暗部十人衆がデフォルメされていった。


 「に、ニャっニャ!SD化してますニャ!…ああっ!ぐっちゃり、つぶれてしまいますニャ!」

 

 「あっ!」


 オレは、あわてて魔法を調節した。


 「フ、フェザータッチ!」


 十人衆は、再びぐにゃりとして、リアルなヒトの形状を取り戻した。







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