おにごっこ (強制)!
面白がって父さんから逃げるようにキュレネと笑いながら走って大通りにある市場にたどり着いて息を整える。
「さて何しようか?」
「私はお兄ちゃんと一緒ならなんでもいいよ」
少し照れたようにキュレネが言う
もう……孫でいいんじゃないかこれは……孫娘キュレネだ!よしよしと頭を撫でると嬉しそうに笑う。
ええ子やなぁ……
とりあえず、街に入る前にリバーシやチェスの売り上げからお小遣いをもらっているので買い食いくらいは余裕です。
ありがとう!地球のボードゲーム考えた人達!漁夫の利ですすみません!せめて美味しい物を食べます!
ものっすっごい脂っこそうな豚肉をガレットに包んで畳んだ物を食べたり、何かの果実をくたくたになるまで煮て水を足しただけのジュースを飲んだりした。
脂気も果実も子供の体だから美味しい美味しい!
しかし年老いたこの星の人たちは何を食べれるんだろう?だいたいが脂っこいな…… お粥とかあると将来たすかるんだけども……
うーんと考えているとふと目の前に仕立ての良い服を着た少女が通りかかる。
他の町の人間は気付かないようだが服についたボタンなんかは精巧に彫り物がされていて手の入ったものだと分かる。
スカートとかプリーツ入ってんじゃん…… わぁ、絶対金持ちだわ……
まじまじと見ているとキュレネが軽く服を引っ張る
「お兄ちゃん女の子に見とれたらダメだよ」
じっとり見ないで下さい羞恥心でお兄ちゃんどうにかなりそうです。
頬をポリポリ掻いて恥ずかしくしていると、あらあら目の前に金持ちそうな少女が立っていてこちらを凝視しているではありませんか!
「あの…何か?」
気まずいのでこちらから声をかけるとハッとした顔で少女は姿勢を正す。
「す…すみません!私は王都の調査員なんですが」
うわーめんどーいの来たよー!あれ、でもこんなに若いのに調査員なの人材不足なの?でも対応は一つさ!
「いえ知りません」
駅前の宗教と絵画販売の勧誘を冷たく断るイントネーションでそう言うと、急いでキュレネの手を取り建物の陰に走り隠れる。
なんか追って来そうな感じなので、そこから上空に向けて何回かに分けながらキュレネと一緒に超能力で瞬間移動をした。魔法じゃないからこの世界ではなかなか勘付けまい!
「え?」
と驚くキュレネだったが説明は後回しに、まずは下を確認だ!調査員さんはやはり追いかけて来ていたようで、さっきまで俺達が隠れた建物の陰を見てキョロキョロしている。
王都からの調査員とか思い当たる節が多すぎるわ!俺に関係無い話ならいいけどな……
キュレネに瞬間移動を難しい魔法という事にして説明。
うっとりとした妹からの尊敬の眼差しを受けて少し調査員さんに感謝。でも見つかるのも嫌なので離れた物陰に着地してまた市場へ。
「こんどは何を買おうか?」
ニコニコするキュレネと一緒に色々と買い込む。リュック持って来れば良かったなぁ。
あ!手持ち籠が売っているからこれを買って持ち運ぼう。
「あの!!」
後ろから声をかけられ振り向くと王都からの調査員さんだった。
即座にキュレネの手を引いて物陰に隠れてから上空にテレポート!
買い物→見つかる→隠れる→テレポート!
三回ほどコレを繰り返したら調査員さんは地面に両手をつけて項垂れ動かなくなった。
おーおーなんか叫んでるわ。こわいこわい。
「キュレネ、もうすぐ夕方だし馬車に行こうと思うけど……楽しかったか?」
「うん!!!」
キュレネの笑顔に頷いて2人で馬車に向かった。
両親はその後、もう少し遅くに集合してきたが大量の荷物を持たされた父さんは本当にゲッソリしていた。
もう歩く人が振り向くぐらいにゲッソリしていた。
☆★
私は王国魔法隊のニカ
この地方で最近頻発している不明な魔法活動の調査に来ている。
魔法活動…… とは、大気に放出された魔法の推移を調べる事を言う。
魔法の観測所が国に点在しているんだけど、この地方では空高くで自然属性の全属性の魔法が度々発動していると検知されたのだ。
全属性とか使う魔物が発生したら…
国民の安寧守る為、原因の究明をしないと。
しかしこの街の教会は老朽化が激しいな。水晶の壁が壊れるなんて見た事がない。
地方の村に配備される水晶の壁でも簡単に壊れないはずなんだけど……
教会にいた老婆の話では神に選ばれた少年が眩い光の中にいたと言うが転寝をして夢でも見たんだろう。少年が水晶の壁を壊す?冗談にもならない。
たいした情報は教会に無かった…… なら市場で聞き込みを…… と見廻していると、こちらを見ている少年と少女がいる。
ふむ、子供の噂話もバカにならない場合があるし話をしてみよう。
近づいてみたらやたら整った顔をしているな。将来、かなりの男前になりそうだ。
「あの…何か?」
は!!いかんいかん!!少年に見とれるとかいかん!
「す…すみません!私は王都の調査員なんですが」
「いえ知りません」
被せ気味で断られてしまったではないか!不審者と思われたではないか!
い……一応は女の子だぞ私は
冷たい…… 慣れたような断り方を美少年にされたら、さすがに傷つくぞ……
少年と少女はそそくさと建物の陰に逃げ込んだ。
私そんな嫌われる事した?自己紹介で嫌われるとか酷くない?
ちょ!ちょっと文句を言おうと追いかける!
「あれ!?いない??」
魔力の残渣もない
意味が分からない!!ゴーストだったの!?
いや、買い物もしていたみたいだし、きっと何かを見落としたんだろう。そうだろう。
と自分に言い聞かせ再び市場で聞き込みをしているとさっきの少年少女を発見!
やはり夢じゃなかった!幽霊じゃなかった!
「あの!」
嬉しくて声をかけたらまた逃げられた
辛い……ただ辛い……
私は嬉しくても、あなた達は嫌なんですね分かりました!
なんかヤケになってしまい怒って追いかけて、美少年が逃げ込んだ物陰を見たらまたいない!なんなの!本当に!
それから何回か追いかけては逃げられを繰り返す……
徐々に少年少女の荷物が増えているのも腹がたつ……
買い物してるの?私一生懸命だよ?
心が折れた音がした。
「ちくしょー!!私が何したのよー!!」
少年少女を見失った路地で私は泣き叫んだ。




