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夢の異世界転生を果たした話

 ――ドクン……ドクン……ドクン……。


 心臓の鼓動が始まると『ソレ』は目を覚ます。


『……此処は?』


 ゆっくりと(まぶた)を開く。ぼやけた視界が徐々に鮮明に変わっていく。初めて見る景色。全体的に薄暗く、壁は無機質な岩肌のよう。明かりは電気……じゃなく炎。松明か。しかし炎の色は黄色い……。


「――!!魔王様!!お目覚めですか!!それに既に念話を……!?素晴らしいです!!感服致しました!!」


 一人の女性が駆け寄って来ると、片膝を地面へ着き頭を垂れた。直ぐに頭を上げるとめっちゃ見詰めてくる……。可愛い子に見られると照れるんだが……?


「この魔王様直属の大悪魔!!七つの大罪『怠惰』!!ベルフェ=ゴール・アイネ・スフェーン!!不肖ながら我が命尽き果てるその時まで魔王様への忠誠を此処に誓います!!」


『……そうか』


「そうなんです!!」


 此処は何処なんだ。念話とやらに気付いたなら俺の質問も聞こえていただろうに。……人の話を聞かない、大悪魔とやらをじっくりと観察する。右眼は前髪で隠れていて見えないが、左眼はスフェーンみたいに黄色を主体に角度によって黄緑や赤へ複雑に輝いていた。牛みたいな尻尾を左右に激しく振っている……喜びの現れ……か?




 しかし……夢にまで見た異世界転生を果たしたのは間違いない!!前世?の記憶は欠如していて前の俺の名前も容姿も親も友人も何一つ覚えちゃいないが、強く刻まれてる事。それが異世界転生!!魔王になって勇者を完膚(かんぷ)無きまでに叩きのめす!!人間達を支配下に置く!!魔王ならチート能力も得ている筈!!此処から俺最強の無双伝説が――




「あの、魔王様……大変心苦しいのですが……」


 尻尾は落ち着きを取り戻していた。アイネは神妙な面持ちで告げる。


「只今、人間の村が悪しき天使達に襲われています……。お目覚めになったばかりで簡単な事では無いとは存じますが……どうか哀れな人間達をお救い下さい……!!」




『……………………なんて?』




 思っていた異世界転生となんか違う、俺の魔王としての物語が今始まる。

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 ベルフェ=ゴール・アイネ・スフェーン

 金髪で前髪はアシメ、右眼が隠れている。左眼は宝石のスフェーン同様に黄色が主体で角度により様々な色味を伴う。左眼の下には三連の黒子(ほくろ)が。腰から生える牛のような尻尾の先端も金髪。頭には羊の角に似た、捻じれ曲がった巨大な角が生えている。角もアシメで右眼側の方が巨大。悪魔というが翼は見当たらない。貴族男性の正装のような服装。薄い黄色のシャツにスフェーンのカフス。ボタンもスフェーンで出来ている。シンプルな黒のスリーピースのパンツスタイルだが高級感があり、スフェーンをあしらったチェーン付きのラペルピンも襟に着いている為尚更豪華に見える。黒のヒールブーツにパンツの裾から黄色のソックスがチラ見え。ネイルは黄色。ネクタイも黄色で黒いネクタイピンや揺れるピアスにもスフェーンが。七体の大悪魔、七つの大罪の一体で『怠惰』。魔王様が怠惰になるくらい身の回りのお世話をしようと気合が入っている。


 炎の色

 アイネが近くに居る為黄色に燃え上がっている。

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