休み終わり!
「えっと…… アーネリさん? 」
「はい、気軽にアーネと呼んで下さい」
いや、そうじゃなくってですね……
「何故に私がアーネリさんを受け入れる事になるんでしょうか? 」
アーネリさんは「うーん」と空を見上げ考える。
まさかの理由なし?いや…… まさかね…… ?
「分かりません…… 」
ビックリし過ぎて固まるってあるんですね?
意味が分からな過ぎてアーネリさんを思わず見つめてしまう。
いや赤くなってモジモジしないで下さいね?
アーネリさんはモジモジしながら、実は自分が貴族である事、なぜこんな所に従者も連れずに居るかを、言葉に詰まりながらポツポツと話す。
「もう私には何もありません。少しの貴金属は残っていますが次の税金は払えないでしょう。私は爵位を返上しなくてはならなくなります。下手をすると犯罪者として貴族の話のネタとなるかもしれません」
重い…… 重いなぁ
休暇中に聞く話じゃないなぁ……
アーネリさん俯いちゃうし……
「…… はぁ…… 仕方ないかぁ…… あのねアーネリさん本当に貴族様なんですか? 」
アーネリは少し考えてポケットから手に収まる小さい鉄製の紋章が描かれた盾を取り出した。
紋章が描かれた盾…… この国では貴族の証し。
もちろん偽造したら死罪となる。
本物っぽいなぁ……偽造防止なのか、なにやら魔力が込められているみたいだし……
「しかし、なぜ俺を? 」
「貴方様が空を駆け光と共に私を助け導いて下さいました。」
なんかたいそうな事を言われてるんですがー!?
川風が、通りに溜まった空気を新鮮なものに変えるように吹き拔ける。
照れた頬を冷やす風が気持ちよく薄く目を閉じる。
そんな時間を動かすようにアーネリさんに店員さんが水を持ってくる。
藁ストローでアーネリさんが水をクルクル回し決心したような顔で俺を見た。
わ!顔が真っ赤だ!どうしたどうした!?
「あなたを好きになりました。それではダメですか?」
あ……あぇぇ?
「ゔぇぇえ? 俺を? 」
あまりに恥ずかしかったのかアーネリさんが目を泳がせてからキッと睨んできた。
ああ、この子は緊張したらこうなる子なんだな……
「私は爵位返上します。ただのアーネリとして連れて行ってくれませんか? 」
うーん、好きとかは…… 応えるのが難しいけど聞いている身の上の話は、気の毒に思うね。
「えっと、俺はまだそういう恋愛のどうのは考えていないんだよね…… 仕事の手伝いをしてもらうって事で許してくれないか?アーネ?」
アーネリはアーネと呼ばれて嬉しかったのか、ニマーッと嬉しそうな顔で微笑んで頷いた。
俺を好きだと言ってくれた人を捨てたりは出来んわな……身の上の話がホントの話かは分からんが……
「あーあ…… またドワーフに馬鹿にされるなぁ……」
☆★
もうアーネには見られているので彼女の手をとり瞬間移動を使う。
「あの…… アナタ……」
「え!?積極的すぎない? シノって呼んでね? いい? 」
なんか大変な子を連れて来ちゃったかな?ちょっと頭痛が……
「あの、シノ…… 様、寄り道をしては頂けませんか? 」
「様も要らないよ!…… どこに行きたいの?」
アーネが自分の従者の遺体を確認したいと言うので上空からサイクロプスがいた場所を捜索してアーネの馬車を探す。
アーネの馬車は目立つ貴族の紋章がついた物だったのですぐに発見する事ができた。
サイクロプスに踏み潰され蹂躙された遺体を見てアーネは涙を流して唇を噛んで悔しみに耐えている。
「亡者になって彷徨うのは可哀想だな…… アーネ燃やしてしまってもいいかい? 」
俺が手に火の魔法を作るのを見て、アーネは火葬する事を理解したのか目をギュッと閉じ手を祈るように合わせる。
「ごめんなさい」
燃え上がる炎にアーネは謝罪をした。
そして…… 囂々(ごうごう)と炎をあげる遺体にアーネは貴族の紋章盾を捧げるように、投げ入れた。
「!お、おい…… いいのか?」
貴族としての証明を捨てる事に驚く。
家も金も無いアーネの証明は紋章盾しかないハズだ。
「…… 私はもう貴族ではありませんから」
その言葉は火葬される遺体に対してか、または自分に言い聞かせる為なのか……
「行きましょう」
アーネは俯いたままそう呟いた。
☆★
瞬間移動を繰り返してウチの町の上空に帰ってきた。
「あ! 俺の能力は秘密にしてくれる? 」
「え?あんな凄い力なのに…… 」
「頼むよ。」
アーネは了解、とえへへと笑った。
物分かりがいい子で助かる!さすが元貴族!
「あ、アソコが俺の家ね!」
町で一番大きい建物である町長宅を指さす。
「あの? シノ様はこの町の町長のお子様なんでしょうか?」
「様は要らないって…… そうだよ、俺は町長の息子なんだ。家族で生活しているから住む場所を一緒にとかはさすがに無理だけど便宜は図れるからね! 」
心が疲れているだろうし、アーネには暫くはゆっくりしておいてもらおうと思い2人で工場の裏に降り立った。
工場の管理室…… つまり俺の部屋には生活が出来る設備がちゃんと完備されている。もちろん鍵もかけられるのでアーネはしばらくここで暮らしてもらおう。
そう考え歩き出して……
…… 工場の角を曲がった先に憤怒したキュレネがいた。
「お兄ちゃん…… その人ダレ?私に内緒で何してたの?」
何でここに来るのバレてるの?
キュレネ、アーネさんと笑顔で睨み合わないで……お願い!怖いからやめて!
ああぁぁぁぁ……めーんどくさーい!あーあ……
ホントに…… 俺は休暇とかいつとれるんだ?
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おまけ─────────────────
いやー、スマホのアプリってすごい。
色をAIが無料で塗ってくれるし、有料だけどエフェクトもかけてくれる。
色が変な所に入っているけど凄い。
ボールペン絵を仕上げてくれるらしいAIさんに感謝。
2021/4
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