はいステータスステータス!
ステータスとはなんぞや?と考えていると神父がキュレネの頭を撫でて優しくゆっくりと話しだす。
「ではキュレネちゃん、お名前を言ってからこの透明な水晶の壁に触ってくれるかな?」
───ん?名前を言わないとどうなるんだ?
「神父様、名前を言わないとどうなるんですか?」
ナイス質問キュレネ!
神父の説明はこうだ。名前を言わないでも大丈夫だけど名前を言わない場合は個人情報が教会のデータに特定して残らない。
神様が存在している世界では教会との繋がりは大切で、教会のビッグデータに残さないのは…… うん、要約して簡単に言えば罰当たりなんだそうだ。
ついでにステータス鑑定と自然属性適正で調べて優秀な素質があるなら教会と国がバックアップするので名前は登録した方が良いという……
なんとも…… 現代人ならマイナスな要素がふんだんにある話だった。
「母さんもこれで冒険者の時に助けられたから大丈夫よ」
キュレネは母さんの言葉にしっかりと頷くと口を開いて自分の名前を宣言して水晶の壁に手を当てた。
「キュレネ」
キュレネが触れた水晶壁は光を発する…… 明かりが増して部屋を大きく照らしていくんだけど大丈夫か?
「えっ!?」という風にこの場にいた大人が全員声を出す。やっぱりおかしいみたい、明るすぎる。
その強い光が揺らめいてだんだんと文字になっていく。
「こんな強い光なんて初めて見ます」
神父様が驚きを隠す事なく話す…… なんか、気持ち悪いなコイツ。
「これは……大変な事ですよキルケーさん。キュレネちゃんは聖女様かもしれません」
キュレネが触っている水晶の壁にはこう文字が浮かんでいた。
キュレネ
レベル:3
種族:人間
年齢:6
性別:女性
職業:遺児
体力
28/30
魔力量
250/250
魔力
100
筋力
20
敏捷
15
○適性魔法
回復魔法
火魔法
風魔法
○称号
お兄ちゃん大好き
○スキル
なし
○固有能力
なし
「ゲームかよ!」
思わずツッコミを入れたね!
…… しかし、これが凄いのかどうか分からないが周りの大人が言う言葉を拾うと、凄いらしい。
「魔力量が俺の倍だと?」
「6歳でこのステータス…?」
大人より魔力量が倍ぐらい多いのか…… じゃあ魔力量が125なら一般成人男性と同じと考えたらいいのかな?
「キ…… キュレネさん、今からこの町の冒険者ギルドで一応登録しておきましょう」
神父様が汗を流しながらキュレネの手を取る
あ、キュレネちょっと嫌そう。
母さんもステータスの数値から分かる娘の潜在能力に何かを思い冒険者登録に拒否はしないようだ。
「ささ!行きましょう」
神父様が教会を出ると教会内にいた人間はそれに続いて出て行く。
娯楽の少ないこの星では物見でさえ楽しいのだろう。
教会には寝ているか分からないコックリコックリと揺れているお婆ちゃんと俺だけが残った。
父さん…… 息子を置いて行くなよ……
しかし…… ステータスか…… 名前を言わなければバレないよな?
そう思い俺は自分の力を見てみたい欲求が出て水晶の壁に近づき無言で手を当てる。
俺の触れた所からはキュレネの時とは比べ物にならない程の光が洪水のように溢れてくる。
目が開けれない。真夏の太陽光みたいに光に押されるような感覚すらあるぐらいに強い光!?
その光が瞼越しにおさまるのを感じてから、ゆっくりと目を開くと水晶の壁に俺のステータスが表示されていた。
名前不明
レベル:10
種族:人間
年齢:6
性別:男性
職業:神の加護を受けし子供
体力
498/500
魔力量
2000/2000
魔力
900
筋力
100
敏捷
150
○適性魔法
全属性
魔法の定義内での追加の習得が可能
○称号
神の加護
○スキル
なし
○固有能力
超能力
…… ビキ…… ビキビキビキ!!
俺のステータスが表示された後、いきなり水晶の壁に亀裂が入った。
かなり後で思い当たったんだけど、俺の魔力に田舎の街の測定器が耐えれなかったんだよ。
───あ、これヤベーやつだわ。早く逃げよっと!
─────────シノーンは家族を追いかけるように教会からスタコラと脱出したのだが彼は気付いていなかった。
名前不明だとしてもそのステータスは教会のデータベースに登録されてしまった事を──────
☆★
教会から逃げ出してみんなと合流しようと街を見回す。
人が屯している建物があったので中を覗いたらたら脂汗をかいているキュレネがいた。
キュレネが連れて来られているって事は…… ほぉ、なるほどこれが冒険者ギルドか。
母さんに生業を聞いた時にだいたいの概要は聞いたが…… やはり力仕事がメインな職場だな父さんみたいなゴッツイオッサンが多い。
…… あと臭い。
屋内自体は綺麗に掃除されているのに何でだ?
しかしなんか嗅いだ事があるような……あぁ!!剣道の防具、特に籠手の臭いに似ているのか!
そりゃそうか風呂もなかなか無い星なんだ。水魔法が使えない冒険者なら体を拭くのもクエスト中難しいだろう。というか魔物退治しながら清拭できないよね問題があるね。
革の鎧を着込んでいる冒険者も多い。革は手入れしても臭いからねぇ……
こりゃくせーわ。部屋全てが剣道の籠手みてぇーだわ!幻想ねーわ!
これ、女性の冒険者は我慢出来るのか?
不思議に思って探して見たら女性冒険者は屋外にあるオープンテラスのように外に机や椅子を出して茶やらを飲んでいる。
…… いいな、良い匂いがしそう。
ここで待つのも良いがキュレネが臭い所にいるのに見て見ぬ振りはできない。
空気清浄機でもあればな……あ、あるわ俺に魔法あったわ。
風魔法でキュレネに風送ったろ。ゆるーく外の風をキュレネに送る。
キュレネはヨイショされたのか恥ずかしそうに顔を紅くしているが風を感じてこちらを振り向き、俺の顔を見ると胸の位置で小さく手を振る。可憐だねぇウチの妹は。
…… 父さんと母さんが凄い顔をして見てくるが無視だ!
妹の方が大事。風はやらん。
「これ風魔法よね?」
「そうだね、シノはまず風魔法を発動できるみたいだね」
両親がなぜ凄い顔をしているのかシノは気付いていなかった。




