ボクサーのように!
空から河川を見つける。かなり大きな川だな……
目線を川に沿って動かしていくと町を見つける事ができた。
「あれがリバの町だな」
手にした地図は正しかったと満足して笑顔になる。
正規に町に入る場合は門番に検分されるだろう。
子供の一人旅は怪しまれるだろうね。絶対に。
面倒は回避するに限ると考えて、空からリバの町の路地裏に降り立った。
初めての町にテンションを上げて町中をキョロキョロと見て回る。
「やっぱり大きな河川があるから魚の販売をしている店が市場に目立つな」
魚を焼くいい匂いにフラフラ〜っと吸い寄せられて、ついつい買い食いをする。塩焼き魚ウメー!
電気・ガスがないから炭火か藁焼きで魚が焼かれているもんだから塩だけでも美味いのなんのって。
「いや〜、この町いいよ!魚最高だよ!」
次は甘いタレを浸けて焼いた魚を食べながらテクテクと観光を続ける。
帆船が河川港に停泊している…… この町は遠方からの流通も盛んなのだろう。
ウチの町では見た事もないような珍しい物も色々と販売されている。
そうだ、キュレネに何かアクセサリーでも買ってやるかな?
そう考えながら店を冷やかしていると金髪の気のキツそうな女の子と目が合う。
…… え?俺怒られるの?ってぐらいキツい目で見られている。
いやいや…… 始めて来た場所で怒られる事は無いだろうと無視を決め込もうと女の子から目を逸らす。
「え!?」
目線を外したのに視界に女の子が割り込んでくる。え?難癖をつけられるの?
女の子はさらに目つきが鋭くなったような気がするんだけど…… えぇーっなんでー?
俺、普通に暮らせないのー?なんかアクシデントばっかりじゃん!
いや、まだ俺を見てるとは限らない。目の悪い女の子で俺の後ろの物を見たいだけかもしれない。
そうだ、俺が立っている場所が悪いんだろう、
チラリと後ろを見てみる。樽屋のオヤジと目が合う。
愛想笑いでお互い会釈する。
このオヤジに用があるのか?と目線を戻すと、ちょっと女の子が近づいている。
…… 女の子は更に目つきが悪くなり顔が真っ赤になっている。
え?なんでなんで?なんで睨まれながら達磨さんが転んだで遊んでる風になってるの?
もうドン引きしちゃったよ!
逃げるように俺は走りながら移動した。
「なんだよ休暇させてよ…… 」
一息つこうとオープンテラスがある店のテラス席で果物のジュースを頼む。
ふひひなんかやっとバケーションっぽい。
飲んだジュースは、地球のミックスジュースみたいな味ですっごい好みだった。
果物ジュースを藁のストローで飲んだり
表面の気泡をツンツンしては少し飲む。
あーなんかいい。無駄な時間が心地イイ。
ここしばらく仕事ばかりだったからなぁ……
ジュースを考え事しながらツンツンツンツンしていると着いているテーブルに人影が差した。
店員かなー水おかわりしよっかなー?
あれ?向かいの席に座った…… ?
なんと、目の前には真っ赤な顔をした、さっきの目つきが悪い金髪の女の子が座っていた。
─────え?守護霊が見えるようになったのかな?
いや違うな…… 店員さんが女の子を見てるわ注文を聞こうかと見てるわ。
あーこれめんどくさいわ……
なんだよ視線はずしてもまた目線合わせてくるし…… 不良のメンチ切り合いをしたいの?お断りだヨ?
こっちが視線を外すと、女の子は視線を合わせようとしてくるし…… なんかこうボクサーみたいな動きしてくるし……あれー俺、悪い事したー?
「さ…… 先程はサイクロプスから助けてくれてありがとうございます…… 」
「え?」
「森で…… サイクロプスを…… はい…… 」
え?見られてたの?
「あの…… それきっと私じゃありませんよ? 」
「いえ!貴方様です! 空を走るのも見ました! 」
思わず大声で叫んで恥ずかしかったのか女の子の顔は真っ赤になってるんだけど、これなんなの?
「あの…… 私を貴方様の元で庇護してもらえませんか?」
真っ赤な顔で何言ってんのこの子!




