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錬金術とプリンセス!



 「本当に行かないといけませんか? 」

 「はい姫様、あの町で起こっている事は異常です。この異常が国として良益になっているのですから、王族として視察は当然です。」


 何度この問答をしたでしょう?

 名もない町なんてだいたいが臭く(さび)れた場所なのですよ?

 なぜ私が…… 今乗っているこの蒸気自動車の出自(でどころ)もあやしいものです。


 どこかこら横流しして町の名誉としているのでは?


 「カリストは行った事があるんですよね? 」

 「はい、以前(いぜん)…… 」


 町の事情を知る女性貴族というので同行を許していますが…… はぁ……

 どうしてこのカリストなんかと…… 憂鬱(ゆううつ)です。

 第四位である王女(プリンセス)は辛い…… もっと面白味ある行動をしたいです。


 未知(しらないこと)に震えるような…… そんな……


 ────まだ10歳の王女は空想に夢を抱くお年頃だった。

 「姫様、魔法の訓練を続けませんと…… 」

 カリストの隣に座る、私の魔法の師匠がうるさい。


 あーやだやだ……





☆★

 「今日はキュレネの杖を作ります!」


 おぉーっ!とドワーフから歓声(かんせい)が上がる

 「いや来なくていいよお前ら。」

 苦笑しながら手をシッシする。

 「いや…… シノ様は毎度、面白い事をしますからなぁ…… エンターテイメントってやつですわ」

 「知らないうちに人を見世物(みせもの)にしないでくれないかな? 」


 全くなんなんだ…… しかし工場の会議室に何人いるんだ?

 ドワーフとキュレネと……

 「あれ?オスカー大公閣下(オスカーさま)まだいらしてたんですか? 」

 遠回しに王都に帰れと言ってるんだよムキムキ!


 「おう!」

 おうって…… 早く王都に帰れよ……なんで笑顔なんだよ?

 オスカー大公閣下(オスカーさま)は電気があるこの町に慣れて王都に帰りたくなくなったらしい。

 文明の利器(りき)よ……



 「シノ様…… 指示された鉱物を倉庫から持ってきました」

 アーネがドワーフと一緒に、ガチャガチャとキャスターがついた箱に鉱物を入れて運んで来てくれた。

 ボーキサイト・ニオブ・チタン・炭素・シリコン・火と風の魔石……数が多いな。


 「シノ様…… ボーキサイトはクズ石じゃがどうするんじゃ? 」

 「いやこれは錬金術で軽銀(アルミ)にする」

 ピタリと時間が止まり大爆笑がおこる!


 あーキュレネまで残念な目で見ないで……うん?

 お兄ちゃんの面倒(めんどう)は私がみるからね?ってやかましいわい!

 「わはははは!れ!れ!ん!き!ん!じゅつ!」

 「ひーひーシノ様!それは盛りすぎですわー!」

 「シノ…… 私の胸で休みなよ」

 次々と溢れ出る、俺への嘲笑!くーっ!アネゴは胸を、たゆんたゆんさせない!


 「あー! テメーら見てろよ! フンっ!! 」

 ボーキサイトに全属性魔法を使い、神様の所でやったように錬金術を発生させる。


 一抱(ひとかか)えの赤褐色をしたボーキサイトが俺の魔法に反応して七色に輝き、バチンバチンと高電圧の電気が弾けるような大きな音が鳴る。


 ボーキサイトは光り輝き溶けるように(うね)るが熱さは全くない不思議な光景だ。

 グニャリとボーキサイトは変質を始め、ホール・エルー法という近代錬成方法をすっ飛ばして…… この異世界にアルミと残りカスが出来上がった。



 ───ふふん! みたか馬鹿共(ドワーフ)

 ドワーフやオスカー大公閣下(オスカーさま)が真顔で黙り込む。


 ドワーフ全員が固唾(かたず)を飲む中、俺はさらに今作ったアルミとニオブ・チタン・炭素・シリコン・火と風の魔石を集めて素材全体を(おお)う。


 ───錬成!


 軽く硬いチタンアルミ合金の杖を作るんだ! 魔石を回路として封入するんだ!と勘案(イメージ)しながら錬金術を使う。


 全属性魔法をかけた素材はギューッと、一つに(まと)まっていき七色に(かがや)く。


 「ホラ!変われ!錬成成功しろー!」

 合金はグニグニとまるで(もち)が生物になったように柔らかく伸びたり輾転(クルクル)する。


 ───杖!「杖───!!!」


 

 グニャリ…… グニャリ…… と俺が頭の中で考えた形に変化していき、錬金術で錬成した合金は、先端に(とが)った魔石が()()まれたキュレネの身長でも扱いやすそうな杖になった!


 ───結構な魔力量を使うな…… でも回数をこなせば魔力の成長に役立ちそうだ!


 「さすがチタンアルミ合金…… 軽いし、触感がすごくいい…… キュレネにこれあげる!」

 出来上がった杖を持ち具合を確認してからキュレネに渡す。

 チタンアルミ合金はエンジンの素材になるぐらい軽く硬い。女の子のキュレネが持つには丁度いい軽さだろう。


 「神か…… 」

 「神だ……」

 …… 闇の底から聞こえてくるようなドワーフのつぶやきに汗が吹き出る。その熱い目は何?


 ドワーフが顔を真っ赤にして涙を流して俺を(おが)む。


 オスカー大公閣下(オスカーさま)は…… もうなんだか分からない驚いた顔をして俺を見る。口をあんぐり開けすぎてヨダレが垂れているな。大丈夫か? オスカー大公閣下(オスカーさま)



 ドワーフが熱い目を俺に向けながら話しだす。

 「シノ様…… ワシらドワーフは物作りを生業(なりわい)にしとります。錬金術はの…… 子供の頃からの御伽噺(おとぎばなし)定番(ていばん)じゃ…… ワシらからしたら神の御業(みわざ)…… ホレ、アネゴなんぞ失神(しっしん)しとるわい」


 ドワーフが口々(くちぐち)に話すがまとめるとこうらしい……


 小さくて気づかなかったがアネゴが端っこで喜悦(よろこんだ)(かお)で倒れている。乳すげーな左右にドルンとなってる。


 「お兄ちゃん…… ありがとう…お礼にキスしていい♡?」

 キュレネは俺が作った杖を抱えうっとりして……なんだこの混沌(カオス)は!?



 その時、バタバタと早歩きの音が聞こえバタンと会議室のドアを少女が開ける。


 「大公(オスカー)ここにいましたか! ──…… なんですか? …… これは?」

 ポケーっと立っていたオスカー大公閣下(オスカーさま)に、非常に仕立ての良いドレスを着た少女が話しかけて、ハッとした顔でこのドワーフの混沌に気付(きづ)き黙り込む。


 「王女様、先に行ってはなりません…… お久しぶりですシノ…… なぜ悪魔崇拝(サバト)を開いているんですか? 」


 「え? お久しぶりです…… カリスト様? 」

 カリスト様? 王女?


 うえーめんどくせーなー!ガチャガチャしすぎだわ人多過(ひとおおす)ぎ!


 「とりあえずサバトではありません! 」


 屈強な男共(ドワーフ)が涙を流し拝み、キュレネはうっとりし、少女(アネゴ)は失神している……

 …… あれ? 悪魔崇拝(サバト)っぽいか?


 これはマズイ状況じゃないか?と、かなり焦るシノだった。




◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎


錬金術は素材を変動させる


挿絵(By みてみん)


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