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モニター

 課題点を出し合った後で、早速午後から明日に向けての準備が始まった。

 一応、学校側から期間中はあまり夜遅くまで残らないようにって言われていて、無理しても8時くらいまでしか残れないから、放課後はサファリの搬入とモニターの準備だけやって終われるような感じでやらないといけないためだ。


 「準備に時間かかりそうな所ってどこ? 私がヘルプに入るから」


 と言うと、沙綾ちゃんが


 「やっぱりボードの作り直しが一番時間がかかります」


 と答えたため、私はそちらの手伝いに向かった。

 すると


 「私たちもやりますっ!!」


 と、若菜ちゃんと美桜ちゃん、真由ちゃんの1年生軍団が飛んできたので早速取り掛かった。

 ボード自体に加工するのではなく、上から模造紙を貼るため、その模造紙のデザイン変更なのだが、以前のは文字が多くてじっくり見ないと分からないため、明日に向けては画像を多く、大きくしてビジュアル的に訴え、そして他には『3位入賞!』と『6時間耐久完走!』を大きく書いて細かい文字を徹底して排除し、『詳しくはパンフを見てね』というように一番伝えたい結果だけを大書きする方法に改めたのだ。


 大きな模造紙に沙綾ちゃんがレイアウトした原案が印刷されてきたため、私たちは模造紙数枚に渡って出ている文字の中から、伝えたい文字をポスターカラーで強調するように塗っていった。

 結構丁寧に塗っていったので時間がかかったと思ったけど、文字数が少なかったことから思ったほど時間がかからず、午後3時前にはボードを一時撤去してきて貼り直し作業まで完了してしまった。

 新しいボードは画像メインになったおかげで、一目で何についてのものなのかが分かる上、特に耐久レースに関してはピットの画像や、第一コーナーでのカッコ良いカットもあるおかげで、レース全体の苦労と楽しさが伝わる凄く分かりやすいボードに生まれ変わっていた。


 そして、時間が余った事もあって、他の2つのブースのボードも沙綾ちゃんがチョイチョイっと変更してくれたので、そっちもポスカで塗って、貼り直したんだ。

 そこで、全部作ってしまってから私はある事に気付いた。


 「でもって沙綾ちゃん、シルビアのなんて作っても、ボードが足らないよ」


 私が言うと沙綾ちゃんは


 「S14のは、室内に展示して窓越しに見て貰うんです」


 と答えた。

 シルビアの画像も結構あって、最初の頃って、前回りの一部だけ色が違ってたんだね。

 そこから色々直して車検に合格して、公道が走れるようになるドキュメンタリー風になってるんだね。

 

 これで、懸念懸案のボードも終わったね。

 そう言おうと思った時、私の背後にぞわっとした何かを感じたため、後ろを振り返ってみた。


 「どうしました?」


 沙綾ちゃんが言ったので


 「いや……先生が来るような気がしちゃってさ」


 と答えると


 「イヤだなぁ……水野が来るわけないじゃないですか」


 と沙綾ちゃんが言い終わらなうちに


 「燈梨君、モニターの準備ができたので取りに来て欲しい」


 と言う声と共に教師水野が私のすぐ隣に現れた。


 「どわぁ!!」


 また沙綾ちゃんに驚かれてるよ。

 なんか、今度から教師水野はEVやハイブリッド車の低速走行の時みたいに音が出る仕様にして欲しいよね“フイーーン”とかさ。


 まぁ、でもモニターが早々と来たからには、上手くすれば4時くらいにはモニターが出せるかもね。


 「データはできているので、一度ここでテストして問題なければ、即出せますよ」


 それじゃぁ、沙綾ちゃんはここで準備してて貰って、陽菜ちゃんと七菜葉ちゃんに来て貰ってモニターを運ぶことにしよう。


 「私も行くっス!」


 七海ちゃん。モニター運ぶのにこんな人数いらないでしょ。

 七海ちゃんは沙綾ちゃんと一緒に準備してて貰った方が


 「燈梨さん。特大のモニターの大きさ、舐めてません?」

 「そうなの?」


 私は、この学校にある一番大きなモニターっていうのがどのくらいの大きさなのかを思い浮かべながら、七海ちゃん達の反応を見るとちょっと不安になった。


 教師水野に連れられて行った先は視聴覚準備室だった。

 ここには、色々なパソコンやテレビのモニターなどが置かれていた。

 教師水野は一番奥に行くと


 「これだ。早速使ってくれたまえ。返却は終了後に他の機材と共に実行委員に返却で構わない」


 と言って七菜葉ちゃんにノートパソコンを、そして私たちに1台のモニターを渡した。

 私はそれを見て驚いた。そのモニターは、高さだけで私の胸のすぐ下くらいまでの丈のある物凄く大きなものだった。

 七海ちゃんの言った通りだった。1つだけ間違いないのは、私の思っていた人数では運べないという事だった。


 「どうっスか? 私がいて良かったでしょう?」


 と七海ちゃんが言った。

 そして、七海ちゃんは


 「ナナっち、パソコンは燈梨さんに、それでナナっちはモニターね」

 「了解っ!」


 と言って、七菜葉ちゃんは私にパソコンを渡すと七海ちゃん達とモニターを抱えて教室を出た。

 部室まで向かいながらまじまじとモニターを見て、七海ちゃんと沙綾ちゃんが最大サイズだと聞いた時に色めき立った理由が凄く理解できた。

 これなら、陸上部のモニターなど目じゃないのだ。


 部室に戻ると、沙綾ちゃんがモニターを見て目を輝かせいていた。


 「おおっ! やっぱりこれだったか!」

 「沙綾っち~、やっぱりこれだったよ~」


 沙綾ちゃんと七海ちゃんが喜びあっている中で、七菜葉ちゃんと陽菜ちゃんは素早く配線を済ませて電源を入れると、モニターの前でスタンバイした。


 「沙綾と七海ー、準備できたから、そんなところで抱き合ってないで早く始めるよ!」


 と陽菜ちゃんが言うと、沙綾ちゃんが早速USBメモリーを挿すと、パソコンを操作して、出力先にモニターも追加して再生を開始した。


 最初に字幕で校章のアップが映ったかと思うと、次の瞬間エッセがサーキットの第一コーナーを駆け抜けていっている画像から始まっていく。

 そこから静かに音楽が流れていくと同時に、毎周回の画像になるのかな? と思いきや、ピットでのドライバー交代と燃料補給の慌ただしい様子が映し出されたりして、耐久レースの裏側も含めたダイジェストで、順位や他のエントラントが大人のベテランばかりである中での感想といった栄誉を余すことなく字幕で伝え、次にはノートをカッコ良いカットで撮って、更には入賞のトロフィーと賞状をボンネットに乗せている姿も映して、そこに初出場で3位入賞という字幕が出てきて、大会後の集合写真の画像と組み合わせて画像の少なさをカバーしていた。

 この頃は、まだ沙綾ちゃんがキックボクシングとの掛け持ちで、ジムカーナ大会に同行できなかったそうだ。


 更には、普段の練習風景と、教習車の紹介にも尺が充てられていた。

 R32なのに、助手席ブレーキ付きだという事をアップでアピールし、更には各部車の紹介を行っていた。

 その画像が、車ゲームの車種選択画面かと思うようなカットで映っていて、そして、それぞれの練習走行の風景も映して、本当にかっこいいPVを見ているような編集と音楽の妙で、凄く引き込まれてしまう内容だった。


 私は、見ているうちに凄く興奮してしまい


 「沙綾ちゃん! これってマジ凄いって!」


 と思わず言った言葉が大きくてみんなを驚かせてしまったようだ。

 すると、沙綾ちゃんがニコッとして私の方を向きながら


 「これで明日の集客アップは間違いないでしょ!」


 喜ぶ沙綾ちゃん達を見て、私は明日の成功を確信したような気がした。

 このまるでPVを見ているような世界観と引き込まれる構成で、見たくなるのは人情というものだった。


 「これなら、陸上部のモニターにかき消される事なくイケそうですね」


 陽菜ちゃんの言葉にふと現実に帰った私は、早速設置に取り掛かった。




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