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「さて、そのまま東北へ行くがよい」
「さ、出発進行ー。鯛、何か言ったかー?」
「いんや」
俺と鯛は、それから海の上を御神輿を担いで東北の方へ向かった。津波に、高波、さざ波、渦潮に海の上は賑やかだった。
しばらく海の上を、御神輿を担いで歩いていると、海が消え、代わりに大通りを巨大な灯りのついた武者人形が練り歩く祭りに出くわした。
「これこれ、そっちではない。歩く方向は某の真後ろにしろ」
「え? ひい、はい!」
唐突に、大通りにいる武者人形が俺に話し掛けた。
怖くて、ちびりそうになったが、あ、これが「ねぶた」と呼ばれる武者人形なんだなと頭の片隅で気が付いた。
鯛のやつは、よっぽど怖くてか担いでいる御神輿に頭を隠している。
「それでは、行くぞ。このまま真っ直ぐ突き進んでいけ」
「ひいい、はい!」
ゆっくりと見ると、大通りを挟む形で、朧気な人だかりができている。あれれ? みんな観光客なのか?
それと、後ろでは御神輿を担いで、うとうととしている鯛がいた。
だけど、鯛のやつ、なかなか眠気が強くならないだろうな。睡魔が払われているんだ。
ねぶた祭りって、確か眠り流し(睡魔払い)や穢れ払いという民俗の行事、多分農作業をする人たちからが起源ともいわれている祭りって話もあるんだ。




