復興に向けて!
「ここなら話好きな母さんも喜ぶだろうな……」
父さんが苦笑する。母さんの墓はキュレネの両親の隣にした。
キュレネの両親は元々、母さんと父さんの友人だった。
だから、ここなら母さんも楽しいだろうと父さんが選んだ場所だ。
父さんと母さんは冒険者になる前の話をしない。
母さんの両親はいないのだろうか?
ナイショにするような事なのか?
…… ま、いっかな!この世界はめんどくさい事が多すぎる!気にしたら足を突っ込む事になるだろうしな!
「…… 父さん!あまり母さんの墓の隣を見ない。隣の空きスペースに入るのは早いよ!」
「ああ…… そうだな」
父さんそういう返事は笑いながらするもんだよ!
そんな悲しそうな顔をしたらダメだ……
キュレネはじっと目を閉じて母さんの墓に祈りを捧げている。
魔力が流れているのがわかる。多分、回復魔法を使っているんだろう。
大事な人が死んだ時、その人が天国に行けるように。この星では墓に眠る愛する人に回復魔法をかけて祈る人間がいる。
多分、元々らアンデット対策に考えられたのが起源だと思う…… 死んだ人が痛くないように、死んだ人が天国に行けるように、亡者になり苦しまないようにと。
キュレネを止める気はない。迷信だろうと思いは思いだからな。しばらく静かに見ていると父さんがボソッと言う。
「シノ…… ありがとう」
そう呟いた父さんの顔は少し、晴れやかだった。
「仇は、ゾリゲ…… だったんだろ?」
「うん…… 」
さすが父さん。俺がゾリゲを殺したのを何となく予想したみたいだ。
父さんは母さんの墓を見ながら母さんが死んでから初めて俺に涙を見せた。
☆★
さてさて!張り切って行こう!
俺たちの人生はまだまだ続くんだしな!
墓参りをした日から俺の日常はまた忙しくなる…… んだけど問題が発生した。
そう、俺は忘れていたのだ!シートさんとアーネがしばらくして王都から帰ってきたのだ……
キャンサースライムが暴れた事によるケガ人治療をしていた所にユラァァァリと…… 俺の前に現れて、王都に置いて帰った事を恨むように、ジト…………ッ!とした顔で見てきた。
…… 正直、忘れていたので
──────あ! 忘れてた
という顔を、ついしてしまい。それから暫くは顔を合わせる度に俺の顔真似をする様になってしまった。
──────あ! 忘れてた
「シノ様、大公様から書状があります」
すんませんシートさん
──────あ! 忘れてた
「シノ様よぅ、キャンサースライムが壊した工場どうするね?」
ホントにごめんよぅ……オマエらも地味に精神を削らないでくれよ!
──────あ! 忘れてた
「シノ、町を再建する前に防壁を厚くしておきたい。魔法で助けてくれないかい? 」
父さん! あなたまでマネしないでくれますかねぇ?
何でそのままスグに町に帰らなかったの?俺の質問にまたアーネがジトッとした。
シートさんは大公様に銃ルベルM1886[MA]の取り扱いを教えるのに時間が掛かってしまい王都に足止めされてしまった。
アーネが早く帰れなかったのは「魔物がいる街道をシノ様の奥様一人で町に戻らせる事は出来ない」とシートさんさんが解放されるまで一緒に王都にいたのだと言う。
おい!俺の奥さんってなんだよ!
──────あ! 忘れてた
「そういえばシノ、大公閣下がまたすぐにでもシノに会いたいと兵士に話すのを仄聞しました」
アーネったらもういいよぅ…… ごめんよぅ……
シートさんから渡された、大公様の書状には大変に要領を得た、影のないものだった。
要約すると
・ゾリゲ死んだみたいだし約束通り
シノの父が領主になれ!
・銃火器だけで下位貴族になれる!
貢献しているから心配すんな!
・父の引退後シノが貴族を継承する事!
たいへんに国益になる!
逃げるなよ!逃げたら追うぞ?
なるほど、俺を囲い込むつもりかよ!
父さんめっちゃ嬉しそう!
まあ…… 母さんが死んでずっと塞ぎ込んでいたからな…… 今、こんな父さんの顔を見たら反対はできないなぁ……
はぁ…… 辛い…… 貴族かよ。めんどくさいなぁ……




