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六之四

 小上がりの奥の部屋に二人はお客様を招いた。表の番は琥珀がやってくれる。

 小春は女子高生の前に暖かいお茶を置くと、続けて燈夜、自分と茶器の音を小さく立てた。


「ボクは骨董屋の……燈夜という。こちらは小春。とりあえずはお客様のお話をお聞きしますけど、最終的な判断は店主の葵がします。それでも構わないか?」


「……は、はい。あ、あたしは星崎莉子……です」


 星崎莉子は青ざめた顔で机の上に置かれている指輪を見つめている。


「……まあ、そんなに悪いようにはしないから。とりあえず、……これ、どこにあったの?」


「学校の……校庭の……隅、です。掃除をしてたら、スコップに何か当たって。……興味本位で掘ってみたら箱があったんです。古そうな、箱……。開けてみたら、この黒い指輪が入っていました。綺麗だったので、とりあえず教室に持ち帰ったんです。……でも、それから……」


 星崎莉子は目をつぶった。思い出したくはないが、今は詳細に話すべきだから。でも思い出したくないのだ。


「知らない女の子があたしを呼ぶんです!! 学校で、家のインターホンを鳴らして、街中で、……あたしを見てる!! 誰に言っても、そんな子いない、そんな声しない、って! 絶対にしてる! だってあの女の子、あんなにもあたしを殺したそうにしてるんだもん!! あたし……わたし、もう"二度と会わないって誓ったのに――"」


 小春は目を丸めた。女子高生は……星崎莉子は、ついに恐怖がその心を貫いてしまったようだ。わなわなと唇を震わせ、全身を震わせ、金切声をあげながら部屋の襖を開く。琥珀が星崎莉子が身体に纏う呪いの色を見て目を細めた。その前に立ちふさがろうとした時に、なぜかその呪いの気配が消える。

 驚いた琥珀の隙間を縫って、星崎莉子は駆けて行った。ただ逃亡を選択した生物の本能は――安心できる地にいくまで止まることはない。


「小春!!」


 燈夜の声は、小春を責める大声だった。琥珀が慌てて部屋に入るとそこには。


「……あ、ごめんなさい。つい、これが原因かな、って……」


 片手で机に重心を預け、片手に指輪を摘まみ上げた小春が居た。そんな光景を見た琥珀の背後で――正しくは骨董屋の商品達の中で――ブラウン管のテレビが音を立てる。歌が、流れている。二人の女の子が歌う、昔のアイドルの曲……。

 三人は表に出た。そうしてブラウン管テレビに寄ると……――テレビが音を立てて割れる。弾け飛んだガラスは意志を持った弾のように三人に突き刺さり、それを通行証とするだろう。

 三人は、そこから姿を消す。骨董屋の鈴が、許されざる来訪者に怒るように鳴り続ける。葵たちが辿り着いた時には――その場には、流血の跡であろう鮮血しか、残されていなかった。















 真下を見下ろすと、そこに終わりが見えた。

 ただ一歩、足を踏み出すだけ。その滑落で、全てを終えられる。

 死は救いじゃない……そんなこと、わかっているのに。わたしはただ、自分自身のためだけに今をもう終わらせたいの。

 ごめんなさい……ごめんなさい……。もし神が、生まれ変わりをお許しになっても、わたしもう二度と、貴女と逢わないわ。

 小春は見つめている。滑落を促す少女の瞳を、頬の真横にすり寄る昏い瞳を。でも、私は……死にたくも、ないよ?



 ――目を開けた。冷たい床に手を這わせて起き上がる。身体を撫でる風もどこか冷たく、辺りを見渡す木造の建物に見覚えは無い。

 静かに立ち上がって体を抱いた。寒い……小さく震える身体を暖めるもう一人は、どこにもいない。

 そうしてどことなく開けた扉の先から、小春は小さく理解をした。ああ、ここは……――。


「昔の、学校……?」


うおおおおおおこっちの更新再開じゃあー――――!!

ということで、旧校舎ドキドキ探索編、やっていくぞぉおおお~~~!!

花子くんいたらいいね。まあいるはずもないけどね。

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