新しい能力!やったね!
「蝶野くぅ〜ん」
ほえ?
馬車に揺れながら寝ていたはずだけど……あれ?地球の時の身体?
という事は、ここは…もしかして神さまの?
「正解!」
「うわ!久しぶりですね」
そこは地球での死後に神様と会った白い空間だった。
指を立てて正解のジェスチャーをする神様に癒される。聖なる癒し。
「あれ?俺また死んだ?」
「ちがうよ、転生してそろそろ人として物心がついただろうから話を聞こうかと思ってのぅ!」
仕事の進捗状況を聞いてくる上司みたいだな……あ、そう言えば神様の加護をもらってるから部下みたいなもんか。世知辛いなぁ…… 死んでも生きても寝ても仕事になるなこれじゃぁ。
でも神様を怒らせて良い事はない。ここは仕事の経過と足りない事を話しておくかな。
「まだ6歳ですが何とか周辺の魔物は倒せるようになりました。あと文化の進み具合があまりに遅いので何か対策が必要です。」
「堅苦しいのぅ……しかし強くなっているのは良い事じゃ出来る範囲で良いので引き続き頑張ってくれな。あと文化の進展かぇ……何か妙案はあるかいの?」
あれ?これはおねだりゾーンかな?おねだりしちゃうかなー!?
二チャリと笑う
「悪い顔じゃのう……」
失礼な…人を作ったのは神様じゃないですか……
「えっとですね。俺の地球での記憶や思考…… 脳に溜めた物の全てを区分してファイルみたいに頭の中で閲覧できるようになりませんか?」
少し神様はのけぞり楽しそうに目を見開いた。
「ほうほう、面白い事を考えのぅ。詳しく話してみなさい」
人の脳は膨大な記憶量があるのだが、思い出す必要の無いものは脳神経が思い出さないように蓋をしている。か忘れてしまう。
その記憶、忘却された記憶の全てに索引をつけて閲覧できるようにならないだろうか?
例えば 花/タンポポ/キク科タンポポ属 多年生…………
のように注釈を検索できれば役に立ちそうだ。
「ふむ…本当に面白い能力じゃのう……」
「ええ、超能力の勉強の為に図書館にこもる事が多かったので…飽きると色んな本を流し読みしていたので役に立つと思います」
雑学ばかりで勉強はさっぱりだったけどね!
「よし、興味深いので試しにその能力を与えてやろう」
神様はスッと指を俺の頭に当てて何かを呟いてポワッと光が……
うん?脳のなにかが置き換わるイメージが流れこむ。記憶がソートされて意識が鮮明になった?と思う。
「さて上手いこと使えるかは分からんが加護を与えたぞ役に立ててみなさい」
「はい、閃きがなければ意味の無い力ですが善処します」
ニヤリと笑い合う本当に気さくな神様だな。
「さてそろそろ帰りなさい次会うのはいつになるか分からないが…… 早い気もするのぅ…… 蝶野くん頑張ってくれな?」
笑う神様を見て視界が歪むと馬車で寝転がるシノーンの体で目覚めるのだった。
「お兄ちゃんどうしたの?」
「ん?いや…… 大丈夫だよキュレネ」
俺があらゆる所を眺めて頷いているのを不審に思ったのかキュレネが心配したように訊ねてくれる。
そんなキュレネの髪を見て、記憶の中からシャンプーの作り方を思い出す。
うん、本当に凄い能力だ。なんでも思い出すし今現在の知識も動画撮影のように随時、保存されている。
神様ありがとうございます。もう記憶力の勉強しない人生確定です。
さて、村への帰路なんだけどね。夜は本来なら馬車を走らせるのは危ないが、母さんの魔法で前方を御者台から照らす事で視界を確保できる。
それにゴッツイ父さんが後方確認できる事に加えて、ドロスの町から我が村までは数時間で到着する為、この夜間の強行軍になった。
あれ?尻が痛い……寝てる間に尻がまた馬車にやられたみたいだ……
俺の尻の為に馬車の改良の為の記憶を探すとリーフスプリングなどショックを和らげる為の使えそうな物が記憶の中に見つかる。
作り方も概要が検索出来る…… あれ?これって超能力よりこの星で使える能力なんじゃね?
この篦棒チート能力が嬉しくて、クスクスと笑いながら痛む尻を摩り、記憶を弄んでいると視線を感じる。
「シノ……」
御者台から母さんの声がかかる。
すごい真顔で心配した目をしているけど…… 違うんですよ母さんこれはね…… あぁぁ……
……ダメだ自分の尻を撫でながら笑う言い訳なんて思いつかない。
しばらく見つめ合い
「寝るね」
「う…… うん」
と何とも言えない緊張感で横になり村までずっと寝たふりをする羽目になった。
村に到着してヒソヒソとこちらを見ながら夫婦で話し合いをしていたけど、そういうストレスもお尻に悪いからやめてほしいと切に願います。
☆★
街から村に帰り3ヶ月の時が経った。
キュレネの情報はトロスの村の教会から発信されたようだけど招集とかはなかった。
まだまだ子供だし将来性がある程度として見ているんだろうか?まぁ教会に妹であり孫でもあるキュレネを取られないなら何でもいいよ!
「…… 暑っつ」
─────季節は夏の陽気になっている。
俺と村の鍛冶屋が作った馬車用のリーフスプリングが大当たり。
馬車自体の値段は高くなるが荷台への負担が、ただの木組みだった今までよりは大幅に減るので商人を中心に注文が相次ぎ村の収入がさらにアップしてウチはまたお金が入るというなかなかの好循環になっている。
情報は金になる…… この言葉は本当なんだね。
どうせならリーフスプリングの次の段階でもあるコイルスプリングを作りたいんだけど、今の鍛錬技術では脆くなって無理だろう。
土魔法をもっと訓練したら金属加工出来たりするんだろうか?
俺とキュレネの空での魔法練習
俺単独の魔物狩りも続け
など公私共に充実していたのだが…… さて今日も魔法訓練しようかと思ったある日、村に王都からの調査員が訪れた。




