イライラを晴らす!
瞬間移動で村から少し離れた荒野に移動した。ここは最近、キュレネとよく来るお気に入りの遊び場なんだよね!
今日の遊びながらよ魔法訓練は、調査団の所で見た"かまくら型のドーム"を作りたい!というもの。
これを覚えて応用したら、冬に雪のかまくら作れるじゃん!
「遊び終わったら、キュレネの火魔法と風魔法と合わせてこの大地を蹂躙しような」
「うん!一緒にいようね!」
「一緒に、遊ぶんだよキュレネ」
よしよしと撫でる。なんか最近、キュレネがキュッと抱きつく回数が増えたような気がする…… 寂しいのかねぇ?
さて…… 土の魔法て作る『かまくら』だけど陶磁器っぽく出来ないだろうか?
魔法と超能力の念動力と発火で上手く出来ると思うから試してみようと思う。
まず念動力を使用する。
念動力なぁ…異世界にきて大幅にパワーアップした力の一つだ。
魔法のない地球では体の負担が凄くて、ばあちゃんを助ける時に油を曲げるのに使ったぐらいなら倦怠感も無く済んだんだけどね。
実験!実験!と、近所にあるスクラップ置き場にあった普通車を浮かした時は、まだ子供の体力しかなかった…… 浮かした途端にグンッと身体中の力を消費してウンコを漏らした。
直腸の筋肉が弛緩したんだろうな…… と今なら分かる。
隠れて実験していたから人には見られてなかったけどさ…… もう滝のように流れた…… 辛かった……内臓が無くなるかと思った。
……いや…… 待てよ[記憶]スキルが働いて蓋をしていた記憶が開いて全てを思い出したわ…… あぁ、一番嫌な人にバレたわ……
家に帰り風呂場で隠れながらパンツとズボンを洗っていたら、性格最悪の妹にバレたな…… あの汚らわしい物を見た目…クソッ……
その日はウンコ漏らしたショックと妹の目を思い出して心が死んだなぁ。
妹、俺の子供や孫にまで漏らした話をしていたな辛かったな……
「お兄ちゃん…… すごい!」
キュレネが感嘆しながら俺に抱きついて叫ぶ。
嫌な思い出を消したいと力任せで土魔法と念動力を使い、目の前の大地を捏ね回していた。
ちょっとイライラしながらだったので魔力を練りすぎて大地が凄い事になっている。
しかし…… キュレネはすぐに俺を褒めるなあ。
粘土の中にガラスのような物質がらあるのを感じる。念動力でお椀を逆さにしたようなかまくら空間を作り、しっかりと自立できるように大地に少し埋めて固定。
「あとは土魔法でコーティングして焼けばイケるかな?」
なんか茶色くツヤツヤなのを見てるとチョコが食べたくなるな……
カカオとかこの星にあるのかな?[記憶のファイル]にチョコを作るバラエティー番組の記憶もあるしカカオあれば再現できるんだけど。
「お兄ちゃん…… これどうやって作ったの?本当に魔法だけ?」
おおうキュレネ勘がええのぅ。まぁ頷いておこう。
熱いキュレネの目に自己満足感が満たされる!
これから熱くなるから、キュレネを抱きかかえ土のかまくら球から瞬間移動で距離をとる。
「熱くなって危ないからな、近づいちゃダメだぞ?」
「あ…… !」
俺が抱っこを解くと、キュレネは少し寂しそうな顔をする。家族に飢えてるのかな?お兄ちゃんと両親はキュレネの家族だぞ?安心していいんだよ?
キュッと抱きしめてポンポンとキュレネの背中を叩くと、キュレネはおずおずと俺の背中に手を回してきた…… これで安心したらいいんだけど。
しばらくキュレネを慰めて作業を再開する。
発火!!
心の中で念じると土のかまくらは突然と燃え上がる。
火魔法は発動した場所から目掛けた場所に進むしか出来ない。
でも、超能力の発火は物質(生物を含む)自体の原子から温めて焼く事が出来る。
火魔法はガスバーナーや爆発物で、発火はアツアツに出来る電子レンジと言えば分かりやすいかな?
生物…… スーパーで売っている鶏肉に使うと一気に焼き鳥から炭になる。試して妻に怒られた実績がある!怖いよね!炭化するんだよ!
…… 陶器を作るには中まで均等に、しっかりと焼けない火魔法は適切ではないと[記憶]では判断した。
「お、お兄ちゃん…魔法使ってないのに火がついたケド……」
答えるのが難しいので聞こえないフリをしておこう。うぉほんゲホンゲホゲホ!
「焼き上がりまでは暫く掛かるから一緒に魔法訓練始めようか!」
「う…うん」
キュレネは本当に聞き分けの良い子だな!
2人で燃え盛るかまくら陶器ドームから少し離れて、魔法を使い目一杯に大地を凸凹にした。
いやー快感だわ!キュレネも魔力量上がってるしよいよい!
かまくらドームは夕方には焼き上がり、指の爪で弾くとキンキン!と音が鳴るくらいに硬く出来た!
「しっかり出来たなぁ!」
「お兄ちゃん、凄い」
まだ熱いので入るのは後日として、外から陶器ドームを眺めて帰宅した。
☆★
──────シノーンとキュレネが帰ったしばらく後……
「こんな事があなた方出来ますか?」
膨大な魔力を感じた。これは恐怖か?
しかし確かめるのが仕事。急いで魔力が吹き荒れたと思われる荒野に我が王都魔法隊と駆けつけた。
隊員の魔法使いは土魔法で作ったであろう硬質化したドームを調べている。
「お嬢様、これほど綺麗な半球体を作るのは我々には不可能です。しかも焼成されたのか陶器のようになっています。」
こんな事が魔法で出来るのか?
しかも周辺の大地にある攻撃跡からは全属性の魔法残渣を感じる……
考えれば考える程に恐ろしくなり、背中や顔に汗が浮かぶ。
そんな中、なぜか私の頭にはシノーンさんの姿が思い描かれていた。




