ご案内 攻略対象者様御一行
流行りの刀ブームにちょっとだけ乗っかりました。
《さて、次の乙女ゲームの世界だけど》
うん、四つめの乙女ゲームだね。
《とある大陸で、世界の安定を保つために六カ所に剣が奉じられているんだけど、千年毎に剣を大陸の中央の聖域に集め、次なる千年のために儀式が執り行われるんだ》
ふむふむ。
《剣にはそれぞれ精霊が宿っているんだ。で、剣を回収しつつ大陸を旅して剣の精霊達と恋愛する、てことなんだけど》
「攻略対象者は、剣の精霊ということね。ライバル令嬢は?」
《ライバルはヒロインの護衛の女騎士》
「護衛?」
《そう、旅をするのに一人は危ないでしょ?剣を回収すれば護衛は必要無くなるけど、そこはほら、乙女ゲームだからね。ライバルは必要って事かなぁ》
「なるほど」
《じゃ、さっそく次の乙女ゲームに向かってもいい?》
「待った!剣が普通に有ったり、護衛に女騎士が付いたりするその世界は、戦闘とかあったりするの?」
《うん。割とがっつり戦闘あり。敵は魔獣系とよくある盗賊類かなぁ》
と、相棒は、何て事ないように言うけど、私は戦闘なんてしたことないよ!
平和な国の出身だ。それなのに何の心得も無く、いきなり戦闘は無謀過ぎる。
《大丈夫、大丈夫。戦闘は、護衛騎士と剣の精霊がやってくれるし。よっぽどヘタ打たなければ死なないから》
その大丈夫は全く信用できない。ヘタ打たなければって…。
「全然大丈夫じゃない!死ぬこともあるって事よね!」
《ま、まあね。でもヒロインスキルでなんとかなるよ。…きっと》
「……まずは安心して旅が出来るくらいの技術と、剣の取扱いくらいは、習得させてよ」
《真面目だなぁ。やりながら覚えられるって、大丈夫》
ホントにあんたの大丈夫は軽い。
予習は大事!
それから、前にも言ったけど私は取説読んでからスイッチいれるタイプだから!
結局ゲーム開始の二年前のゲーム世界に転移し、剣の修行と旅スキルを学んだのだった。
準備は出来た。
では、四つめの乙女ゲームを始めよう。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「聖剣の乙女よ、千年の永き時を安寧に治めてくだされた、聖なる剣と剣の精霊さまをこの地へと招聘する役目を与える。礼を尽くして励み 無事この地までご案内するように」
との神官長様のご命令を受け、私とライバルとなる女騎士は乙女ゲームの旅に出発した。
女騎士レイシアは、銀色の艶やかな髪は肩の長さで切り揃えられていて、瞳は水色、硬質な美貌だけど右目の下の泣きぼくろがちょっと色気を感じさせる人。
背は高くスラリとした立ち姿、言動も凛々しく、聖剣の乙女である私を気遣ってくれる細やかな気配り。
「惚れました!私はレイシアさんとのハッピーエンドを目指します!」
《無いから、そのエンドは》
相棒が冷たく言い捨てるが、私のヒロインレベルは、ストーリーに干渉出来るくらいに上がっていたはず。つまり、やろうと思えば出来る!!
《誰得なの?百合路線…。はぁ、君はね乙女ゲームのヒロインなんだよ?そう言う契約だったはずだけど?》
う…でした。でもエンドはどれでも良いって言わなかったっけ?
《このゲームは、始まったばかりだよ?まだ攻略対象者の誰とも会ってないじゃない。なのに本来の恋愛ゲームを最初っから放棄するつもり?いくらなんでも無責任過ぎやしない?》
……すみませんでした…。あまりにも凛々しいレイシアさんに変なベクトルにテンションあがりました。
と、少しだけ反省して精霊付きの剣回収の旅を続けることにした。
最初の精霊剣は、火山の麓の神殿に奉じられていた。
祀られていた剣を持ち 鞘から抜き放つと、剣は赤い髪の青年に姿を変えた。
「我はカグツチだ。聖剣の乙女よ。む?そこな女騎士よ、中々の腕と見える。一戦所望する」
剣から解放された途端、闘いを挑まれたレイシアさん。
断れずに試合をすることになってしまった。
私は相棒にそっと尋ねた。
「これ、もしかしてイベント?」
《そう。女騎士に勝てるか敗れるかはランダム。その後にかけるヒロインの言葉で好感度が変わるんだ》
レイシアさんとカグツチの戦いはカグツチに軍配が上がった。
「ふん、もう少し楽しめると思ったが、大した事の無い技量であった。物足りぬ。いま少し修行に励むのだな」
と偉そうにのたまう剣の精霊。更に 剣を落として戦意を喪失しているレイシアさんの襟首を掴んで中づりにしているではないか!
私のレイシアさんに何て事をしやがる!
……プチン。
私のなかの何かが切れた。
「レイシアを離せー!」
落ちていたレイシアさんの剣を手にし、カグツチに飛びかかった。
カグツチは、慌ててレイシアさんを放り投げると私の攻撃に構えた。
こいつ、今レイシアさんを投げやがったな!
……プチン。
許さん!!
「うおりゃ〜!」
私は素早い斬撃を繰り出し、カグツチを翻弄する。
「クッ…チョコマカと鬱陶しい…」
剣の師匠に『その手数の多さと速さはワシでも全て防ぐ事は難しい。惜しむらくは、腕力が足りず必殺の一撃を与えることは 出来ん事じゃが、ま、そこは剣に毒でも塗っておけばオヌシは、無敵になるじゃろう』( 剣の指導としてソレはどうなの?)という評価を頂いた技の冴えを見よ!
「む…まいった……。我の負けだ」
無数の手傷を負ったカグツチは、ついに私の剣に屈した。(毒は使ってないよ。そもそもこの剣はレイシアさんのだし)
「勝負がついているのに更に相手を傷めつけるってどうなの?」
「すまんかった…一千年ぶりの解放につい浮かれてしまったのだ。申し訳ない」
まったく…私の大切な護衛に怪我させたらタダじゃおかないんだから。
旅の同行者が一人増え、三人になった私達は次なる聖剣の封じられし地である風の神殿に向かった。
道中カグツチは、すれ違う強そうな人に試合を挑もうとする。
「止めんか!この戦闘狂!」
カグツチの頭を愛用のハリセンでシバく。
「ぬ…我は強き者を見ると戦いたくなるのだ」
も、ホントにいい加減にして欲しい。
風の神殿に向かう間に何度プチンとキレた事か。
それでもやっと砂漠にある風の神殿にたどり着いた。
さっそく、奉じられていた剣を鞘から抜いた。
「ハーイ、僕はクサナギ。乙女ちゃん達よろしく〜」
緑色の肩まである少しカールした髪をなびかせ剣の精霊がナンパな口調で挨拶をしてくれた。
「で?どっちが剣の乙女ちゃんなの?えっ このこ?」
レイシアさんが私の方を示すと
「ん〜残念。僕の好みじゃないね。それより君の方が断然いい。僕といい事しようよ」
とレイシアさんに迫り出した。
「いや、あの、ちょっ…離れて下さい!」
レイシアさんが嫌がっているのになおも迫ろうとする剣の精霊。
……プチン。
「くぉらー!レイシアから離れなさい、この軟派やろう!」
わたしの必殺ハリセンを喰らうがいい!
「痛〜い。わかったよ、君の事も相手してあげるからヤキモチ妬かないの」
はあ?何言ってんの?少しも妬いてないし。えい!こっち来んな!
私は更にハリセンの乱れ打ちをお見舞いした。
「…ゴメンナサイ。一千年振りの解放で浮かれてしまいました」
反省したクサナギを新たな旅の仲間に加え次なる目的地に向かった。
その道中と言えば…
「其処な者、我と勝負をせぬか?」(カグツチ)
「其処の彼女、僕と遊ぼうよー」(クサナギ)
と、あっちこっちにフラフラ行こうとする二人の剣の精霊を連れ戻すのに多大なるエネルギーを消費させられたのだった。
そんな旅を続けてやっと、三ヶ所目 地の神殿にたどり着いた。
解放されたのは焦茶の髪の少し気怠げな雰囲気の青年だった。
「我が名はコテツ」
「お役目ご苦労様でした。これより中央の神殿まで御案内致します」
と挨拶したら、
「あー、カッタリィ…俺後一千年くらい此処に居るわ。歩くの面倒臭いし」
と、祭壇の横でゴロンと寝転んでしまった。
「え?いえ、そんなワケには…あの、お役目は果たして頂きましたので どうか神殿にお戻りを」
「イイって。次の一千年もテキトーにやっとくから」
いや、あんたテキトーにって…そんなワケには行かんでしょう。
やんわり説得をするけど
「いいから、いいから。ほっといて」
と、ごろ寝したまま動こうとしない剣の精霊。
……プチン。
これだけ言ってもわからん奴にはモチロン、これだ!
「グダグダ言ってんじゃない!とっとと起きろ!ものぐさ野郎が!」
「…ごめん、一千年奉じられてたら、動くのおっくうになってしまった」
そう、詫びるコテツを加えて、次の目的地に向かう。
その道中。
「我と勝負を!」(カグツチ)
「彼女〜カワイイね」(クサナギ)
「もう、歩くの嫌だ」(コテツ)
何なの?私の忍耐の修行の旅なの?これ。
日々 精神の疲労が重なる中やっと水の神殿に到着し、4本目の剣を手にした。
解放されたのは水色の髪と青い眼をした少年。
「こんにちわ。僕ムラクモです。お姉さんよろしくお願いします」
と礼儀正しく挨拶をしてくれた。
ショタ枠かな?
でも、前出の三人にとは違って、素直な少年は癒される……と思っていた時期もありました。
ムラクモはとても好奇心旺盛な少年だった。
「ねね、彼処の集団は何?」
「あれは何処かの隊商ですね」
「どこにいくのかな?」
「このまま進むと大陸第二の都市でしょうか」
「ふーん。其処に行ってなにするの?」
「何って…商売するのではないでしょうか」
「何で商売しなくちゃいけないの?」
「商売してお金を稼がないと生活できないから」
「何で生活にお金が必要なの?」
幼稚園児か!?と言いたくなるほどの聞きたがり。
道中「何で?あれ何?」の質問攻めには辟易した。
しかも「アレはですね…「ソレは何?」…」と質問に答えてる最中に次の質問をしてくる。
……プチン。
「人に説明させてるんだから ちゃんと聞けー!!」
ついにガマンの限界がきて、いたいけな少年を怒鳴りつけてしまったが、罪悪感はまったくない。(考えてみたら幼く見えても確実に一千歳は年上だし)
そして相変わらずの三人組。
「勝負だ」(カグツチ)
「ハーイ、彼女」(クサナギ)
「疲れた〜」(コテツ)
疲れたのはこっちだよ…。
それでも気力を振り絞り5番目の場所、黒き森の神殿に到着した。
剣から現れたのは長い黒髪の青年。
「我が名はクロガネ。宜しく頼む」
おや?初めてマトモな精霊かな?
剣の精霊は、物静かな青年だった。
クロガネを旅の仲間に加え、最後の目的地である太陽の神殿に向かった。
途中魔物の襲撃があったが、これまでの旅でも何度かあったので別に慌てる事もない。
いつも通り剣の精霊達と護衛のレイシアさんが、闘うのを見守っていた。
ん?あれ、クロガネがいない。
「クロガネ?」
「………」
クロガネは、私の後ろで震えていた。
「クロガネ、怖いの?」
「……私は野蛮な事は嫌いなのだ。怖いワケでは無い!」
いや、あんためっちゃ震えてるじゃないの。
「戦闘が怖いんじゃない?」
「そ、そんな事は無い!ぜんぜん怖くねぇっし!」
「別に責めてるわけじゃ無いから、人には得て不得手があるし……怖いなら怖いと…」
「私は…私は……俺は弱虫なんかじゃ無い!!俺は強いんだー!!」
突如叫び出したクロガネはいきなり戦闘の真っ只中に乱入し、無双した。
あっという間に魔物を殲滅したのはいいが、敵がいなくなってもまだ暴れている。
皆んなで止めようとするが狂戦士化しているクロガネは止められない。
そんな中喜々としてクロガネに挑んでいるのは同じく戦闘脳のカグツチ。
何時までも終わらない闘いに私はキレた。
……プチン。
「アンタ達、いい加減にしなさーい!!」
ベシ!ベシ!
激しい攻防を繰り返す二人の間に割って入りハリセンをお見舞いした。
やっと大人しくなった二人を正座させて小一時間ほど説教した。まったく。
「さあ、とっとと最後の光の神殿に行くわよ」
そして道中。
「我と一試合を」(脳筋)
「彼女〜カワイイねぇ」(チャラ男)
「まだ歩くの?もう動きたくない」(ナマケ者)
「何で?どうして?アレ何?」(お子様)
「私は弱虫じゃない、本当は強いんだー!」叫んだ後狂戦士化するクロガネ
誰か助けて下さい。もう、我慢の限界が…
……プチン。
……プチン。
やっとたどり着いた最後の神殿。
ここに来るまで何度ハリセンが唸りを上げた事か……。
「聖剣の乙女よ、これが最後の聖剣です。これでやっと……」
レイシアさんが目を潤ませて私に光の剣を捧げ渡してくれる。
お互い苦労したもんね、彼奴らのおかげで。
私は剣を抜き放つ。
現れたのは輝く黄金の髪と眼を持つまばゆい青年だった。
「我が名はヒイロカネ。迎えご苦労。皆の者大儀であった」
現れた剣の精霊は、何だか偉そうにそう言った。
「えー、僕達君の部下じゃないんだけど」
とクサナギが言うと
「あなたに従うつもりはない」
とクロガネ。
「我が仕えるのは我より強き者だけだ」
とカグツチ。
「面倒くさいからヤダ」
とコテツ。
「僕あなたの家来なの?何で?何時から?」
とムラクモ。
「な…なんと、我は光の精霊ぞ。光はすべての精霊の筆頭であるぞ」
とヒイロカネがのたまうが、そういう設定は無い。
無かったはず…無いよね?
《無いね。精霊は皆んな同列だよ。何でこんな思い違いをしてるのかな?》
「我に仕えろ」と言うヒイロカネに他の五つの聖剣の精霊が「絶対にイヤだ」と返す。
「自分が一番上位だ」「そんなの聞いてない」「強いのが一番」等々。
いっこうに終わりそうも無い言い合いにいい加減に我慢できなくなってきた。
……プチン。
「精霊は、皆んな同列!筆頭も何もナイ!むしろアンタは一番の新入り。先輩を敬いなさーい」
スパーンとハリセンでしばいた。
「……了承した…」
渋々といった態のヒイロカネ。……逆らったら私のハリセンが唸るよ。
やっと六本(六人?)の剣を回収出来た。さあ、中央の神殿に帰ろう。
神殿に戻る道中では六人の剣の精霊と力を合わせて魔物と戦うイベントが数回あり、最後はラスボスとの死闘を制し帰還するまでがこの乙女ゲームだった。
勿論、道中には恋愛イベントが随所にあり、攻略対象者達と好感度上げたりフラグ立てたりしなきゃいけないんだけど…こんな旅でその気になれるかってぇの!
「我は闘い以外の事は興味が無い」(カグツチ)
「あ、あの子カワイイ、彼女…いや、向こうの方がカワイイ。か〜のじょ〜」(クサナギ)
「もう、歩きたくない。ここに住む…」(コテツ)
「神殿まで、あとどれくらい?いつ着くの?まだなの?なんで行くの?」(ムラクモ)
「僕は強い…僕は強い…僕は弱虫じゃないんだー!」(クロガネ)
「我は此方の道を行く。何?逆方向だと。かまわぬ我がそう決めたのだ」(ヒイロカネ)
ねえ、これ本当に乙女ゲーム?
攻略対象者達は確かに顔は良いよ。確かに超美形ではある。
駄菓子菓子、あまりにも性格が残念過ぎるでしょう。
《ウーン、キミがね 彼らが剣から戻ったときにとった行動に問題があったと思うよ?》
どゆこと?
《ホントは、永年の勤めを労い、優しく声をかけるトコロを キミ容赦なく叩きのめしてたでしょう?》
だって、いろいろなモノがブチ切れちゃって……。
《本来なら、キミの言葉に癒され、旅をしながら絆も強くなり恋愛フラグも順調に立つはずだったんだけど…はぁ…》
相棒のため息が心に刺さる… …。自業自得ってことですね。
とにかく、壊れたキャラクター達は戻りそうにない。すっぱり諦めて残りの道程を粛々と、歩むことにする。
粛々と……。
粛々と……。
……プチン
キレた。
私頑張ったよ。頑張って耐えたよ。何度もプチンプチンと切れたけど でも、我慢したんだよ。
でもね、さすがに百プチン目で限界だったよ。
「やかましい!!黙れ!!!」
私の怒声に固まる攻略対象者達。
スキル”威圧”が発動された。
今まで、好き勝手言ってた剣の精霊達がビシッと直立不動になった。
「アンタ達は、少しは団体行動を考えなさい!
あちこちフラフラするな!人に迷惑かけるな!文句ばっか言うな!勝手な行動をするな!
わかった!?」
「「「「「「………」」」」」」
「返事!!」
「「「「「ハイ!!」」」」」
たいへん良い返事である。
それからは皆んなキビキビとした行動で旅が続けられた。
魔物退治も連携のとれた戦いぶりで、難なく屠る事ができた。
ラスボスも危なげなく勝利し、中央の神殿に向かう。
私達が歩く姿はまるで兵士のように統制のとれた行進みたいだった。
もう直ぐゴール。
なんかもう、乙女ゲームとは絶対言えないナニカのゲームがやっと終わる。
とっとと神官様に剣の精霊達を引き渡してこのゲームから退場しよう。
「聖剣の乙女よ、ご苦労であった。剣の精霊様方、長のお勤めありがとうございました。
どうぞ精霊界でゆっくりお体をおいとい下さい」
神官長のシメの言葉の後、私も精霊達に別れの挨拶をする。
ここで恋愛フラグが立ってれば、その精霊から告白をされるんだけど、あるワケ無いな。
神殿から出て行こうとしたら、
「待ってくれ聖剣の乙女よ、我はそなたについて行き、剣の修行をしたい」(カグツチ)
「乙女ちゃんの漢らしさに惚れちゃった」(クサナギ)
「離れるの面倒くさい…」(コテツ)
「僕、一緒に行きたいな。いい?いい?いいよね?」(ムラクモ)
「あの、漢らしい雄叫び…僕は、惹かれた」(クロガネ)
「ハリセンの刺激が忘れられぬ」(ヒイロカネ)
何コレ?逆ハー?
《ある意味逆ハーと言えないことも無いんだけど。ん〜、皆んな恋愛パラメーターが、ゼロなんだよねー》
困惑する相棒。
そして更に困惑する私。恋愛感情は無いのにこの状況。なぜに?
《その代わり、主従関係がパラメーター上限になってる》
はぁ?
《キミの威圧のせいじゃ無いかな》
そもそも威圧って絶対ヒロインが、会得するスキルじゃないと思うんだけど?
《普通はね……》
な、何よ。その可哀想な子を見る感じ やめてください。
「とにかく!コレどうしたらいいの?」
《しょうがない。僕が説得するよ》
相棒の説得により、皆んな精霊界に戻ってくれた。めでたしめでたし。
〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜
ーーー反省と考察ーーー
「今回の乙女ゲームはストレスがハンパなかった…」
《へ〜。ストレス溜まってたの?あんなにハリセン振り回しといて?》
「え?いや、えっと…えへへ」
《笑ってごまかそうとしてるね。今回は自業自得だよ。そのハリセンのせいでゲームキャラクター達がおかしな事になったんだからね。キミが言葉で彼らを癒やしてやってればちゃんとした乙女ゲームになってたのに…》
「そぉかなー?」
《全然反省して無いね。とにかくキミは少し、手を出すのを我慢しなさい。何でも拳で解決しようとしない!どんどん乙女ゲームのヒロインから離れているような気がする》
私もまったく同意見。
現在の私のスキル
物品召喚、魅了、そして威圧。
《恋愛レベルは、上昇見られず。まあヒロインレベルは順調に上がってるから、次のゲームでも何かスキルが会得できるかもね》
次はどうか乙女ゲームのヒロインに相応しいスキルでありますように。
名前や属性には深い意味はありません。
読んで下さりありがとうございました。