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五之四


 男は昼餉に招かれた。朝餉の後に出て行こうとしていたが、照夜の父が首を横に振った。

 せめてお礼にもてなしを、と。広間に通されたのである。

 そこには照夜もいた。嬉しそうに微笑んで、ちらちらと手を振っている。男は会釈をして、促された席へ腰を下ろした。


「お客人、名を聞いておらんかったな。何とお呼びすれば?」


 豪勢に盛られたあらゆる海と山の幸に男が若干引いている中、父は酒を豪快に喉に入れながら尋ねた。男は少し困った様に視線を逸らして、やはり歯切れが悪い。


「……修行の身でして、名乗るような名は」


「ほう。僧侶であられたか」


「神仏に仕える身ではあります」


「そうか――。まあ、では、此度はご褒美ということで! 仏様も目をつぶって下さるだろう! 沢山食べるといい! ほら、何処かの神様は肉食だと言うではないか。よいよい、我が沼地の龍神様も、近くの仏様も、良いことをした御仁のことを責めることはありますまい!」


「は、はあ……」


 照夜はさきほどからうずうずしていた。何としても話しかけたい。


「あ、あの! お坊さんの修行のことはよくわからないわ。でも、名前が無いのは不便でしょう? だから、あたしが……あたしがこの屋敷に居る間の名前、考えてあげるわ!」


「おお、――それは良い! 和歌さえも満足に出来ぬお前が」


「うるさいうるさーい!! 父上は黙ってて!」


 寡黙な母が袖に顔を埋めている。笑いを隠しきれていない。


「ええ、ええとですね。あたしが……照夜……夜を照らすから……あなたは……輝く夜……輝夜こうやなんて、どう……?」


「……かぐや、ではなく?」


 男は目を僅かに見開きながら聞き返す。

 照夜は、首をこくこくと頷かせた。


「かぐや、ではなく! かぐやだとお姫様になるでしょう!」


「そう――ですね。かぐや姫だと、姫様……あなたにお似合いです」


 くすくすと笑う男に頬を赤らめる姫君。

 男は――この時より、この屋敷で輝夜こうやとなった。

 陰陽師が定める出発の日まで、方違えの宿として滞在せよ、との殿の言いつけである。輝夜は深く頭を下げ、しばらくの間姫の良き話し相手となる。




 この時代も、いつの時代も。魂が惹かれあうことに、合理的な理由はいらない。

 二人の始まりをあえて述べるならば、それは――あの一瞬だ。

 姫が助けた。その地点を始まりにすべきではない。

 輝夜は、姫が幼いころから、ずっと、ずっと、あの沼地で――――。

 幼い手が伸ばす指先に、キスをしたあの一瞬が……逃れられない運命を定めた。


「輝夜」


「はい、姫様」


「……明日、どうしても、行くの?」


「はい……。行かねばなりません。明朝、発ちます」


「……そう、わかりました。あたしは……わたくしは、神仏にお仕えするあなたを引き留めるつもりは毛頭ございません」


 照夜は地位ある者の顔をして、沈む太陽を見つめていた。

 その横顔を見つめられない輝夜は、俯いている。


「輝夜」


「……はい」


「今日の夜」


「――いけません!!」


「まだ何も言ってませーん。案外スケベなのね」


「……照夜姫」


 照夜は肩を震わせて笑う。それにつられて、輝夜もくすくすと笑っている。


「最後だけど、終わりにしたくないの。……輝夜、あなたも、同じ思いなら……あたし、待ってる。待ってるから……約束を、しましょう」


 輝夜はどうしたのだろう――嗚呼、それはもう言わなくてもわかるでしょう。

 どうせなら食い尽くせばよかった。腹に下して共に血肉となれば、あんな思いも、こんな思いも、全て怪異の気狂いで片づけられたのに。

 そうしてあたしは帰ったわ。

 沼地の底へ。――あたしは、沼地の龍、その眷属ですもの。

 ――だからこそ、神に連なる身であるからこそ、俺は最大の禁忌を犯したことを知る。

 しばらくして、我が子が沼地に帰って来た。


「ちちうえ」


 と呼ぶ白蛇が、紛れも無い自分の子だと、姿が、形が、瞳が物語る。

 輝夜は震えた。輝夜が人の身を取れば、数日の内にその子は子どもの姿になった。

 嗚呼――なんということだ。照夜の面影を月光の如く映し出した我が子を、輝夜は強く強く抱きしめていた。

 何があったかはいうまい。妖と人の子など、打ち捨てられて当然だ。ただ、この沼の底で思うのは――彼女が、幸せであればと願うことだけ。

 あの母と父の下でならば問題は無い。一夜の契りが運悪く結ばれたとしても、この子がいなければ歯車は元の形に戻るだろうから。

 しかし、いくら妖の子どもといえど、母が恋しいのは変わるはずもない。

 子は夜な夜な泣き叫び、母の在処を求めた。

 輝夜では母の代わりにはなれない。あやすことしか出来ず、眠りは浅く寄せて返す。

 そうした満月が道を敷く夜に――彼女は落ちて来た。

 空から、というより、地上から奈落へ落ちて来た。

 子どもは父の腕からするりと逃れ、手を振り回し母に寄る。母は薄い着物のまま子を抱きしめ、涙を流しながら子どもを抱いた。

 父は咄嗟に沼の底で妻を受け止めて、呼吸を失いかける様子に焦っている。人間は生きられない。ここは、妖の世界だ。

 だから、口付けを、と妻が腰に手を回した。

 約束を、果たしに来たわ。次に出会えた時には、あたしを本当の意味で、娶って――――。

あたたかくなる、というVtuberを友人にゴリオススメされて、その中の『狂気山脈』というTRPGのセッション動画を先日視聴しました。我、cocをすると小説と同程度のカロリーを消費してしまうので、「もう無理んご!!」と脱走した経緯を持つのですが、まあ~狂気山脈有名だし、みとくか~←これが終わりの始まり。

高生さんがKPで、四宮さん、Jさん、和泉さんがプレイヤーの動画を見たんですが……。

おもしれ~~~~~~~~~~~~コーーージーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!

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