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第十三話 気配

 順調……とは言えないものの、スライム討伐は進んでいた。

 スライム討伐依頼の討伐数は10匹だ。

 少ないように聞こえるがまだまだ新人かつソロの鳴海には精神的に来るものがあり、休憩を挟みつつ『気配感知』を使っていたとはいえ、お世辞にも効率がいいとは言えない討伐の仕方をしていたので9匹目を倒す頃には2時間近くはかかっていた。

 最初がうまく行き過ぎただけで息を潜めて近づいても先に気づかれたり、近づけても魔法を詠唱してる間に気づかれて逃げられるか攻撃してきて詠唱を中断せざるおえない状況に何度もなったことで時間がかかったのだ。


「……はぁ、やっと最後の1匹だな……。少し休憩して最後の1匹倒しに行くか……。」


 そういうと鳴海は近くにあった椅子になりそうなちょうどいいサイズの石に腰を掛けながら『アイテムボックス』から水筒を取り出した。


「……コク、コク……ぷはぁ。……そういえばレベルは上がったかな?3匹目のときレベルアップのアナウンスなったけど2回目はないなあ。まあ、依頼終わって宿屋で落ち着いてから確認するか。………よし、行くか!」


 石から腰を上げ、気配感知でスライムの気配を探りながらす進む。


「……お、いたいた。MP節約も兼ねて最後の1匹ぐらい剣で倒すか……。」


 その言葉通り剣を装備してるのにも関わらず、邪魔な草を払う時ぐらいしか剣を抜いていおらず、戦闘に全く使ってなかったのだ。まあ、素人がスライムに剣を当てたところで簡単には倒せはしないが……。


 鳴海は剣を抜き、スライムの気配がする場所に足を進める。


(お、いたいた。スライムの攻撃は1回食らったがそこまで痛くなかった。もしもの時は恥を捨てて逃げればいい。)


『命は大事に』当たり前のことだが、これはこの世界で生きていると前世より意識せざるおえなかった。実際今だって自分は命の奪い合いをしてると言っても過言ではない。


(……ふぅ、よし。いくぞ!)

「……おりゃ!」


 剣を当てるにどの道近ずかなければならないので、近くに他の魔物がいないか確認してスライムに切りかかる。

 スライムは突然の事で対応できなかったのか、鳴海に逃げる前に切られる。

 しかし、素人同然の鳴海の攻撃は剣で『切る』ではなく、鈍器で『殴る』同然だったようで、物理攻撃に耐性があるスライムはそこまでダメージを受けていなかった。

 スライムは3メートルほど吹き飛んだが何事も無かったかのようにそのまま鳴海に体当たりをしてきた。


(クソっ!やっぱりダメか!でも、この程度なら行ける!)


 鳴海はとっさにスライムから体を守るように剣を体の前に構える。

 力を受け流すなんて技術は持っていないのでスライムの体重そのままを腕に受けるが、1度受けていたのでその場で耐えることが出来たので、そのまま腕力で跳ね返す。


 鳴海は転がっていくスライムに向けて攻撃を仕掛ける。切る……いや、叩くは効かなかったので、鳴海は突き刺すを選ぶ。


「……シッ!」


 何とか上手く核に突き刺さったようで、スライムの形が崩れる。こうなったらスライムはもう動かない。


『レベルが上がりました。全ステータスが上がります。』『スキル【剣術】を取得しました。』


「うお!びっくりした。なんだ、レベルが上がったのか。経験値量上昇してるのにやけにレベルの上がりが遅い気がするなぁ。って『剣術』スキル!?」


 一息つこうとした瞬間流れたナレーションと目の前に出た文字にびっくりしつつ、ちゃんとレベルがあがったことと、簡単にスキルが手に入ったことにびっくりした。


「え?え?なんでこんなに早く?『火球ファイアーボール』撃ちまくったのに全然『火魔法』スキル手に入ってないのに、なんで1回戦っただけで手に入ったんだ?」


 そう、鳴海は魔法を使っているが一切魔法系スキルが手に入らないのだ。


「え〜、なんでだ……?もしかしてチートスキルが原因?……有り得る。そもそもこのスキルは対魔法使いスキル。スキルに魔法適性を振っていたら、俺が強い魔法が使えなくてもおかしくない。……はぁ、今度女神様に聞いてみるか。」


 納得は行かないがとりあえず今は頭の隅に置いてとくことにし、スライムの解体をする。

 まだまだ手際は良いとは言えないが、始めて比べれば慣れてきていた。


 もう少しで解体が終わるというところで気配感知に今まで感じたことない気配を3つ感じた。

 今までスライムはその場に留まっているか、ゆっくり移動してるぐらいだったが、今の気配はそこまで早い訳では無いが小さい生き物が走ってるぐらいの速度だった。ただ気になることは、先頭の生き物は気配が弱々しく、追いかけている(?)生き物たちはそこまで気配が弱々しくないことだ。


 こっちに近ずいてはいるが微妙に進路がズレているのでこっちには気がついてないなようだ。



「……なんだ? 狩りか?だがここに狩りをする魔物なんているか?もしかして深く潜りすぎたか?まあ、少し様子を見てみよう。」


 鳴海は身体強化をかけ直し、気配がするやつらの進路の木に登り息を潜める。


 少し待っているとだんだん足音などが聞こえてきた。


(……っ!人?!しかも子供?!いや、少し背が低いだけか?)


 大体140cmぐらいの背丈で種族は全身を覆うように着ているローブのせいで分からない、もちろん性別も。


 そして後ろから追ってきているのは多分、というかほぼ確実にゴブリンだろう。


 街で調べたところによると、ゴブリンはこの世界も例に漏れず緑色でチビでしわしわだでガリガリだ。腰になにかの生き物の皮を巻いており、群れで生活し、オスは殺しメスは繁栄のために巣に連れてかれるのだとか。


 まあつまり、女の敵だ。


「はぁ、はぁ、っ!キャッ!」


 そんなことを眺めながら考えていると、ちょうど鳴海の前で彼/彼女が躓いてコケてしまった。


 声の高さからして、女の子かな?


「「ギャッギャッギャッ!」」

「ひっ!来ないで!」


 その声は恐怖に怯えてる声で流石にいてもたってもいられなくなった鳴海は魔法の詠唱を始めた。


「火よ、我が敵を燃やせ。『火球』!」

「え?!」「「ギャッ!?」」


 ゴブリンの1人を魔法で吹き飛ばし、もう1人には木から飛び降り剣で切りかかる。


 スキルを手に入れたからか、剣の扱い方が何となくわかった。

 それでもまだまだ危なっかしいが、ゴブリ

ンを切る事ができた。


 血が吹き出し少し顔に血がついたり、生き物の肉の感触を感じ、嘔吐感が込み上げたが無理やり抑え、吹き飛ばしたゴブリンも顔に剣を突き刺しとどめを刺す。

 ゴブリンはビクビクと少し動いていたがすぐに動かなくなった。一応、気配感知で生きてる気配がするかどうか見たが、ちゃんとことけれているようだった。


(……はぁ、はぁ。うっぷ。吐きそう……。やっぱりスライムと違って肉を、生き物を切ってる感じがする……。この世界で生きていくには慣れなければ……。って、今はそうじゃない。さっきの彼/彼女は?)


 嘔吐感を抑えつつすぐそこに倒れているであろう彼/彼女の安否を確認するために振り向いた。





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